あなたに合ったタイヤ、ちゃんと選べていますか?命を乗せるタイヤ その価値を知ればカーライフは変わる タイヤ選びの重要性を菰田潔が伝授

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モータージャーナリスト 菰田潔
モータージャーナリスト 菰田潔全 10 枚

突然ですが皆さんは、クルマの走行や安全性に、タイヤが重要な役割を果たしているということを意識されたことはありますか?

私は、モータージャーナリストになる前はタイヤのテストドライバーをしていました。そのため当然ですが、様々な状況下においてタイヤがクルマにどのような影響をもたらすのかも熟知しています。またレース経験も多くあるので、高速度領域ではタイヤが全てを司るということを思い知らされるリアル体験をしてきました。

今日は、「クルマにとってタイヤが如何に大事な存在なのか」を皆さんにお話したいと思います。

タイヤは命を乗せている。皆さんにはタイヤの「役割」と「価値」を知ってほしい。

タイヤというものは、クルマにとって1つのパーツに過ぎないと思われる方がいらっしゃるかもしれませんが、実はとても重要な役目を果たしているのです。それはタイヤがクルマの部品の中で唯一路面と接している保安部品だからです。つまりクルマの原理原則である、走る、止まる、曲がる、という基本性能と安全性に関わるこの3つの要素を、すべてタイヤが担っているのです。

クルマのタイプや使用用途によってタイヤの種類も様々クルマのタイプや使用用途によってタイヤの種類も様々

さらに付け加えると、車の重量を支え、路面からの衝撃をやわらげるという役目も、実はタイヤによるものなのです。

つまり、ハンドル、アクセル、ブレーキの効きに影響を与えるタイヤは、クルマの印象や評価をも左右する重要な役割を持つ必要不可欠な存在なのです。決してクルマを走らせるだけのタダの黒いゴム製品ではありません。このポイントをしっかり意識すれば、カーライフがより充実したものになります。

ブリヂストンが考えるタイヤに大切な7つの性能」とは?

そんなタイヤは、実は1本あたり手のひら程度の小さな面積だけで路面に接しています。つまり車の全パワーと重量をタイヤが受け止め、支える、伝える、やわらげる、曲がる、つながる、をたったそれだけの小さな面積の路面に伝えているのです。

タイヤの5つの役割タイヤの5つの役割

そんな環境の中でタイヤはさまざまな性能を発揮してくれています。タイヤメーカーのブリヂストンはタイヤの役割を果たすだけでなく、安心・安全を追求しお客様のニーズにお応えするためにタイヤに大切な7つの性能が重要だと考えています。

ブリヂストンが考えるタイヤの大切な7つの性能ブリヂストンが考えるタイヤの大切な7つの性能

上記の7つの性能を踏まえて皆さんに知っていただきたいのは、何よりも大切なのは「タイヤは我々の命を乗せている」ということです。つまり、ドライバーそれぞれのニーズにマッチさせることはもちろんのこと、安心、安全なドライブをサポートすることを大前提に、これらの性能をもとにしてタイヤ作りがされているということです。

そんな背景を考えながら、皆さんにはタイヤにもっと興味を持っていただき、愛車に適したタイヤ、ご自身の走り方やライフスタイルに合ったタイヤをちゃんと選んで履いていただくことが、如何に安心、安全に繋がるのか、ということをぜひ知っていただきたいと思います。

タイヤは人相学 「トレッドパタン」の意味と「特性」を知る

上述では安心・安全を追求し、お客様のニーズにお応えするために、タイヤに大切な7つの性能を紹介しました。では、その性能を発揮させるために、タイヤにどのような工夫がなされているかをお話します。

タイヤのトレッド部には、いろいろな溝や切り込みが入れてあり、これをトレッドパタンと言います。

タイヤのトレッドパタンタイヤのトレッドパタン

タイヤのトレッドパタン(接地部分の模様)を見ると、そのタイヤの性格がわかります。ある意味でタイヤの人相学と言えます。路面に接地するゴムの面積が広いと、ドライ性能とウェット性能が良くなります。ただし、水たまりなどの水深が深くなった道を通ると、ハイドロプレーニング現象(水の影響で路面にタイヤがしっかり設置していない浮いた状態)が起こり危険なため、水捌けの良い太いストレートグルーブ(溝)を作ります。

トレッドパタンの一つのブロックが大きいほどしっかりとグリップしてくれます。大きな力がかかってもゴムが変形しにくく倒れ込まないからです。こういうタイプはほとんどがスポーティータイヤとしてカテゴライズされています。

そして「静粛性」に富んだタイヤも数多く販売されています。これもトレッドパタンを見ればわかります。ブロックが縦につながって横方向の切れ目がないタイヤは、パタンノイズ(パタンデザインに起因する音で、「ヒュー」「シャー」といった高周波音域の音のこと)が少ない傾向です。サイプと呼ばれる小さな切れ込みが多いと、その分ブロック剛性が弱くなるので、グリップ性能としては不利ですが、乗り心地は当たりがソフトになるので好む人も多いでしょう。

専用設計タイヤとは?

