変わる富士スピードウェイ、モータースポーツミュージアムの全貌が見えてきた

トヨタ博物館館長・トヨタ社会貢献推進部長の布垣直昭氏
トヨタ博物館館長・トヨタ社会貢献推進部長の布垣直昭氏全 9 枚

日本グランプリなど様々なモータースポーツイベントが開催された富士スピードウェイ。今その周辺が大きく変わろうとしている。

一昨年、現在の西ゲート近くに高級ホテル、ハイアットグループが手がける日本初上陸のアンバウンドコレクション by Hyattの建設が明らかとなり、そのホテルは今年の秋に開業する。そして併設されるのがトヨタ博物館が監修する富士モータースポーツミュージアムである。「オートモビルカウンシル2022」で、その監修を手掛けるトヨタ博物館館長であり、トヨタ社会貢献推進部長である布垣直昭氏にお話を伺うことができた。

レースと市販車のつながりを見せるコンセプト

今回の富士モータースポーツミュージアムは恐らく日本で初めてモータースポーツの歴史を公的な観点で展示するミュージアムになるという。ただ、レース車両はほとんどがワンオフのようなもの。これを購入するということはまず不可能であるので、国内外の自動車メーカー各社に協力を仰ぎ、幸いにして多くのメーカーから賛同を得て車両を借用することができるようになったそうだ。

このミュージアムは、レースという極限の状況で走るクルマの技術は、それが普段お客様が乗っているクルマと実は密接に繋がっている、ということをお客様に紹介することをコンセプトにしたものになるという。

富士モータースポーツミュージアムの展示イメージ富士モータースポーツミュージアムの展示イメージ

レースは言わばクルマを磨く場。とはいえ各メーカーがどのように磨くかという点は色々な考えがあり、それによって参加するカテゴリーも異なってくる。一口にレースと言っても、あるメーカーは一般車両をベースにして過酷な状況を走るラリーを想定したり、あるいはWECに代表される耐久レースを磨きの場にしたりとメーカーの考え方も異なっている。というわけで、展示するクルマはレースにおけるヒストリーを持ったクルマを各社に協力を仰いで借用することができたという。

ラリーという点では布垣氏は三菱とスバルの名を挙げていた。そしてすでにルマン優勝車、『マツダ767B』の展示は決まっている。さらにポルシェもこの趣旨に賛同してクルマの提供を申し出ているということで、歴史的なポルシェのレーシングカーも見ることができそうだ。

カフェやショップにスパも完備

モータースポーツの歴史という点では世界最古のレースと言われるパリ~ルーアントライアルのパナールや、創世記に活躍したグランプリカーなども入手出来て展示されるとのこと。さらに企画展のアイデアなどもすでにあるそうだ。

展示車両は40台ほどで、周期的な入れ替えを行う。今回オートモビルカウンシルに展示された『トヨタ7』やアルファロメオは展示されることが決まっている車両だという。館内の展示スペースは2層からなり、その上にはカフェやミュージアムショップが作られるそうだ。さらにスパなどもあるというから、誰もが楽しめる場となる予感がする。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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