ラリーの帝王セバスチャン・オジェ、世界耐久選手権LMP2クラスに参戦

ラリーの帝王セバスチャン・オジェがWEC LMP2クラスに参戦する(写真はGR010のテスト時)。
ラリーの帝王セバスチャン・オジェがWEC LMP2クラスに参戦する(写真はGR010のテスト時)。全 7 枚

1月31日、昨季(2021年)の世界ラリー選手権チャンピオンで通算8冠の“帝王”セバスチャン・オジェが、今季(2022年)の世界耐久選手権LMP2クラスに参戦することが発表された。

WRC(世界ラリー選手権)とWEC(世界耐久選手権)は、3字の略称にすると真ん中の1字が違うだけ。もちろんWRCはラリーの世界最高峰で、WECはサーキットにおける耐久レースの世界最高峰、まったくの別ものであるわけだが、WRCの頂点を8度極めたセバスチャン・オジェ(フランス、38歳)が耐久レース本格参戦へと針路をとることになった。

オジェは2022年シーズンのWECに、LMP2クラスの「リシャール・ミル・レーシングチーム」(Richard Mille Racing Team)から参戦する(フル参戦とされる)。LMP2は、WECの“スピード・ヒエラルキー”において最上位の「ハイパーカー」に次ぐ位置づけのクラス。 オジェとトリオを組むのはシャルル・ミレッシとリル・ワドゥーである。マシンはカーナンバー1のオレカ07-ギブソン。

オジェは昨季、WRCで自身通算8度目のドライバーズタイトル獲得をトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing World Rally Team)で成し遂げ、今季もトヨタに残留しているが、フル参戦はしない意向での残留となっていた(今季WRC開幕戦モンテカルロには出場して2位)。

一方でオジェはトヨタ(TOYOTA GAZOO Racing)のWECハイパーカー・クラス参戦車「GR010 HYBRID」のテスト走行をするなど、異なるフィールドへの挑戦意欲を示していた。そして今季は、WECのセカンドクラスであるLMP2を主戦場とすることになったのである。

オジェは「これまではラリーのキャリアにフォーカスしていたわけだけれど、耐久レースは良いチャレンジになる、ずっとそう思ってもいたんだ。LMP2はファンタスティックなカテゴリーであり、自分が耐久レースの最高レベルに到達するためのベストな道だとも思う」と語っており、将来的なハイパーカー・クラス挑戦の礎としてのLMP2クラス参戦、といえそうだ。

オジェのWEC LMP2クラスでの僚友となったミレッシは、昨季のLMP2でチャンピオンとなったドライバーのひとり(当時はチームWRTに所属、ルマン24時間でもクラス優勝)。昨年11月のテスト時にはオジェ同様にトヨタGR010に乗ったドライバーでもあり、日本のスーパーフォーミュラに参戦した経験も有する選手だ。もうひとりのワドゥーはアルピーヌ・エルフ・ヨーロッパカップで女性初のレースウイナーになったとされる選手で、ミレッシ、ワドゥーとも2001年生まれという若手有望株である。

ちなみにオジェは今季WRC開幕戦モンテカルロで、やはり今季WRCフル参戦の予定ではない“先輩帝王”セバスチャン・ローブ(もうすぐ48歳、WRC9冠)と熾烈な優勝争いを展開したばかりだが(優勝ローブ、2位オジェ)、ローブはWRCを9連覇していた時代から多彩なチャレンジを敢行しており、耐久レースでは2006年のルマン24時間で総合2位になっている。オジェもローブ同様に高いサーキット適性を示すのだろうか、期待されるところだ。

LMP2クラスで腕を磨くオジェにも大きな注目が集まる2022年のWECは、3月に米国セブリングで開幕する予定。9月には日本戦(富士スピードウェイ)もラインアップされている。

なお、1月に発表されたWECのシーズンエントリーリスト暫定版によると、今季のハイパーカー・クラスへの参戦は6台(ルマン・ハイパーカー=LMH規定車が5台、旧LMP1規定車1台)。トヨタGR010が小林可夢偉らの7号車と平川亮らの8号車で、グリッケンハウス 007 LMHが1台、アルピーヌA480-ギブソン(旧LMP1)が1台、そしてファンと関係者の熱い視線が注がれるニューカマー、プジョー9X8が2台という布陣になっている。

(*ただしプジョーは開幕戦不出場を表明済みで、1月31日付けの開幕戦エントリーリスト暫定版にもプジョー勢の名は記載されていない。9X8の実戦登場は第2戦以降になる見込み)

《遠藤俊幸》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. トヨタ RAV4 新型、PHEVのEV航続は150km
  3. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  5. スバルマークの方が似合う? 新型ダイハツ『ムーヴ』のスバル版にSNSも注目!
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  2. 中国EV「XPENG」、電動SUV2車種を改良…新電池は12分で80%充電可能
  3. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
ランキングをもっと見る