メルセデスベンツが実証、次世代EVで航続1000km以上…『ヴィジョンEQXX』

1008km走行後のバッテリー残量は15%

驚異的な効率と航続を備えた次世代EVの開発を目指す

ルーフの太陽電池が航続を最大25km延ばす効果を発揮

空力性能の追求により抗力係数0.17を達成

メルセデスベンツ・ヴィジョン EQXX
メルセデスベンツ・ヴィジョン EQXX全 10 枚

メルセデスベンツは4月14日、次世代EVコンセプトの『ヴィジョンEQXX』(Mercedes-Benz Vision EQXX)が12時間の公道走行テストを行い、航続1000km以上を実証した、と発表した。ドイツからフランスまでの1008kmを、1回の充電で走行している。

◆1008km走行後のバッテリー残量は15%

今回のロードトリップでは、メルセデスベンツの開発部門の本拠地があるドイツ・ジンデルフィンゲンを出発し、スイス・アルプスと北イタリアを経由し、フランス・コートダジュールのカシスを目指した。出発前にフル充電し、充電ソケットに封印を施した。出発の時点では、気温が低く、天候は雨という悪コンディションだった。

途中、ドイツのアウトバーンでは最高で140km/hで走行した。他の場所では、制限速度を守りながら、長時間巡航した。平均車速は87.4km/hだった。エアロダイナミクスを追求して、抗力係数0.17を達成したヴィジョンEQXXは、高速道路を走行する際の電力消費を抑えているという。

11時間32分をかけて1008kmを走行の後、バッテリー残量はおよそ15%、航続にしておよそ140kmのゆとりを残していた。これは、充電せずに地中海の海岸線に沿って走行できた可能性を意味しているという。平均電力消費量は100km走行あたり8.7kWhだった。

メルセデスベンツ・ヴィジョン EQXXメルセデスベンツ・ヴィジョン EQXX

◆驚異的な効率と航続を備えた次世代EVの開発を目指す

ヴィジョンEQXXは、メルセデスベンツの次世代EV開発におけるエキサイティングな次のステップになる。その目的は、驚異的な効率と航続を備えた次世代EVを開発することにあるという。

ドイツ・シュトゥットガルトに拠点を置くメルセデスベンツの部門を超えたエンジニアリングチームが、EVの航続と効率の限界を押し上げることを目指した。この取り組みには、メルセデスAMGの「HPP(ハイ・パフォーマンス・パワートレイン)」も参画している。

また、メルセデスベンツは、次世代モーターの「eMotors」の開発に、モータースポーツ技術に匹敵する開発スピードを導入した。ヴィジョンEQXXはテクノロジープログラムだが、量産車に早期に搭載されるイノベーションをもたらすことが期待されているという。

メルセデスベンツ・ヴィジョン EQXXメルセデスベンツ・ヴィジョン EQXX

◆ルーフの太陽電池が航続を最大25km延ばす効果を発揮

ヴィジョンEQXXのEVパワートレインは、次世代の炭化ケイ素を使用した電気モーター、トランスミッション、パワーエレクトロニクスで構成されている。パワーエレクトロニクスユニットは、メルセデスAMGのハイパーカー『プロジェクトONE』がベースだ。モーターは最大出力204hpを引き出す。

メルセデスベンツとHPPは、バッテリーの蓄電容量を100kWhと大きくするだけでなく、バッテリーパックを新開発し、およそ400Wh/lのエネルギー密度を実現した。これにより、大容量のバッテリーパックを、ヴィジョンEQXXのコンパクトな車体に搭載することを可能にしたという。バッテリーの単体重量は約495kgに抑えている。

ルーフには117個の太陽電池を搭載した。このシステムは、ヨーロッパ最大の太陽エネルギー研究機関、フラウンホーファーISE(太陽エネルギーシステム研究所)と共同開発された。ソーラーパネルは、航続の拡大にも貢献する。今回の1008kmの走行では、最大25km航続を延ばす効果を発揮したという。太陽エネルギーは軽量なリチウム電池に蓄えられ、空調、照明、インフォテインメントシステム、その他の電装システムに電力を供給する。メルセデスベンツとパートナーは、太陽光発電を利用して、バッテリーを充電することにも取り組んでいる。

◆空力性能の追求により抗力係数0.17を達成

アルビームシルバーで塗装された車体は、水滴のように後方に向かって流れる。リアのディフューザーは格納式で、空気抵抗が増した時に展開する。フロントバンパーには、エアカーテンとエアブリーザーを装着した。ホイールカバーとの組み合わせにより、エアロダイナミクス性能を追求する。抗力係数は0.17。ボンネットの上に冷却空気を導き、必要に応じてシャッターを開く。これにより、ドアミラー周辺の空気抵抗が減少するという。

ローズゴールドのアクセントが施されたグロスブラックグリルの上には、『EQS』を連想させるライトバーが付く。ヘッドライトの内部は2つの星で構成されており、大きい星は光沢のあるセンターレンズの向こう側にロービームとハイビームを収めた。この配置は、フロントバンパーのスターパターンと組み合わせて、将来のメルセデスベンツの市販車のフロントデザインを提示しているという。

ブリヂストンと共同開発されたタイヤは、空力性能を高めるサイドウォールを備えている。20インチの軽量な鍛造マグネシウムホイールには、半透明のダブルスポークデザインのカバーが付く。

《森脇稔》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. ベントレーの超高級住宅、最上階は「55億円」 クルマで61階の自宅まで
  2. BEVを2年間所有した、“リアルな”ランニングコストを大公開
  3. 日産の新型セダン『N7』、発売50日で受注2万台を突破
  4. 【ダイハツ ムーヴ 新型】「ポッキー入れ」にイルミネーション、軽自動車でも質感を“あきらめさせない”インテリアとは
  5. VW『ゴルフGTI』50年の歴史で最強、325馬力の「EDITION 50」発表
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  2. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  3. コンチネンタル、EVモーター用の新センサー技術開発…精密な温度測定可能に
  4. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  5. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
ランキングをもっと見る