[カーオーディオ“なぜ?”]サブウーファーって、必要?

「サブウーファー」を搭載したオーディオカーの一例(製作ショップ:パラダ<福井県>)。
「サブウーファー」を搭載したオーディオカーの一例(製作ショップ:パラダ<福井県>)。全 9 枚

カーオーディオシステムのアップグレードに興味を持ちつつも、なんとなくの“壁”を感じて最初の一歩が踏み出せない、そんなジレンマを感じてはいないだろうか。なお“壁”となる要素の1つは、“分かりにくさ”だ。当連載では、その払拭を目指して展開している。

「サブウーファー」の“サブ”と“ウーファー”の、それぞれの意味とは…。

というわけで当連載では、ビギナーが疑問に感じがちな事柄の答を解説している。今回からは、「サブウーファー」に焦点を当てていく。

さて、カーオーディオでは「サブウーファー」が使われることが多い。対してホームオーディオでは、「サブウーファー」はカーオーディオほどは使われていない。これはなぜなのか…。

カーオーディオにて「サブウーファー」が使われることが多いその理由を理解していただくためにまず、サブウーファー」とは何なのかを説明していこう。なお「サブウーファー」という名称は、“サブ”と“ウーファー”、この2つのワードが組み合わされているわけだが、この“ウーファー”というのはスピーカーの種類の名前だ。

カーオーディオでもホームオーディオでも、口径の異なるスピーカーユニットを用意してそれぞれに得意な仕事だけに専念させる「マルチウェイスピーカー」が用いられている。その「マルチウェイスピーカー」を構成する各スピーカーユニットには名前が付いていて、担当音域の高いものから順に「ツイーター」「スコーカー」「ウーファー」、この3つがある。「ツイーター」は高音を、「スコーカー」は中音を、そして「ウーファー」は低音再生を担当する。

ちなみに、それぞれの名称には語源がある。「ツイーター」は、“小鳥のさえずり”が、「スコーカー」は“ネズミやリス、またはカラスの鳴き声”が、そして「ウーファー」は“大型犬やオオカミ、あるいはライオンやトラなどの唸り声”が語源だ。なお、「スコーカー」を使わないスピーカーシステムにおいては、「ウーファー」は「ミッドウーファー」と呼ばれることが多い。その場合には「ウーファー」が中音再生も担当することになるからだ。

「サブウーファー」は、ドアスピーカーよりも低い音を再生するスピーカー。

続いては“サブ”の意味について考えていこう。「サブウーファー」の“サブ”には2つの意味がある。まず1つ目は、「下の」という意味だ。例えば、「サブマリン(潜水艦)」や「サブウェイ(地下鉄)」の“サブ”もこれにあたる。

そしてもう1つが、「副の」とか「補助の」という意味だ。「サブタイトル(副題)」とか「サブリーダー(リーダーの補佐)」の“サブ”もこれにあたる。

というわけで「サブウーファー」には、役割が2つある。1つは、「ウーファーよりも低い帯域を担当するスピーカー」としての役割だ。ちなみに「スーパーツイーター」と呼ばれるスピーカーユニットも存在していて、これはつまりは「ツイーターよりも上の帯域を担当するスピーカー」のことを指す。「サブウーファー」はいわば、「スーパーツイーター」の対極的なスピーカーユニットと言って良い。

実際カーオーディオで「サブウーファー」は、「ドアスピーカー」よりも低い帯域の再生を担当することが多い。というのもクルマのドアに装着可能なスピーカーは、口径的に17cmクラスが最大サイズとなる場合がほとんどだ。で、スピーカーは口径が大きくなるほど低音再生が得意になるのだが、この17cmという大きさでは物理的に超低音の再生が難しい。

また無理をしてドアに取り付けるスピーカーに超低音の再生までを担わせようとすると、ドア内部の鉄板がビビリやすくなる。ということもあり、ドアスピーカーには超低音再生を担わせない方が良い。ゆえに、「ウーファーよりも低い帯域を担当するスピーカー」が必要となるのだ。

クルマは走行することで、低音が聴こえにくくなる!?

その一方で「サブウーファー」は、「ウーファーを補助するスピーカー」という役割も果たす。そうである理由は以下のとおりだ。

クルマは走行することで「ロードノイズ」を発する。これはすなわち、タイヤパターンが路面を蹴ることで生まれる騒音だ。そしてこの「ロードノイズ」は主に、低周波だ。

ゆえにこの「ロードノイズ」は、ドアスピーカーが奏でる低音に覆い被さり低音をマスキングしてしまう。しかし「サブウーファー」を導入して低音再生力を上げれば、「ロードノイズ」にかき消されがちな低音をしっかりと鳴らせるようになる。このこともあって、カーオーディオでは「サブウーファー」が必要になるのだ。

なお実際のところは、「ドアスピーカーが再生する帯域よりも低い帯域を再生するスピーカー」という性格の方が強めだ。サウンドチューニングをする際にも、音楽信号の帯域分割を行う機能である「クロスオーバー」にて、「サブウーファー」には「ドアスピーカー」が担当するよりも低い周波数帯の音楽信号を送るような設定が成されることが多い。

ちなみに、ホームオーディオで「サブウーファー」が使われるのは主にはシアターシステムの導入時だ。なぜならば、映画ソフトには「5.1ch」分(またはそれ以上)の音声データが収録されている。で、この「5.1ch」とは、センターch、左右のフロントch、左右のサラウンド(リア)chという5ch分の音声に加えて、超低音chで構成されている(その分が「0.1ch」とカウントされている)。この「0.1ch」分の音声を再生するために、「サブウーファー」が使われる。というわけでこの場合の「サブウーファー」も、その他のスピーカーが再生するよりも下の帯域の再生を担うこととなる。

今回は以上だ。次回以降も、「サブウーファー」に関して抱かれがちな“素朴な疑問”の答を解説していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

「サブウーファー」って、必要?「カーオーディオにまつわる“なぜ?”を解明!」Part4「サブウーファー」編 その1

《太田祥三》

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