BMW M4 新型に「GT4」、最初のテスト完了…2023年デビューへ

参戦コストが抑えられる「GT4」カテゴリー向けレーシングカー

市販モデルとパワートレインを共有

ルーフやリアウィングなどには天然繊維などの持続可能な素材を使用

BMW M4 GT4 次期型の開発車両
BMW M4 GT4 次期型の開発車両全 12 枚

BMW は12月9日、開発中の次期『M4 GT4』が最初のテストを完了した、と発表した。2023年にデビューする予定だ。

参戦コストが抑えられる「GT4」カテゴリー向けレーシングカー

M4 GT4は、BMW『M4クーペ』をベースに、GT4カテゴリーへの参戦を可能にしたレース専用車だ。GT4カテゴリーは、ひとつ上のGT3カテゴリーに対して、参戦コストを大きく抑えることが可能。そのため、GT4車両によるレースは、近年活況を呈しているという。

現行M4 GT4は、世界中で多くの勝利とタイトルを獲得している。次期型の目標は、現行型のサクセスストーリーを継続することだという。これを可能にするために、次期M4 GT4は、現行型の長所に、いくつかの領域での改善を加える予定だ。BMW Mモータースポーツのエンジニアは、パフォーマンスだけでなく、メンテナンスのしやすさとコスト効率も重要視している。GT3カテゴリー向けの『M4 GT3』の部品も採用する予定だ。

BMW M4 GT4 次期型の開発車両BMW M4 GT4 次期型の開発車両

新型M4クーペをベースにした次期M4 GT4の開発は、ゼロから始まった。2020年9月にコンピューターでのシミュレーションを開始し、2021年の夏に最初のテスト車両が組み立てられた。 FIA(国際自動車連盟)承認のセーフティケージを含めたシャシーは、市販車も生産しているドイツ・ディンゴルフィングのBMWグループの工場から供給される。

プライベートのBMW Mモータースポーツチーム向けに設計されており、メンテナンスのしやすさや参戦コストを重視している。現行型と同じように、次期M4 GT4はこの点で新しいベンチマークを打ち立てる、と自負する。

市販モデルとパワートレインを共有

エンジン、トランスミッション、電子機器などのパワートレインは、市販モデルと同じものが採用される。市販車の場合、パワートレインには、最新のBMW Mツインパワーターボテクノロジーを採用した。このエンジンは、「S58」型と呼ばれる直噴3.0リットル直列6気筒ガソリンツインターボユニットだ。

BMW Mの他の高性能モデルと同様に、2つのパフォーマンスレベルが用意される。標準仕様は、最大出力が480hp/6250rpm、最大トルクが56.1kgm/2650~6130rpmだ。トランスミッションは6速MTを組み合わせた。動力性能は、0~100km/h加速が4.2秒、最高速が250km/h(リミッター作動)。オプションの「Mドライバーズパッケージ」では、最高速が290km/h(リミッター作動)に引き上げられる。

BMW M4 GT4 次期型の開発車両BMW M4 GT4 次期型の開発車両

さらなる高性能を求める顧客には、「コンペティション」を設定する。直噴3.0リットル直列6気筒ガソリンツインターボエンジンは、最大出力が510hp/6250rpm、最大トルクが66.3kgm/2750~5500rpmに高められた。トランスミッションは「ドライブロジック」を搭載した8速「Mステップトロニック」を組み合わせる。

動力性能は、0~100km/h加速が3.9秒、最高速が250km/h(リミッター作動)。オプションの「Mドライバーズパッケージ」では、最高速が290km/h(リミッター作動)に引き上げられる。

ルーフやリアウィングなどには天然繊維などの持続可能な素材を使用

BMW M4 GT4 次期型の開発車両BMW M4 GT4 次期型の開発車両

次期M4 GT4には、マルチレベルのトラクションコントロールをはじめ、モータースポーツ向けの設定を採用する。GT4クラスの課題の冷却性にも重点が置かれた。ルーフやリアウィングなどには、カーボンやCFRPに代えて、天然繊維などの持続可能な素材を使用する。BMW Mモータースポーツは、この分野でBcomp社と協力する。また、 開発パートナーには、H&R、Ravenol、レカロが名前を連ねる。

開発テストを担当しているBMW Mのワークスドライバー、イェンス・クリングマン選手は、「人間工学が追求されたシートや操作のしやすさ、現行型にはない新しい機能が次期型にはある。次期型は、エンジンのトップレンジが広く、限界までプッシュできる。今後1年をかけて、プライベートチームやドライバーが乗りやすい車両に仕上げていく」と語る。

なお、2022年の初めに、次期M4 GT4には2台目のテストカーが加わる予定、としている。

《森脇稔》

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