ステランティス、電動SUVコンセプト発表へ…CES 2022

2020年の『エアフロービジョン』の進化版

次世代EV向け車台を採用し航続は800kmレベルか

「iPhone」生産のフォックスコンとインフォテインメントの開発で協力

クライスラー・エアフロー・コンセプト
クライスラー・エアフロー・コンセプト全 11 枚

ステランティスは12月22日、米国ラスベガスで2022年1月に開催されるCES 2022において、クライスラー『エアフローコンセプト』(Chrysler Airflow Concept)を初公開すると発表した。

◆2020年の『エアフロービジョン』の進化版

モデル名の「エアフロー」は、1930年代のクライスラーのフルサイズセダンの名前に由来している。エアフローは、エアロダイナミクスを本格的に導入した最初の市販車と言われており、当時としては画期的な空力フォルムを備えていた。

エアフローコンセプトは、2020年のCES 2020で初公開された『エアフロービジョン』の進化版だ。エアフロービジョンは、1930年代のフルサイズセダンを、最新の電動技術とデザインで再現したコンセプトカー。ドライバーと乗員が高度なテクノロジーとどのようにやり取りできるかを考えることにより、次世代のプレミアムモビリティやユーザーエクスペリエンスを表現したデザインコンセプトカーを提示していた。

◆次世代EV向け車台を採用し航続は800kmレベルか

CES 2022で初公開される予定のクライスラー エアフローコンセプトは、前回のエアフロービジョンよりも、市販化を意識したデザインを採用する。フォードモーターのフォード『マスタング マッハE』などに対抗する電動SUVになる。

ステランティスは、クライスラーを含めた14ブランドの電動車両の基礎となる4種類の次世代EV向けプラットフォームを導入する計画だ。これらのプラットフォームは、全長や全幅を変えられる高いレベルの柔軟性や、部品の共有を考慮して設計されており、各プラットフォームが年間最大200万ユニットを生産し、さらなるコスト削減を進める。

4つのプラットフォームは、「STLAスモール」が航続最大500km、「STLAミディアム」が航続最大700km、「STLAラージ」が航続最大800km 、ジープ向けの「STLAフレーム」が航続最大800kmを目標にしている。このうち、エアフローコンセプトの市販版には、STLAラージが採用されると見られる。

EVパワートレインには、モーター、ギアボックス、インバーターを一体設計した電気駆動モジュール「EDM」を3種類用意する。これらのEDMはコンパクトで柔軟性があり、前輪駆動、後輪駆動、全輪駆動、プラグインハイブリッド車の「4xe」用にカスタマイズできる。プラットフォーム、EDM、高エネルギー密度バッテリーパックの組み合わせにより、効率、航続、充電においてクラス最高のパフォーマンスを備えた車両を実現していく。

◆「iPhone」生産のフォックスコンとインフォテインメントの開発で協力

ステランティスは、パートナーのフォックスコン・テクノロジー・グループ(鴻海科技集団)と、エアフローコンセプトの開発で協力する。次世代のプレミアムトランスポーテーションとユーザーエクスペリエンスに対する両社の考え方を提示することを目指す。

両社は合弁会社の「Mobile Drive」を設立する。Mobile Driveは、高度な家電製品、HMIインターフェース、サービスによって実現される革新的な車内ユーザーエクスペリエンスを提供するために、開発スケジュールを加速させることを目的とした50/50の議決権を持つジョイントベンチャーだ。

Mobile Driveでは、ステランティスのグローバルな車両設計やエンジニアリングの専門知識と、Apple社の「iPhone」の生産を請け負っており、シャープの親会社でもあるフォックスコンの進化するスマートフォンや家電製品のソフトウェア、ハードウェアの領域におけるグローバルな開発力を融合する。この組み合わせにより、Mobile Driveは、車内外でシームレスに接続された車内情報や新しいエンターテインメント機能を提供する。

なお、Mobile Driveは、インフォテインメント、テレマティクス、クラウドサービスのプラットフォーム開発に注力し、人工知能(AI)ベースのアプリケーション、5G通信、OTA(Over The Air)によるサービス、eコマースの機会、スマートコックピットの統合環境などのソフトウェアイノベーションに注力する、としている。

《森脇稔》

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