専用設計タイヤという商品も用意されている専用設計タイヤという商品も用意されている

現在では、SUVやミニバンなど車のボディタイプに合わせた専用設計タイヤという商品もあります。例えばSUV専用設計タイヤとは、重量があり、車高も高いというSUVの特性に合わせたタイヤです。これはSUVのサスペンション特性(アライメント)に注目した設計になっています。タイヤをしっかりグリップさせてクルマを安定させるために、極端な表現をすると前後方向から見たときに、左右のタイヤがハの字(ネガティブキャンバー)になっています。そこでタイヤのトレッドパタンを非対称にし、外側と内側でデザインを変えました。内外側のブロック剛性を最適化することで、ハの字で接したときにしっかりとグリップします。加えてサイドウォール剛性を高めた構造を採用して、SUVの特性に合わせたタイヤを設計しているのです。

つまり、専用設計タイヤとは、そのクルマのキャラクター性を十分に理解した上で、さらにそのポテンシャルを引き出すべく設計されています。ですから、そのクルマにとってベストなタイヤと言えるわけですから、積極的に選ばれることをぜひおすすめしたいですね。

新車装着タイヤを基準に購入検討

ここまでは、皆さんのクルマに合うように色々なタイプのタイヤが販売されていることをご紹介してきましたが、今度は新車装着タイヤというものについてお話します。

実は、ブリヂストンが考えるタイヤ選びの基準として「新車装着タイヤを基準にちゃんと買い」という考えがあります。これはクルマの性能を引き出すためのタイヤの選び方を示しています。

そもそも新車購入時に装着されている『新車装着タイヤ(OEM)』というものは、全方位に高いレベルで作られているタイヤです。摩耗性能、転がり抵抗、乗り心地、静粛性、直進安定性、ウェット・ドライ性能などを高めており、そのクルマに合ったタイヤが作られているのです。

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クルマからエンジンがなくなって電気で走る時代になっても、タイヤの役割はまったく変わりません。走る、止まる、曲がるの基本はタイヤが担っています。タイヤとクルマの密接な関係値に変わりはありません。

タイヤ交換の重要性とは

よく、「タイヤの交換時期はいつが良いでしょうか?」とか「私は1.6mmのスリップサインが出てきたら替えます。」などの話しを耳にします。実はこれは車検の合格基準であって、安全を考えた場合はもっと前のタイミングで交換が必要である、と私は考えます。

タイヤというのは、新品時に7mm~8mmほどの溝深さがあります。走っていくとゴムが減って溝が浅くなります。安全を優先すれば5分山以下、つまり4mm以下になったら交換時期というのが私の意見です。溝が浅くなっているということは、雨の日の高速道路でハイドロプレーニング現象が起こりやすくなるからです。

ゴムは経年劣化で変化するので、購入してからもこまめな点検をしましょう。

日々の点検が安心、安全を生み出す

タイヤはアフターメンテナンスがとても重要です。まずは空気圧のチェックです。ブリヂストンでは「月に一度はタイヤ点検を」と推奨しています。タイヤは、季節による気温の低下によって自然に空気が漏れることがあります。そこで定期的にタイヤ空気圧をチェックしましょう、というものです。

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また、これは私の考え方ですが、2週間に1回タイヤ空気圧をチェックするのが良いと考えます。なぜなら「スローパンクチャー」という、気付かぬままゆっくりと空気が抜けていく現象を発見できるメリットがあるからです。知らないうちに空気が抜けていくと、タイヤの横側「サイドウォール」に負荷を掛けすぎてしまいゴム自体を痛めてしまい、最悪の場合バーストを起こす危険も潜んでいるからです。1輪だけ空気圧が低いことがわかったらスローパンクチャーを疑いましょう。もしも、夜の雨の高速道路の路肩でタイヤ交換することになれば命懸けの危険な作業になります。そんなことにならないように事前にチェックすることが重要です。これはガソリンスタンドに行けばセルフで簡単にできます。一般的には運転席ドア付近に空気圧数値が記されているので、まずはそこをチェックしてみましょう。ぜひ給油の際にでも一緒に確認していただくことをおすすめします。

それから、タイヤに亀裂が入っていないかや、溝に小石が挟まっていないかなどのチェックも大切です。これらは、走行中に発生するバーストの原因にもなり、万が一起こった時はハンドル操作を失い取り返しの付かない事態も起こりえます。そのために意識して定期的にチェックしておくことをおすすめします。ご自身の日々の簡単なチェックで、最悪のケースを回避することが可能なのです。

あなたに合ったタイヤ選び、そして日々の簡単なチェックとタイヤへの労いの気持ちが大切

タイヤというものは、実はとてもデリケートな商品でもあります。ただでさえ重量の重い車なのに、そこに我々をも乗せながら、灼熱のアスファルトや荒れた路面を、雨の日も雪の日も台風の日も、ずっと支え続けています。とても負荷が掛かっているハードワーカーです。快適なドライブを提供するための縁の下の力持ちでもあり、ドライバー、そして乗員全員の命を預かっているパーツと言っても過言ではありません。

今よりも少しタイヤのことを見直すことで、あなたの愛車の健康状態を保つことも可能なのです。そして日々の簡単なチェックと労いの気持ちでタイヤに接することで、急なパンクやバーストなど、事故のリスクも減らすことができ、何よりも大切な人を守れることにも繋がるのです。

繰り返しとなりますが、最後に。タイヤは命を乗せています。皆さんにはタイヤの「役割」と「価値」を知っていただいた上で、最適なタイヤと出会っていただくことを私は願っています。そのタイヤが素敵な相棒になればカーライフはより良いものになることでしょう。これからもタイヤと共に素敵なドライブをお楽しみください。

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撮影協力:ROJU NAKAMEGURO

菰田 潔|モータージャーナリスト
1950年 神奈川県川崎市生まれ。自動車レース、タイヤテストドライバーの経験を経て、1984年から新型車にいち早く試乗して記事を書くフリーランスのモータージャーナリストになる。特にタイヤへの造詣が深い。BOSCH認定CDR(クラッシュデータリトリーバル)アナリスト。日本自動車ジャーナリスト協会会長。日本カーオブザイヤー選考委員。

《こもだきよし》

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