手作りEV、コンバートEV、コンセプトカーも…日本EVフェスティバル2021

横浜ゴムAERO-Y
横浜ゴムAERO-Y全 19 枚

◆改造EVはトランスミッションを残す?

日本EVフェスティバルは、日本EVクラブやその他の有志らによる手作りEVやコンバートEVも見ものだ。耐久レース仕様ホンダ『シビック』のEV版、フィアット『500』のコンバートEV、日産『セドリック』(130型:1966年)をEV化した車両。SJ30スズキ『ジムニー』やソーラーパネルを搭載した三菱『ミニキャブMiEV』、そしてEVカートなど、こちらも多彩なEVが見られる。

【写真】日本EVフェスティバル(全19枚)

コンバートEVは、ガソリン車のエンジン部分をモーターに置き換え、ガソリンタンクの代りにバッテリーを搭載したものだ。興味深いのは、モーター駆動のEVは、インバーターの制御さえしっかり行えば変速機(トランスミッション)は必要ない。だが、手作りEVやコンバートEVは、トランスミッションはベース車のものをそのまま残すことが多い。

高性能で細かいモード制御をするインバーターは高価であり、ソフトウェアのチューニングも難しいので、個人が作るEVではエンジンをモーターに置き換えるだけで、トランスミッションは残すことが多いようだ。レース用のEVシビック(OZ Motors MUSASI D-REVシビックEVR)は、インバーターだけでなくトランスミッションのチューニングも出来た方が、セッティングの幅が広がるという理由で残している。

ホンダ・シビックホンダ・シビック

ジムニーのEVも、トランスファーやアクスルは前後ともノーマルの機械式だ。車内にはシフトレバーとトランスファーの切り替えレバーも残っている。完全電子制御の4WD EVは4輪を個別にトルク配分できるため、LSDや差動のロック機構などなしでもタイヤの空転を抑えることがきる。ジムニーのオーナーによれば、アクスルが機械式でも、モータートルクによって走破性はエンジン車より高いそうだ。逆にLSDなどを入れると、シャフトやベアリングがもたないという。

EVジムニーEVジムニー

◆横浜ゴムが持ち込んだ謎のワンオフEV

手作りEVのコーナーに、とても手作りとは思えないEVが展示してあった。横浜ゴムが展示していた「AERO-Y」というクルマは2013年に同社が実験的に製作したEVだ。新しいものではないが、航空機に用いられるカーボンボディで綺麗に仕上げられており、とても完成度が高い。

日本EVフェスティバル2021日本EVフェスティバル2021

AERO-Yは、市販のEVのパワートレインとシャシーをベースに、横浜ゴムの航空機事業の部門と接着剤を研究開発している事業部(ハマタイト)のノウハウをつぎ込んで開発された。当時、次世代車両を研究するプロジェクトで試作された。プロジェクトは2008年ごろから動き出したという。EVを意識したものではないが、これからのクルマとして新しいパワートレインと、軽量化のため、カーボンやアルミなどの素材を使った。

接着剤の事業部が参加したのは、軽量化のためカーボンや樹脂素材、そしてアルミを組み合わせるのに接着剤が必要と考えたからだ。とくにカーボンとアルミは溶接するわけにはいかない。この技術は、近年各社が車体プラットフォームやボディシェルに活用されている。マツダは、剛性アップと振動吸収のため、ピラーの補強やシャシーのブレースなどを接着剤で固定している。

横浜ゴムとしては、当然次世代タイヤも研究した。軽量化と転がり抵抗低減のため、トレッド面の両肩を落としたラウンド形状にし、サイドウォールに特殊な整流フィンをつけたタイヤを開発した。接地面積が減るのでコンパウンドも工夫してグリップを確保しているという。205/55 16インチのタイヤの重さは約10kgになるが、この方式で開発されたタイヤは半分の約5kgまで軽くなっている。

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《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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