最重要ワード『位相』…クロスオーバー[サウンドチューニング]

「クロスオーバー」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。
「クロスオーバー」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。全 9 枚

カーオーディオでは、サウンドチューニング機能を使いこなすことで音楽の“聴こえ方”を整えられる。なおその設定はプロに任せた方が良い結果が得られやすい。操作には技術と経験が必要だからだ。しかし、プロに任せるのと並行して自分でやってみても楽しめる。

「クロスオーバー」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。「クロスオーバー」の設定画面の一例(クラリオン・フルデジタルサウンド)。

当連載はそれを推奨し、その使い方をガイドしている。

現在は「クロスオーバー」機能について解説していて、まずは当機能を扱う上で知っておくべき用語について説明してきた。今回はさらにもう1つ、「位相」というワードの意味を説明していく。「クロスオーバー」機能の中には「位相(Phase=フェイズ)切り替えスイッチ」なるものが存在している。その「位相」という言葉は何を意味しているのかというと…。

「クロスオーバー」の設定画面の一例(フォーカル・FSP-8)。「クロスオーバー」の設定画面の一例(フォーカル・FSP-8)。

「位相」とは、「音波のタイミング」だとイメージしてほしい。音は、空気中を上下運動を繰り返しながら進んで行く。例えば波が立っていないプールに石を投げ入れると、水面に波紋が広がる。音も、空気中をその波のような動きをしながら進んで行く。

で、スピーカーのプラスとマイナスの接続を変えると、この上下運動のタイミングが真逆になる。その状態のことは「逆相」と呼ばれている。対して通常の位相のことは「正相」と呼ばれている。

「クロスオーバー」の設定画面の一例(三菱電機・ダイヤトーンサウンドナビ)。「クロスオーバー」の設定画面の一例(三菱電機・ダイヤトーンサウンドナビ)。

もう少し詳しく説明しよう。「正相」の状態では音波は以下のような動きをする。0度のところをスタート地点として前に進みながら一旦盛り上がり、上がり切ったところから減衰を開始して高さ的には一度スタート地点と同じ所まで戻ってくる。そしてその後は前に進みながら下に潜り込み下がり切ったところからまた上がり元の高さの所まで戻る。この動きを1サイクルとして前に進んでいくのだ。

かたや「逆相」の音波は、「正相」の音波と逆の動き方をする。前に進むことは同様なのだが、「正相」の動きのちょうど中間点からスタートする形となるのだ。なのでまずは下に潜り込み、今度は盛り上がりまた減衰して元の高さの所に戻る。

「プロセッサー」の一例(フォーカル・FSP-8)。「プロセッサー」の一例(フォーカル・FSP-8)。

なお、もしもスピーカーが1つだけなら「位相」のことを気にする必要はない。しかしスピーカーが複数存在する場合は、「位相」のことを気にしなければならなくなる。なぜなら、「位相」がズレる可能性が生じるからだ。「位相」はズレると音に違和感が出る。しかしスピーカーが1つだけなら位相はズレようがない。

なので、左右のスピーカーのどちらかがプラスとマイナスを逆に接続されていると、左右のスピーカーの「位相」が真逆になり、サウンドが不自然になる。

「プロセッサー」の一例(フォーカル・FSP-8)。「プロセッサー」の一例(フォーカル・FSP-8)。

セパレートスピーカーを使う場合には、左右のそれぞれのchの中でも「位相」のズレが起こり得る。というわけで2ウェイスピーカーでは、ツイーターとミッドウーファー間でも「位相」のズレを整える必要性が生じる場合が出てくるので、「位相」を切り替えるスイッチが設定されているのだ。

今回は以上だ。次回からはいよいよ、「クロスオーバー」機能の扱い方の解説を開始する。お楽しみに。

「プロセッサー」の一例(フォーカル・FSP-8)。「プロセッサー」の一例(フォーカル・FSP-8)。

チューニングにおいての最重要ワード「位相」の意味とは?「サウンドチューニング」実践講座 Part3 クロスオーバー編 その5

《太田祥三》

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