国内初のLNG燃料フェリー「さんふらわあ くれない」が進水

「さんふらわあ くれない」進水式
「さんふらわあ くれない」進水式全 8 枚

株式会社フェリーさんふらわあが、2023年春に就航予定の新造船2隻のうち、1番船の命名・進水式が3月3日に、三菱重工業下関造船所江浦工場で行なわれた。新造船は別府市の長野恭紘市長により「さんふらわあ くれない」と命名された。

「さんふらわあ くれない」はフェリーさんふらわあの株主である商船三井が三菱造船に発注。2022年12月に三菱造船から引き渡され、2023年1月より大阪~別府間を運航する。1997年から同区間を運航する「さんふらわあ あいぼり/さんふらわあ こばると」の代替船となる。

「さんふらわあ くれない」は日本国内初のLNG燃料フェリーだ。主機関にLNGとA重油それぞれを燃料として使用できる高性能デュアルフューエルエンジンを搭載し、環境負荷の低減を図る。長さ約199.9m、幅28.0m、総トン数約1万7300トン、最大旅客定員数716人で、13mトラック約137台および乗用車約100台の積載能力がある。

本船のテーマは「復活ときずな(KIZUNA)」だ。フェリーさんふらわあでは「きずな」というテーマに、世代を超えて家族が集い、船旅を楽しむという願いを込めた。そんな家族のつながり=きずなを再認識する場として、長距離フェリー初となる「コネクティングルーム」を設置し、3世代で楽しめる空間を提供する。

客室区画は定員一人当たり面積を従来船より拡大し、最上階8階の客室にはクルーズ船並みのバルコニー付きのスイートフロアを設置する。大浴場とレストランも拡大、3層吹き抜けのアトリウムをはじめとしたゆとりある開放的なパブリックスペースを設置するなど、「カジュアルクルーズコンセプト」を拡充する。

車両区画は既存船に比べてトラックの積載台数を大幅に増やし、ドライバーズルームの拡充や定員一人あたりの面積を大幅に拡大。これによりモーダルシフトへの対応を促進する。

「さんふらわあ くれない」は国内フェリー初となる、LNGと重油それぞれを燃料として使用できるデュアルフューエルエンジンを搭載した。LNG燃料を使用することで、二酸化炭素(CO2)を約25%、硫黄酸化物(SOx)を約100%、窒素酸化物(NOx)を約85%、排出削減する効果が見込める。

「復活」のテーマは船名に象徴される。「さんふらわあ くれない」の名前の由来は110年前に遡る。大阪商船(現:商船三井)が1912年、阪神~別府航路の開設と同時に投入した貨客船が初代「紅丸」だった。初代「紅丸」は石炭燃料の船舶だが、1924年に就航した2代目「紅丸」は当時の最新技術だったディーゼルエンジンを搭載した。1960年就航の3代目「くれない丸」(平仮名)は豪華な内装を備え、「瀬戸内の女王」と称された。技術進化と共に人々の交通や観光の夢を叶えた船として名を馳せた「くれない丸」が日本初のLNG燃料フェリーとして復活する。

《高木啓》

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