ヤマハ発動機は、着脱式バッテリー搭載の電動スクーター『NEO'S(ネオス)』を欧州で3月より発売、順次アセアンでの販売も予定している。
2.5kWクラスの電動スクーター「NEO'S」

NEO'Sは、シンプルでスタイリッシュなボディとEVならではの機敏で滑らかな走行が特徴の出力2.5kWクラス電動スクーターだ。欧州では進入禁止等の都市制度の変化や駐車問題・渋滞などにより、四輪車通勤から二輪車通勤へ切り替える新規層に加え、従来の50ccスクーター利用者のEVシフトが加速。今後同クラスで電動スクーターの需要が拡大すると予想されており、NEO'Sはその電動スクーター市場のニーズに応えるモデルだ。
同社は「ヤマハ発動機グループ環境計画2050」にて、2050年までに「スコープ3(主に製品使用時など)」におけるCO2排出量を2010年比で90%削減する目標を掲げている。NEO'Sはその目標達成に向け市場に投入する電動製品戦略車となる。

パワーユニットは、駆動伝達ロスが少ないダイレクト駆動方式のインホイールモーター「YIPUII」を採用した。YIPUIIは過去に販売したEV『Passol』や『EC-03』に採用した「YIPU」の熟成版。ブラシレスモーターやリヤブレーキ、出力制御するMCU(モーターコントロールユニット)、ハブなどをリヤアームと一体化している。また、ユニットをリムにボルトで締結しているため、タイヤ交換などでの整備性に優れる。
モーターは専用開発した空冷ブラシレスモーターを採用する。最高出力2.5kW(3.4ps)、最大トルク136.0Nm。低回転域で高いトルクを発揮し、市街地で機敏で滑らか、かつ静かな走行性をもたらす。L1e(車両法規上のカテゴリー)のスクーターとしての十分な動力性能と、整備性を両立した。
取り外しての充電も可能なバッテリー、航続距離は約37km

電源は、高出力を生み出す高エネルギー密度の50.4Vリチウムイオンバッテリーを採用した。付属の専用充電器(ポータブル充電器)を使い、家庭用電源(AC220V、2極プラグ)から充電が可能で、満充電までの時間は約8時間。バッテリーは車両に搭載した状態でも取り外した状態でも充電できる。満充電での航続距離は約37km(WMTCクラス1/STDモード)。別売のセカンドバッテリーを追加搭載すれば、バッテリーの切り替えが走行中に自動的に行われ、航続距離は約68kmまで延びる。
フレームは、専用開発したバックボーン型を採用。強度・剛性バランスを備え、デリバリー業務など様々な用途での拡張性に適応できる高い強度を備える。また、前後サスペンション、および各ディメンションとのバランスで、快適な乗り心地、自然な操舵感を引き出している。フロントホイールは10本スポークの新作アルミダイキャスト製を、リアホイールは低圧ダイキャストにて製造した専用リムを採用。リアタイヤは、新開発の低ロスタイプを採用し、省電力消費に貢献している。
『乗ってみたくなる「親和性」』と『新しい「走り」への期待』

デザインの開発は、コンセプトモデル『MOTOROiD(モトロイド)』を頂点とする同社EVシリーズデザインコンセプト「人機官能EVデザイン」に基づいている。ライダーを包容するエルゴノミクス造形(縦軸)と、バッテリーや足回りなどのメカニカル造形(横軸)が、互いに交じり合うようなデザインで、『乗ってみたくなる「親和性」』(エルゴノミクス)と『新しい「走り」への期待』(メカニカル)の対置を表現。また、同名の50ccエンジン搭載車『NEO'S』のデザインを引き継ぎ、凛としたシンプルさや飾り気のない余白感を演出している。
価格は2999ユーロ(約38万円)。製造はグループ会社のヤマハモーターベトナムが行う。