目がクラクラ…ルノー オーストラル「ダズル迷彩」の意図

ルノー・オーストラル(プロトタイプ)
ルノー・オーストラル(プロトタイプ)全 21 枚

ルノーの新型車、『オーストラル』の先行発表では、車体がユニークなデザインの粘着シートで覆われていた。テスト車両のカモフラージュを美的な作品にできないか? それがルノー・デザイン部のデザイナー、フランソワの挑戦だった。

【画像全21枚】

自動車の新型車は、公式発表の前に公道でテスト走行を行うが、車体のラインやスタイリングを隠すためにカモフラージュを施す。ルノーによるとテスト車両がカモフラージュする理由はシンプル。公式発表のときのサプライズをより大きなものにするためだ。だからカモフラージュは新型車の特徴的なデザイン要素を隠すようにする。

ルノーのデザインチームは自分達の作品に自負を持っているものの、テスト車両が醜い姿で走ることを強制されていたわけだ。いっぽうでフランソワはテスト車両の偽装で「ブランドの新しいビジュアル・アイデンティティを表現できないか」と考えた。

カモフラージュには主に2つのやり方がある。ひとつはフェイクのパネルや部品を追加して、新型車の本当の姿を隠す。もうひとつは、車体の表面をステッカー(粘着シート)で覆う。オーストラルの車体に貼るステッカーの柄をデザインしながら、フランソワはそもそもの疑問を感じていた。「美しいものをなぜ醜い表面の下に隠さなければならないのか?」そして「アートでアートを隠せないのか?」と。

フランス海軍軽巡洋艦グロワール(1940年ごろ撮影)フランス海軍軽巡洋艦グロワール(1940年ごろ撮影)

第一次世界大戦でイギリス艦隊は「ダズル」と呼ばれる迷彩塗装を用いた。艦の全体を、白と黒の2色のグラフィックなシェイプで覆ったのだ。強烈なコントラストは艦の大きさや形状を判別しにくくするためだった。オーストラル開発の公道試験の段階では、全体のラインを隠すことが求められた。フランソワはダズル迷彩を取り入れ、白と黒の強いコントラストで見た者の視覚を幻惑させることにした。

フランソワはデザイン案の初期から、新しいブランドコード、特にエンブレムを絡めることも決めていた。さまざまな大きさのエンブレムをあしらって、インパクトのあるモチーフとアイデンティティの訴求とを両立させた。

フランソワのデザインしたカモフラージュは、白と黒の強いコントラスト、モチーフの大小、コントラストの中のアクセントが特徴だ。蛍光色が路上でのインパクトをさらに増している。オーストラルのカモフラージュは同じ模様を繰り返すステッカーではなく、部分ごとに適切なパターンが用いられている。まるで大きなパズルだ。

印象的なラインが多用されているものの、充分にカモフラージュとして機能している。そして何よりスタイルがある。フランソワはテスト車両が目立つような偽装をデザインした。そうすれば見た人が新型車やブランドを話題にしてくれるからだ。見られるためのカモフラージュ、とはパラドックスだ。

フランソワは、今回のカモフラージュは、今後の新型車やプロトタイプの全てに適用できると考えている。フランソワはこれより前、EVの『メガーヌE-TECHエレクトリック』の偽装も手がけていた。「Renault eWays」でお披露目されたプロトタイプは、オーストラルほどはオリジナルデザインを隠していな買ったが、メガーヌE-TECHを購入した人から、ダズル迷彩のリクエストがあったという。アート作品でアート作品を“隠す”ことに成功したと言えるのではないだろうか。

ルノー・メガーヌE-TECHエレクトリック(プロトタイプ)ルノー・メガーヌE-TECHエレクトリック(プロトタイプ)

《高木啓》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

レスポンス公式TikTok

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 名車や希少車が! 移動自動車博物館、ミラフィオーリ2026開催
  2. 雨の季節、濡れた傘をすっきり収納! 車内快適「傘入れ」[特選カーアクセサリー名鑑]
  3. ダイハツ『ラガー』30年ぶり復活か?…土曜ニュースランキング
  4. アウディ A6 新型、今夏の日本発売前に特別内覧会…東京・名古屋・大阪で開催
  5. トヨタ『ライズ』がRAV4デザインに!? 次期型が驚きの進化、国内トップSUVの最新情報
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. ジェイテクト、「製造業データ等のAI-Ready化に関する研究開発」に参画…図面やマニュアルなど非構造化データを構造化
  2. マツダの車載CO2回収装置、走行中の貯蔵に初成功…回収量は前回比9.6倍の804gに
  3. JFEスチール、スポット溶接安定化技術が国内自動車メーカーの部品に初採用…高強度鋼板の適用拡大に貢献
  4. セキュア開発における脅威分析【自動車セキュリティ解説 第2回】
  5. 英Parkopedia、新APIでEVの「充電不安」解消へ…公共充電器の最大43%が実質利用不可という業界課題に対応
ランキングをもっと見る