フェラーリ史上最強の840馬力、『デイトナSP3』発表…最高速は340km/h以上

1960年代に活躍したスポーツプロトタイプがモチーフ

フェンダーに配置されたサイドミラー

0-100km/h加速は2.85秒

シートはシャシーと一体化した固定式

フェラーリ・デイトナ SP3
フェラーリ・デイトナ SP3全 16 枚

フェラーリは11月20日、『デイトナSP3』(Ferrari Daytona SP3)をイタリアのムジェロサーキットで初公開した。2018年の『モンツァSP1』、『モンツァSP2』に続く限定車シリーズの「Icona」の最新モデルになる。

写真:フェラーリ・デイトナ SP3

◆1960年代に活躍したスポーツプロトタイプがモチーフ

デイトナSP3は、1960年代に活躍したスポーツプロトタイプに着想が求められた。1967年2月6日、フェラーリは1967年の国際スポーツカー選手権の初戦のデイトナ24時間レースにおいて、トップ3を独占した。1位に「330 P3/4」、2位に「330 P4」、3位に「412 P」がほぼ横一列に並び、チェッカーフラッグを受けたシーンは伝説となっている。

肉感的なフォルムとシャープなラインが交錯するデイトナSP3の車体は、エアロダイナミクスの重要性が急速に高まっていた頃の330 P4 や「350 Can-Am」、「512 S」などのレーシングカーのデザインに通じるものがあるという。着脱可能なハードトップを備える「タルガ」ボディという選択も、スポーツプロトタイプの世界に倣っている。

頂点が2つあるフロントフェンダーは、512 Sや「712 Can-Am」、「312 P」など、過去のフェラーリのスポーツプロトタイプを参考にしている。バタフライドアにはエアボックスが内蔵されており、サイドに搭載するラジエーターへと空気を導く。結果的に生まれた彫刻的フォルムによって、ドアに明確なショルダーができ、そこに配置されたエアインテークが、ウィンドスクリーンの垂直なカットと視覚的につながっている。

フェラーリ・デイトナ SP3フェラーリ・デイトナ SP3

◆フェンダーに配置されたサイドミラー

ドアの前端はフロントホイールアーチの後部を形成しており、ドアの特長的な表面は、フロントタイヤから出る気流の制御にも貢献する。この表面の処理も、デイトナSP3のデザインに部分的なインスピレーションを与えた512 Sなどのレーシングカーを想起させるという。

サイドミラーの位置は、ドアの前方からフェンダーの頂点へ移動した。これも、1960年代のスポーツプロトタイプを思わせるものだ。この位置が選ばれたのは、視認性を高め、ドアインテークへの気流に及ぼす影響を減らすのが狙い。ミラーのカバーと支柱は、これに特化したCFD(数値流体力学)シミュレーションを行って、インテークへの流れを阻害しない形に整えられたという。

リアには、複数の水平ブレードが配された。テールライトは、スポイラーの下に1本の水平なバーを形成し、ブレードの1列目に組み込まれた。ディフューザー上部の中央には、ツインテールパイプがレイアウトされている。ボディサイズは、全長4686mm、全幅2050mm、全高1142mm、ホイールベース2651mmとした。

フェラーリ・デイトナ SP3フェラーリ・デイトナ SP3

◆0-100km/h加速は2.85秒

デイトナSP3では、排気量6496ccのV型12 気筒ガソリン自然吸気エンジンを、ミッドリアに搭載するレーシングカーの典型的レイアウトを採用した。『812コンペティツィオーネ』のV12エンジンをベースに、搭載位置をフロントからミッドリアに変更。吸排気レイアウトと流体力学上の効率性を最適化した。

40%軽量なチタン製コンロッドを採用し、ピストンにも異なる素材を使用した。また、新ピストンのピンにはダイヤモンド・ライク・カーボン(DLC)コーティングを施し、摩擦係数を下げて、パフォーマンスや燃費を向上させた。クランクシャフトはバランス取りを行ったほか、3%軽量化する。バルブを開閉するのは、F1から派生した「スライディング・フィンガーフォロワー」だ。質量を削減し、より高い性能を引き出すために開発された。吸気システムは再設計。経路全長を短縮するため、マニホールドとプレナムチャンバーがコンパクトになり、高回転域でさらに強大なパワーを発揮する。これにより、フェラーリ史上最強の最大出力840hp/9250rpm、最大トルク71kgm/7250rpmを獲得する。このエンジンの最高回転数は9500rpm に達する。

トランスミッションは7速デュアルクラッチの「F1」。専用チューンにより、シフトチェンジがいっそう素早くなり、操作感も引き上げられた。デイトナSP3は、0~100km/h加速2.85秒、0~200km/h 加速7.4 秒、最高速340m/h以上の性能を可能にしている。

フェラーリ・デイトナ SP3フェラーリ・デイトナ SP3

◆シートはシャシーと一体化した固定式

シャシーはF1の技術を活用した完全なコンポジット製だ。この技術がロードカーで使われたのは、フェラーリでは『ラ・フェラーリ』以来となる。シートはシャシーと一体化した固定式シートで、ドライビングポジションは他のフェラーリより低く、後ろに倒れている。シングルシーターに似たポジションによって、重量削減のほか、全高を1142mmに抑えることを可能にした。ペダルボックスは調整式なので、ドライバーは最も快適なポジションを見つけられるという。

コックピットのテクニカルエリアと乗員エリアを明確に切り離したことで、シートのボリュームをフロアまで拡大できたという。ヘッドレストは、レーシングカーではシートと一体化しているのに対し、デイトナSP3では独立したデザインに。シートを固定し、ペダルボックスで調整するアーキテクチャーの採用により、シートがリアのトリムと完全につながり、コックピットが視覚的に軽快な印象になった、と自負する。

エアロダイナミクスの研究と設計では、インスピレーションの元となった330 P4などのレーシングカーと同様に、純粋にパッシブ式の空力ソリューションのみを活用して、効率を最大化することに力が注がれた。アンダーボディから低圧の空気を抜き出すチムニーなどのソリューションを導入した可動式の空力デバイスを使用せずに、フェラーリ史上最もエアロダイナミクス性能に優れたモデルを実現した、としている。

《森脇稔》

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