ルノー『AIR4』、名車「キャトル」が空を飛ぶ…誕生60周年記念コンセプト

電動パワートレインで飛行する新たなモビリティの提案

フロント側のボディシェルを持ち上げて室内に乗り込む

30年間に世界で800万台以上を販売したオリジナルのルノー4

ルノー AIR4
ルノー AIR4全 12 枚

ルノーは11月26日、コンセプトモデルの『AIR4』(Renault AIR4)を欧州で発表した。AIR4は、ルノーの名車『4』(キャトル)の誕生60周年を祝福する一連のコンセプトカーの最後のモデルとして登場した。

◆電動パワートレインで飛行する新たなモビリティの提案

開発にあたって、ルノーはモーションデザインハブの「TheArsenale」と協力。未来的なショーカーを開発した。オリジナルのルノー4の再解釈として、電動パワートレインによって、4基のローターを動かし、空中を飛行できる空飛ぶ車を提案している。

AIR4は、独立と自由の象徴になるという。地上での交通量が増加している現在、新たなモビリティとして、フランス・コートダジュールのルノーのテクノロジーパークにおいて、企画や設計、組み立てが行われた。

AIR4は、TheArsenaleの「ROAD TO AIR」部門の最初のプロダクトだ。未来の輸送ネットワークが、空にあることを想定している。感情を刺激し、喜びを提供する新しい種類のモビリティの開発を目指すTheArsenaleのパトリス・メイグナンCEOの発案によるものという。

ルノー AIR4ルノー AIR4

◆フロントヒンジのボディシェルを持ち上げて室内に乗り込む

デザインは、オリジナルモデルを現代的に再解釈したものだ。車体はフルカーボン製で、オリジナルモデルのフォルムが再現された。推力やリフトに対応するように設計されており、人工知能(AI)を利用した計算とテストにより、テラバイトのデータが生成された。すべてのデータが分析されて、設計に反映された。設計が完了すると、実際の飛行試験が行われた。

タイヤに代えて、合計4個の2ブレードプロペラを取り付けた。車体はローターフレームの中央に配置されており、フロント側のボディシェルを持ち上げて、室内に乗り込む。

2万2000mAhのリチウムポリマーバッテリーを搭載する。総出力は約9万mAhで、水平方向には毎秒26mで飛行できる。飛行中の傾斜角は45度で、最大傾斜角は70度。安全上の理由から、離陸速度は毎秒14m、着陸速度は毎秒3m、最大高度は700mに制限されている。プロペラは垂直方向の推力が95kgで、4基合わせて380kgとした。

ルノー 4 プレネール(1970年)ルノー 4 プレネール(1970年)

◆30年間に世界で800万台以上を販売したオリジナルのルノー4

ルノー4は1961年に発表された。コンパクトボディに広い室内空間を備えていたのが特徴だった。あらゆるシーンで使い勝手の良いルノー4は、20世紀後半のカーライフを代表する車のひとつだ。1961年の発売から1992年までの30年間に、800万台を超えるルノー4が、ルノーのフランス工場から世界約100か国の顧客に届けられた。とくに、フランスでは乗用車史上最多の生産台数を記録し、「クルマのジーンズ」と称されている。フランス本国では、ルノー『4L』(キャトレール)と呼ばれる。

ウーマンリブ運動が隆盛した1963年には、有名女性誌『ELLE』の読者に48時間、ルノー4を貸し出すという「エル・オペレーション」を実施した。これは、人の未来のビジョンを描くルノー哲学を象徴するイベントとして知られている。このルノー4のエスプリを現代に引き継ぐモデルが、『カングー』とされる。

ルノー4は、その成功のおかげで、さまざまなオプションやコラボレーションモデルが数多く存在している。フランス国内では、郵便局や憲兵隊(国家警察)に納入された。フランスの郵便局向けの車両は、「La Poste(郵便局)」と刻まれた黄色いボディが特徴で、フランス映画にも起用されている。

《森脇稔》

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