JR東日本は4月12日、蕨交流変電所(埼玉県蕨市)で2021年10月に発生した火災について、その原因と今後の対策を公表した。
同変電所は、東京電力から受電した電力(154kV)を隣接する蕨や浦和の変電所へ66kVに降圧分散して供給する機能などを持つ「基幹変電所」と呼ばれる施設だが、この火災で変電所への電力供給ができなくなり、信号設備などが麻痺。7時間以上も首都圏の複数線区で列車を運行できない状態が続いた。
JR東日本では火災の原因について、高電圧を計測するために低電圧に変換する「接地形計器用変圧器」(Grounding Potential Transformer=GPT)の内部電線がショートしたことを挙げており、電圧や電流などの計測値を基に事故を検出しプレーカーへ電流遮断を指令する保護装置が動作せず、過大な電流が流れ続けたことが火災の拡大につながったというが、いずれも推定としている。


GPTのショートは、銅板で固定された構造が原因であると推定されることから、電気回路とGPTの接続をフレキシブルな構造とすることで外力が加わらないように改良。保護装置も、その動作に至らない異常電圧が継続しても動作する仕様に変更するとしており、これらは2023年度までに実施するという。


また、蕨交流変電所からなんらかの理由で電力供給できなくなった場合の早期再開策として、別系統からの供給が可能になるよう送電線の新設を検討するとしている。
