いくらのスピーカーを買うべきか[カーオーディオ システムアップ AtoZ]

取り付け性の高さも特長とする市販スピーカーの一例(ビーウィズ・Lucent Duo165)。
取り付け性の高さも特長とする市販スピーカーの一例(ビーウィズ・Lucent Duo165)。全 9 枚

カーオーディオシステムのビルドアップに関心を持ちつつも、なんとなくの“分かりにくさ”を感じて二の足を踏んでいるドライバーは少なくないようだ。当連載は、そんなもやもやを抱く方々に向けてお贈りしている。今回は、スピーカーの“値段”をテーマにお届けする。

総費用を抑えたいと思ったら、狙うべきは「カスタムフィットスピーカー」!?

現在は、スピーカー交換に関する事柄について解説している。今回は、それを実行しようと思ったときに頭に浮かぶ「いくらのモデルを買うべきか」という疑問の答を考察していく。

ちなみに市販スピーカーは、1万円未満のモデルからある。ただし前回の記事の中で説明したとおり、市販スピーカーには「コアキシャルスピーカー」と「セパレートスピーカー」とがあり、「セパレートスピーカー」の場合は1万円を切るモデルはほとんどなく、1万円台の半ばくらいからとなる(オープン価格のモデルも多い)。

なお1万円台から6万円くらいまでのスピーカーの中には「カスタムフィット」とか「トレードイン」と銘打たれているモデルが多く、総費用を抑えたいと思うならそのような製品、もしくはそれに準じた仕様のスピーカーが狙い目となる(10万円くらいのモデルの中には、「カスタムフィット」的な仕様となっているモデルが多々ある)。

というのも、「カスタムフィット」とか「トレードイン」とはつまり「取り付け性の高いモデル」であるということを表している。要はそのように銘打たれたモデルには、交換時に必要なパーツがある程度同梱されていたり大きな改造をしなくても良いような配慮が行き届いているので、取付工賃や部材代が少なくて済むのだ。

ところで同梱されているパーツの内容は製品によって異なるが、例えば配線類やツイーターを取り付けるためのステーやマウント、ミッドウーファー(ドアスピーカー)の取り付け用スペーサー等が入れられている。

なお、ツイーターのマウントが付属しているか否かは、特にチェックしたいポイントとなる。なぜなら、もしもツイーターをダッシュボードの上にポンと置くようにして取り付けられるタイプのマウントが同梱されていると、ツイーターの取り付け費用を抑えやすくなる。マウントの固定は両面テープにて行えて、あとは配線作業を実行すれば取り付けを完了できるのだ。

ツイーターの埋め込み加工は音的には有利。しかしコストは上がる…。

逆にこのようなマウントが付属されていない場合には、Aピラーやドアミラー裏に埋め込むこととなり取り付け費用がアップする。ちなみにマウントをワンオフするという手もあるが、その費用をかけるなら埋め込み加工をした方が良い。なぜならその方が音的なアドバンテージを発揮するからだ。

次いで、「大きな改造をしなくても良いような配慮」とは何なのかを説明していこう。特にポイントとなるのはズバリ、ミッドウーファーの「取付奥行き寸法」だ。これは、ミッドウーファーのフレームの取り付け面から奥側までの厚みのことを指すのだが、この寸法はモデルごとでさまざまだ。

で、もしも厚すぎるモデルを選んでしまうとドアの内張りパネル内にミッドウーファーが収まらないので、内張りパネルをカットする等の改造が必要になる。となると取り付け費用がぐっと膨らむ。

ただし、内張りパネル内のクリアランスも車種ごとで異なる。なのでスピーカーを選ぶ際には愛車のドア内部のクリアランスを把握しておく必要がある。ちなみに「カーオーディオ・プロショップ」では作業をしたことのある車種であればクリアランスがどのくらいなのかを大体把握しているし、分からない車種の場合はパネルを外して調べてくれる。なのでアドバイスに従えばオーバーサイズのモデルを選んでしまうことはないはずだ。

ちなみに「カスタムフィット」と呼ばれているモデルやそれに準じた仕様となっているスピーカーは、多くの車種で収まるくらいの寸法で設計されているのでその点でも安心感が高くなる。

いくらのモデルを買うべきかというと、ポイントは「少し背伸びをすること」にある!?

ところでスピーカーには口径違いがいくつかあるが、この点については愛車に適合するものを選ぶしかない。例えば国産車の場合は、16.5cmから17cmクラスのモデルが適合サイズである場合が多く、欧州車では8cmから10cmクラスが適合サイズである場合が多い。もちろん適合しないモデルでも「カーオーディオ・プロショップ」ならなんとかできるが、大がかりな改造を伴うのは必至だ。なので相応に取り付け費用がアップする。

さて、「いくらくらいのモデルを選ぶべきか」ということの答は…。先述したように、前提として「取り付け性の高いモデル」の中から選ぶのがお薦めなのだが、値段的にはどうなのかというと…。

選択時のコツは、「少し背伸びをすること」にある。というのも、スピーカーは価格差が性能差に直結しやすい。構造がシンプルなので、素材や作り込みにコストをかければかけるほど性能もそれに比例して上がっていくのだ。で、低価格帯のモデルほど、価格差が性能差に大きく響く。

例えば、1万5000円のモデルと3万円のモデルとでは価格は倍も違う。倍も違えば素材や作り込みにも相応の差が出る。そして6万円のモデルともなると3万円のモデルに対してさらに倍の価格となるので、またここでも性能差が大きく開く。

なので、少し背伸びをして1ランク上のモデルに手を伸ばすと、より満足度の高いモデルを手にできる。ちなみに1万5000円のモデルでも純正スピーカーとの性能差は小さくない。ゆえに、最エントリークラスのスピーカーでも音は良くなる。しかしもしも予算が許すのであれば、3万円台、さらには6万円台のモデルがお薦めとなる。参考にしてほしい。

今回は以上だ。次回以降もスピーカー交換をしようと思ったときに感じがちな“素朴な疑問”の答を解説していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

いくらのスピーカーを買うべき?「カーオーディオにまつわる“なぜ?”を解明!」Part3「スピーカー」編 その3

《太田祥三》

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