EV、次の主戦場はコンパクトカーセグメントか…ルノー日産・三菱アライアンスの新戦略

CMFB-EVプラットフォーム(ルノー日産三菱アライアンス会見)
CMFB-EVプラットフォーム(ルノー日産三菱アライアンス会見)全 10 枚

2021年半ば以降、国内でもEV市場が本格化する気運が出始めた。21年12月のトヨタのEVラインナップに続き、2022年1月のソニーEVの市場参入などビッグニュースが相次いだ。だが、世界はすでに次のフェーズも見ているようだ。

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現在、EVの主戦場はプレミアムカーとの見方が主流だ。これは紛れもない事実だが、中長期の経営戦略では先を見据える必要がある。EVに限らず、一般論としてプレミアムカーに搭載された機能や技術はやがてコンパクトカーや普及モデルにも降りてくる。EVについても各社が次に目指すのは、市場のボリュームゾーンであるB、Cセグメントのコンパクトカーのはずだ。

この動きは市場にも現れている。2020年西ヨーロッパの全EV・PHEV販売ではルノー『ゾエ』がテスラ『モデル3』を1万台以上も上回った(9万7000台以上:Schmidt Automotive Research調べ)。2021年はVWの『ID.3』(約4万4000台)と『ID.4』(約3万3000台)の合計が西ヨーロッパでテスラ・モデル3を上回っている。テスラが『モデル2』と呼ばれる廉価・普及モデルの販売を計画しているのも既報どおりだ。

1月27日にルノー日産・三菱の3社アライアンスが開催したオンラインプレスカンファレンス「ALLIANCE 2030」では、グループとしてコンパクトカーセグメント向け共通プラットフォーム「CMFB-EV」が発表された。このプラットフォームは日産『マイクラ』後継、ルノー『5』新型への採用が決定している。

日産マイクラ後継日産マイクラ後継

CMFB-EVは、ピュアEV用に設計されたプラットフォームだが、エンジン車にも採用されていたCMF-Bの資産も受け継ぐという。過去資産の継承と共通化によるコストメリットでコストをゾエより3割ほど下げられるという。航続距離は400kmを基準とし、ルノーグループが展開するCMF-Bの車両はすべてCMF-BEVへのキャリーオーバーが可能だという。多様なバッテリーレイアウトと2モーター・4WDにも対応し、コンパクトカーからSUVまでカバーする。

グループでは、CMFB-EVがアライアンスすべての中核プラットフォームになると位置付けており、2025年には年間300万台規模の共通プラットフォームになるという。開発リーダーが日産である日産『アリア』、ルノー『メガーヌE』のCMF-EVプラットフォームより、ルノーが開発リーダーであるCMFB-EVをグローバル戦略の中核に据えたいというルノーの意向も見え隠れするが、EUや日本でのボリュームゾーンセグメントであり、注力する必然性はある。

ルノー5(サンク)プロトタイプEVルノー5(サンク)プロトタイプEV

テスラCEO イーロン・マスク氏は、期せずしてモデル2(2万5000ドルEV)の発売延期をアナウンスした。既存モデルの生産体制強化、売り損じ回避を優先するため、「今年中の新型はない」とツイートしたのだ。コンパクトカーや普及モデルEVの市場投入を考えているライバルには朗報だ。このセグメントで先行できるからだ。

業界ではこれまで、ハイブリッドやEVは既存モデルへの追加仕様ではなく専用車種でなければ売れないという認識があった。だがハイブリッドはすでに既存車種への展開が進み、パイオニアのトヨタ『プリウス』でさえ役目を終えたという見方がある。グローバルでは、アウディやメルセデスベンツ、ステランティスが既存ラインナップの延長にEVモデルを設定している。三菱は先のオートサロンで『eKクロス』そのものの外観の軽EV(日産『SAKURA』と兄弟車か)を展示した。

既存車種をEV化でモデルチェンジしていくスタイルは、いまのところまだチャレンジングな取り組みかもしれない。だが、日産マーチ(マイクラやルノー5のEVホットモデルが発売されたら欲しいと思う人はいると思う。買ってしまえばランニングコストが低く、コンパクトカーほど自宅の普通充電との相性がよい。EVの次の戦場はコンパクトカーかもしれない。

ルノー日産三菱アライアンス会見ルノー日産三菱アライアンス会見

《中尾真二》

テクノロジージャーナリスト・ライター  中尾真二

アスキー(現KADOKAWA)、オライリー・ジャパンの技術書籍の企画・編集を経て独立。現在はWebメディアを中心に取材・執筆活動を展開。インターネットは、商用解放される前の学術ネットワークの時代から利用し、ネットワーク、プログラミング、セキュリティについては企業研修講師もこなす。エレクトロニクス、コンピュータのバックグラウンドを活かし、自動車業界についてもテクノロジーを中心に取材活動を行う。

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