特急『やくも』に新型振子車 273系、2024年春から投入…現行381系は国鉄特急色に

381系の後継として投入される273系のイメージ。従来よりエネルギー変換効率に優れたVVVF制御車となる。車内は抗菌・抗ウイルス仕様で、車内防犯カメラ、空気清浄機、多目的室、車内WiFi、大型荷物スペース、LED照明など近年の車両トレンドが盛り込まれる。座席もシートピッチの拡大や座り心地の向上が図られ、全席にコンセントが設けられる。
381系の後継として投入される273系のイメージ。従来よりエネルギー変換効率に優れたVVVF制御車となる。車内は抗菌・抗ウイルス仕様で、車内防犯カメラ、空気清浄機、多目的室、車内WiFi、大型荷物スペース、LED照明など近年の車両トレンドが盛り込まれる。座席もシートピッチの拡大や座り心地の向上が図られ、全席にコンセントが設けられる。全 8 枚

JR西日本は2月16日、岡山~出雲市間を伯備線経由で結ぶ特急『やくも』の381系特急型電車を、2024年春以降に新型の「273系」に置き換えると発表した。

現在の『やくも』は、山陽新幹線が岡山まで達した1972年3月改正から運行を開始。当時は181系特急型気動車が運用されていたが、伯備線全線と山陰本線伯耆大山~出雲市~知井宮(現・西出雲)間が電化された1982年7月には、全列車が純粋な自然振子による車体傾斜機能を持つ381系に置き換えられた。

当初はすべてが国鉄特急色だったが、JR移行後の1994年12月改正では前面展望式グリーン車のクロ380を連結した『スーパーやくも』が運行を開始し、薄紫を基調とした塗色が登場。1997年からは通常の『やくも』に緑とグレーを基調とした新塗色が登場すると、国鉄特急色が次第に姿を消していった。

2006年3月改正では『スーパーやくも』の名がなくなり『やくも』に1本化。翌年からは「ゆったりやくも」と称したリニューアル車が登場し、この頃から赤・白をベースとした現行の塗色が姿を見せるようになった。そして2011年に全車が「ゆったりやくも」化されたことを機に塗色が統一されている。

2015年に紀勢本線系の『くろしお』や、北近畿方面への『きのさき』『こうのとり』『はしだて』から381系が撤退すると、『やくも』を受け持つ後藤総合車両所出雲支所のみの配置となり、2021年4月1日時点で62両が在籍している。

381系は、JR東日本の185系特急型電車と並ぶ最後の国鉄特急型電車として注目されていたが、185系は2021年3月改正で定期運用を離脱しており、残るは381系のみとなっていた。

なお、2022年は『やくも』が岡山発着で運行を開始して50周年を迎えることから、381系6両編成1本が国鉄特急色に復元され、3月19日から『やくも8・9・24・25号』で運用される。

一方、新たに4両編成11本計44両が投入される273系特急型電車は、制御付きの自然振子式となる。伯備線にはJR四国の車体傾斜式8600系特急型電車が入線したことがあり、381系の後継は振子式車体傾斜ではなく空気バネ式の車体傾斜式になるのではとも目されていたが、前者が承継されることになった。

しかし273系は、従来の制御付き自然振子と異なり「車上の曲線データと走行地点のデータを連続して照合し、適切なタイミングで車体を傾斜させる」車上型となる。

これはJR西日本、鉄道総合技術研究所、川崎車両(旧川崎重工業車両カンパニー)が共同で開発したもので、従来は、走行位置を線路内に置かれた自動列車停止装置(Automatic Train Stop=ATS)の地上子により検出していたが、273系では車上で検出できる模様で、国内の鉄道車両としては初の導入となる。

6両編成1本が国鉄特急色に復元される381系『やくも』。国鉄特急色の381系は2016年以来となる。6両編成1本が国鉄特急色に復元される381系『やくも』。国鉄特急色の381系は2016年以来となる。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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