音の良さと楽しさを両得したい…カロッツェリア・サイバーナビ[システム・メイク術]

カロッツェリア・サイバーナビ AVIC-CQ912
カロッツェリア・サイバーナビ AVIC-CQ912全 8 枚

カーオーディオを嗜もうとするとき「どのようなシステムを構築するか」、これを考えるところも楽しみどころの1つとなる。というわけで当特集では、どのようなシステムスタイルが有り得ているのかを解説している。今回紹介するのは…。

『サイバーナビ』は、チューニング能力とエンタメ力が高い!?

まずは、メインユニットに内蔵されているパワーアンプにてフロントスピーカーを鳴らす「内蔵パワーアンプシステム」について考えている。なお「内蔵パワーアンプシステム」を組む場合には、メインユニットに何を使うかでシステムの特徴が変わってくる。なので機種ごとで、それぞれを使う場合の利点を説明してきた。

今回は、ハイグレードAV一体型ナビ、カロッツェリアの『サイバーナビ』を核とする「内蔵パワーアンプシステム」について考察していく。

結論から入ろう。カロッツェリアの『サイバーナビ』をシステムの核に据えると、音的にも楽しさ的にもかなり満足度の高い「内蔵パワーアンプシステム」を構築できる。そうである理由は2つある。1つは「サウンドチューニング能力が高い」からで、もう1つは「エンタメ機能が充実している」からだ。

それぞれがどのようなことなのかを説明していこう。まずは「サウンドチューニング能力が高い」ことについて。

『サイバーナビ』のサウンドチューニング能力は、一般的なAV一体型ナビとは大きく異なる。そうである最大のポイントは、「ネットワークモード」に対応していることだ。これはつまり、「内蔵されているパワーアンプのすべてのchをフロント2ウェイスピーカーを鳴らすために使う」という接続方法のことを指す。メインユニットに内蔵されているパワーアンプのch数は普通「4」だ。それは『サイバーナビ』も同様なのだが、一般的なメインユニットではその4chのうちの2chをフロントスピーカーに割り振り残りの2chをリアスピーカーに割り振る。対して『サイバーナビ』では、4chすべてをフロントスピーカーに割り当てることができるのだ。

「クロスオーバー機能」が優れていることにより、高度なシステムレイアウトを構築可能に!

それが可能となるキモは、「クロスオーバー機能が優秀だから」だ。「クロスオーバー機能」とは音楽信号の帯域分割を行う機能だが、『サイバーナビ』のそれは、ツイーターとミッドウーファー間に適応できる。つまり音楽信号を高音(ツイーターが再生する帯域)と中低音(ミッドウーファーが再生する帯域)とに分割できる。結果、『サイバーナビ』から高音信号を左右のツイーターに直接伝送できるようになり、中低音の信号も左右のミッドウーファーへと直接伝送できるようになる。

なので、このような運用をするにあたってはスピーカーケーブルの引き直し作業が必要となる。『サイバーナビ』の4ch分の出力端子の1つ1つから、各スピーカーへとダイレクトにケーブルを繋げなくてはならない。しかしその手間(取付工賃)がかかっても、得られるメリットは多大だ。

なお、このように各スピーカーにパワーアンプの1chずつをあてがうシステムレイアウトのことは、「マルチアンプシステム」と呼ばれている。つまり『サイバーナビ』では、内蔵パワーアンプにて「マルチアンプシステム」を構築可能だ。

ちなみにこのようなことが可能となるAV一体型ナビは今のところ、『サイバーナビ』の各シリーズと、前回取り上げたアルパインの『ビッグX』シリーズ、そしてもう1つ三菱電機の『ダイヤトーンサウンドナビ』、以上の3シリーズしかない。

かくして、「マルチアンプシステム」は音に効く。なぜに音に効くのかというと、その理由は主には2つある。1つは「スピーカーをトルクフルに駆動できるから」だ。通常は「内蔵パワーアンプ」の1ch分の出力でツイーターとミッドウーファーの両方を鳴らすわけだが、「マルチアンプシステム」では1ch分のパワーを1つのスピーカーユニットのみに注げる。結果、スピーカーの振動板を動かす力(駆動力)と止める力(制動力)の両方が上がるのだ。

「タイムアライメント機能」を、緻密に運用可能!

そして「マルチアンプシステム」が音に効くもう1つの理由は、「タイムアライメント機能を各スピーカーそれぞれに適応できるから」だ。「タイムアライメント機能」とは、スピーカーの発音タイミングを変えられる機能だ。近くにあるスピーカーの発音タイミングを遅らせることができるので、リスナーがすべてのスピーカーから等距離の場所にいるかのような状況を作り出せる。

とはいえ、内蔵パワーアンプの2ch分の出力にてフロント2ウェイスピーカーを鳴らす場合には、ツイーターとミッドウーファーとが離れた場所に取り付けられていてもそれらを「1つのスピーカー」として扱わざるを得ない。対して「マルチアンプシステム」が構築できている場合には、ツイーターとミッドウーファーのそれぞれに対して個別に「タイムアライメント」をかけられる。

なお『サイバーナビ』は、もう1つのサウンドチューニング機能である「イコライザー」も優秀だ。当機の「イコライザー」は、右chと左chとサブウーファーchのそれぞれを個別に制御可能だ。しかもそれぞれ「31バンド」という細かさで設定できる。

その上で『サイバーナビ』はエンタメ機能も充実している。ナビに内蔵されているブラウザにてYouTubeが視聴できる「ストリーミングビデオ」、家庭のブルーレイレコーダーに録りだめてある番組が観られる「レコーダーアクセス」、これら2つのスペシャルな機能が搭載されている。そしてさらには、「ネットワークスティック」を活用することでナビがルーターとして機能する。つまり、車内をWi-Fiスポット化できるのだ。

音が良く、そして楽しめる「内蔵パワーアンプシステム」の構築に興味があれば『サイバーナビ』のチェックはマストだ。参考にしてほしい。

今回は以上だ。次回も「内蔵パワーアンプシステム」についての解説を続行する。乞うご期待。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

“音の良さ”と“楽しさ”を両得したいならこれ!? 詳説「システム・メイク術」Part5『カロッツェリア・サイバーナビ』の場合

《太田祥三》

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