スピーカーにセパレートタイプがある[カーオーディオ“なぜ?”]

市販「セパレート2ウェイスピーカー」の一例(DLS・M6.2)。
市販「セパレート2ウェイスピーカー」の一例(DLS・M6.2)。全 8 枚

「カーオーディオって何となく分かりづらい…」、そう感じている方々に向けて、その分かりづらさの解消を目指して展開している当連載。今回は、市販カースピーカーの中には「セパレートタイプ」が多くある、その理由を解説していく。

【画像全8枚】

スピーカーの理想形は実は、「フルレンジスピーカー」?

愛車のカーオーディオシステムの音を良くしたいと思ったら、スピーカー交換を行うと聴こえてくる音の質を上げられる。そうである理由は「純正スピーカー」の性能があまり良くないからだと、前回の記事にて説明した。

で、スピーカー交換をしようとして調べてみると、市販スピーカーの多くが「セパレートスピーカー」であることに気が付くはずだ。さて、なぜに「セパレートタイプ」が多いのか。今回はここのところに切り込んでみたい。

なお「セパレートスピーカー」とは、両側のスピーカーがそれぞれ複数のユニットで構成されているもののことを指す。ちなみに両側がそれぞれ2つのユニット(高音を再生するためのスピーカーである「ツイーター」と中低音を再生するスピーカーである「ミッドウーファー」の2つ)で構成されているスピーカーのことは、「セパレート2ウェイスピーカー」と呼ばれている。

ところでスピーカーの理想形は実は、「フルレンジスピーカー」だ。「フルレンジスピーカー」とは、高音から低音までを1つのユニットだけで鳴らし切るスピーカーのことを指す。そうであれば、左右のスピーカーの音がそれぞれ1点から聴こえてくるので、よりスムーズにステレオイメージを再現できる。さらにはセパレートスピーカーのように、各スピーカーユニットの音の“繋がり”を気にする必要もなくなる。

しかし、高音から低音までをスムーズ鳴らし切れる「フルレンジスピーカー」を作るのは困難だ。なぜならば、スピーカーは口径が小さくなればなるほど低音再生が苦手になり、逆に口径が大きくなればなるほど高音再生が苦手になる。なので口径の異なる複数のスピーカーユニットを用意してそれぞれに得意な仕事に専念させた方がサウンドクオリティ的に有利、というわけなのだ。

「コアキシャルスピーカー」という選択肢もある!?

ところで市販スピーカーには、「コアキシャルスピーカー」と呼ばれているものもある。“コアキシャル”とは“同軸”という意味で、つまり「コアキシャルスピーカー」では「ミッドウーファー」の同軸上に「ツイーター」が取り付けられている。つまりこれも「2ウェイスピーカー」の一種だ。

しかし「コアキシャルスピーカー」は、「フルレンジスピーカー」と呼ばれることもある。なぜならば、見かけ上は「フルレンジスピーカー」だからだ。実際、高音から低音までが1点から聴こえてくるので、「フルレンジスピーカー」的なメリットを発揮する。結果サウンドのまとまり感が良く、その点においては「セパレートスピーカー」よりも音質性能的にアドバンテージを発揮する。

「コアキシャルスピーカー」はさらに、取り付け性も高い。「ツイーター」の取り付け作業が不要だからだ。そして配線的にもシンプルだ。

というわけで「コアキシャルスピーカー」には「セパレートスピーカー」にはないメリットがある。しかし、「セパレートスピーカー」の方が製品数が多い。

なぜならば実は、「コアキシャルスピーカー」には1つ不利点があるからだ。それは「サウンドステージが低い位置に展開しがち」というものだ。「コアキシャルスピーカー」は高音から低音までがドアの下の方から放たれる。ゆえに、音が足元に溜まりやすいのだ。

対して「セパレートスピーカー」は、「ツイーター」を高い位置に装着できるので、サウンドステージを高い位置に再現しやすくなる。これはなぜかというと…。

「セパレートスピーカー」を使うと、音が目の前から聴こえてくる!?

ところで「セパレートスピーカー」でも、中低音は足元から聴こえてくる。しかしツイーターを高い位置に取り付けることができるので、高音は目の前から聴こえてくる。このことが功を奏するのだ。なぜに功を奏するのかというと、その理由は以下のとおりだ。

高音は真っ直ぐに進もうとする性質が強く、低音はモノを回り込んで進もうとする性質が強い。そして高い音ほど音の出どころが分かりやすい。逆に低い音ほど音の出どころが分かりにくくなる。

で、「ツイーター」が高い位置に取り付けられていると、出どころの分かりにくい低音も「ツイーター」から聴こえていると錯覚する。つまり、中低音が高音に引き上げられるような形となるのだ。

とはいえ、高音と中低音が上手く繋がっていないとこの効果は十分に発揮されない。そして上手く繋げるのは実は、そんなに簡単ではない。「ツイーター」と「ミッドウーファー」の装着位置が結構離れてしまうので、状況としてシンプルではないからだ。

しかし現代カーオーディオでは、「プロセッサー」と呼ばれるサウンドチューニングを行えるユニットがさまざま用意されている。これを使いこなすと、「ツイーター」と「ミッドウーファー」が離れているという不利点への対処がしやすくなる。

というわけで、現代カーオーディオでは「セパレートスピーカー」の方が人気が高く、メーカーもニーズを受けて「セパレートスピーカー」の方をより積極的に開発しているというわけなのだ。

今回は以上だ。次回以降もスピーカーに関連したビギナーが抱きがちな“素朴な疑問”の答を紹介していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

「セパレートタイプ」があるのはなぜ?「カーオーディオにまつわる“なぜ?”を解明!」Part3「スピーカー」編 その2

《太田祥三》

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