長期不通の肥薩線、復旧におよそ230億円…負担割合と復旧後のあり方が焦点か

令和2年7月豪雨で被災した肥薩線。画面上方、奥が流失した第2球磨川橋梁(2020年7月8日、熊本県球磨郡)。
令和2年7月豪雨で被災した肥薩線。画面上方、奥が流失した第2球磨川橋梁(2020年7月8日、熊本県球磨郡)。全 2 枚

斉藤鉄夫国土交通大臣は3月18日に開かれた定例会見で、長期不通が続いている肥薩線八代~吉松間について記者の質問に答えた。

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肥薩線は令和2年7月豪雨により土砂流入や築堤崩壊、路盤、橋梁、駅構内の流出など450件もの壊滅的な被害を受け、当初、復旧費用は100億円超が予想されていた。

これについては3月17日、JR九州による復旧費の概算が約230億円に上ることが報道されているが、斉藤大臣は額についての言及を避け、3月22日に熊本県とともにJR肥薩線検討会議を起ち上げることを明らかにした上で、「河川や道路などの公共事業との連携の可能性も含めた復旧方法や、復旧後の肥薩線の在り方などについて検討してまいりたいと考えています」と述べた。

肥薩線のケースでは、2018年8月から施行されている改正鉄道軌道整備法の適用が考えられるが、その場合、負担割合は最大で国が4分の1、地方自治体が4分の1とされている。

ちなみに、高波による被害で2021年4月に廃止されたJR北海道日高本線鵡川~様似間の場合、86億円が試算されていたが、肥薩線の場合、JR九州が半分を負担しても100億円超の高額となる。改正鉄道軌道整備法では「災害を受けた鉄道の地域の交通手段の状況、事業構造の変更による経営改善の見通しその他の事情」を考慮し、国土交通大臣の判断により国と自治体の負担割合を3分の1以内に引き上げることも可能で、協議次第ではJR九州の負担がさらに軽減される可能性もあるが、復旧後のあり方について同社がどう考えているのかということにも左右される問題で、今後の動きが注目される。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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