スマートシティモデルプロジェクトの支援や全国への横展開、都市のデジタルトランスフォーメーション(DX)やデジタルツインの実現に欠かせない3D都市モデルについて、国土交通省都市局都市計画課都市計画調査室専門調査官の井川敬大氏に聞いた。
スマートシティ・ガイドブックで支援
---;近年の新しい取組みについて教えてください
井川氏:スマートシティは内閣府が全体総括、総務省、経済産業省、国土交通省がモデル事業の構築と全国への横展開を担うといったように関係府省連携での施策推進体制になっています。
令和3年度は、スマートシティの全国での計画的な実装に向けた取組の一環として、関連府省合同にて公募を実施し、62地域、74事業を採択しました。官民連携プラットフォームの枠組みのもと、関係府省が連携しながらモデル事業を支援しています。
また2021年4月に、内閣府、総務省、経済産業省、国土交通省が連携して、スマートシティの構築・運営を支援するための「スマートシティ・ガイドブック」を作成しました。ガイドブックではスマートシティの意義や必要性、基本コンセプト、進め方、進める上でのポイントと対策などを掲載しています。国土交通省都市局では、「スマートシティモデル事業等推進有識者委員会」を2021年12月に設置し、スマートシティ・ガイドブックの深化も視野に検討を進めているところです。
また、国土交通省都市局では、実世界をサイバー空間に再現する3次元の地理空間データ「3D都市モデル」をProject PLATEAU(プロジェクト プラトー)と銘打ち、3D都市モデルのデータ整備、ユースケースの開発、3D都市モデルの利活用ムーブメント惹起とオープンデータ化に取り組んでいます。
3D都市モデルは安価に作れることを売りに
---;3D都市モデルはどのように作るのでしょうか?
井川氏:建物、道路、街区などの2次元の都市計画基本図に、航空測量を使って取得する建物の高さや形状などの3次元情報を組み合わせて立体的な都市モデルを作成、これに都市計画基礎調査にて取得する建物・土地利用現況などの各種データを加えることにより3D都市モデルを構築します。都市計画基本図の作成や都市計画基礎調査は過去より市町村で実施されており、既存の基本図作りや基礎調査の予算内で3D都市モデルが構築できることが特徴の一つとなっています。
社会課題の解決(ユースケース開発)とともに
---; Project PLATEAUの今後のスコープについて教えてください。
井川氏:PLATEAUの取組はまだ始まって間もない黎明期にあります。国土交通省として、3D都市モデルをこれからの社会の「デジタル・インフラ」と位置づけ、その整備・活用を全国に展開していきます。また、データ整備の効率化のための自動生成ツールの開発、より高度な情報を格納するための標準仕様の拡張、先進的なユースケース開発によるベストプラクティスの創出等にも取り組み、その成果を全国に波及させていきます。3D都市モデルの整備・活用・オープンデータ化のエコシステムの構築に向け、まちづくりに関わる官民の多様なプレイヤーの参画を期待しています。
官民連携プラットフォームへの参画企業の募集
井川氏:国土交通省都市局は、スマートシティの取組みを官民連携で加速する「官民連携プラットフォーム」の事務局を担っています。このプラットフォームを通じて、事業支援、分科会の開催、マッチング支援、普及活動などを行っています。2022年1月31日時点で、会員とオブザーバーを合わせて871団体に参画して頂いており、民間企業も数多くいらっしゃいます。今後1000団体にしようと目標を立てており、スマートシティの推進に意欲的な地方自治体や民間団体であれば会員・オブザーバーになれますので、是非参画していただきたいと思います。
井川氏が登壇する無料オンラインセミナー「国土交通省のスマートシティ推進に向けた取組み」は2月25日開催 詳細はこちらから