システムアップ、何から始めるべきか[プロが頼りになるワケ]

「パワーアンプ内蔵プロセッサー」を核とするシステムが搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:イースト<大阪府>)。
「パワーアンプ内蔵プロセッサー」を核とするシステムが搭載されたオーディオカーの一例(製作ショップ:イースト<大阪府>)。全 10 枚

「クルマの中で良い音を楽しみたい」、そう思ったときには「カーオーディオ・プロショップ」が頼りになる。当連載では、そうである理由を1つ1つ紹介している。今回からは、「システムアップ」をしたいと思った際にさまざまな相談ができることについて説明していく。

何から始めるべきかは、純正カーオーディオシステムの状況によって変化する!?

今回は、カーオーディオを始めようと思ったときのことを説明していく。さて、愛車のカーオーディオシステムのクオリティアップを図りたいと思ったとき、何から手を付ければ良いのかと言うと…。

実は、何からすべきかは状況により変わってくる。純正カーオーディオシステムのタイプによって、向いていることと向いていないことが存在するのだ。

なので音を良くしたいと思ったらまずは、「カーオーディオ・プロショップ」に足を運ぼう。そして、何から手を付けると良いのかを相談しよう。そうすれば、愛車に向いた良い音を得るための“早道”を教えてもらえる。

では、具体的にはどのような始め方が有り得るのかを解説していこう。考えられる作戦は主には3つある。

1つ目は、「スピーカー交換」だ。なお、カーオーディオのシステムアップといえば当作戦がもっともスタンダードではあるものの、実をいうと当作戦はすべてのクルマに向いてはいない。

当作戦が向いているのは、以下のようなケースだ。それは、「純正カーオーディオシステムがシンプルな場合」だ。何らかのメインユニットが取り付けられていてそれと純正スピーカーとがダイレクトに繋げられている場合には、そのスピーカーを市販品に交換すれば聴こえてくる音の“質”を上げられる。

なお純正スピーカー自体もシンプルな仕様になっていると、当作戦の有効性はさらに高まる。純正スピーカーが、高音から低音までの全帯域の音を1つのスピーカーユニットだけで鳴らそうとする“フルレンジタイプ”であると、市販スピーカーに交換したときの音の変わり幅が一層広がる。

市販スピーカーに交換すると、特に高域の再生能力が上がる!?

ちなみに市販スピーカーの中にも“フルレンジタイプ”が存在するが、それらは実は“2ウェイ”だ。高音再生用のスピーカーであるツイーターが、ミッドウーファーの同軸上に取り付けられている。

対して純正の“フルレンジ”スピーカーには、ツイーターが備わってはいない場合がほとんどだ。で、そうであると高音をスムーズに鳴らせない。なぜなら、スピーカーは口径が大きくなるほど高音再生が不得意になるからだ。ドアに取り付けてあるスピーカーの大きさでは、物理的に超高音までを鳴らし切れない。

なので、その状況からツイーターを備えている市販スピーカーへと換装すると、今まで鳴らし切れていなかった高音がクリアに聴こえ、サウンドクオリティが一変するのだ。

そして2つ目の作戦は、「メインユニットの交換」だ。もしも現在使用中のメインユニットの使い心地に不満がある場合には、まずはそこのところを改善すると、音質と使い勝手の両方を同時に引き上げられる。

例えば、愛用のメインユニットがBluetoothに対応していない場合には、対応モデルに換えるだけで使い勝手がグンと良くなる。昨今は車内でスマホをオーディオプレーヤーとして活用しているドライバーが多いが、メインユニットがBluetoothに対応しているとスマホを便利に活用できる。無線接続が可能になり、さらには選曲等の主要操作も車載機側で行える。Bluetoothは相互通信なので、そのようなことも可能となるのだ。

そして都度の接続作業も不要になる。1度ペアリングをしておけば、以後はスマホをポケットに入れたままでも、クルマに乗り込めば自動で接続が完了される。また、スマホのミラーリングをしたいと思っている場合にも「メインユニット交換」は有効だ。HDMI端子が装備されているモデルを選べばOKだ。

最新のメインユニットは、画質や操作レスポンス等々あらゆる部分で性能が向上!

なお最新機種は、4、5年前のモデルと比べてさまざまな部分が進化している。まず画質が上がっている。そして操作レスポンスもおしなべて速くなっている。なので、BluetoothとHDMI端子を備えた最新の高音質モデルに換装すると、総合的にカーAV環境が良化する。

最後に、3つ目の作戦を紹介しよう。それは「プロセッサーの導入」だ。なおこれが向いているのは、「純正オーディオシステムが複雑化している車種」だ。

最近では、純正オーディオシステムにプロセッサー機能が組み込まれているケースが増えつつある。そうであると「スピーカー交換」を実行しても、そのサウンドチューニングの設定が交換するスピーカーには適さないことが多く、さらにはその設定がHi-Fi的な方向性とは異なっている場合も少なくない。となると、別にプロセッサーを導入してサウンドチューニングをし直した方が良い結果が得られやすくなるのだ。

ちなみにそのような車種でもメインユニットが交換できるのであれば、「メインユニット交換」も選択肢として浮上する。しかしこのようなケースでは、それを行いにくくなっていることの方が多めだ。

であれば外部プロセッサーを導入し、さらには合わせてソースユニットにも外部機器を使えば(これは手持ちのスマホでOK)、純正オーディオとは別系統の新たなシステムを完成できる。セレクトする機種にもよるが手頃なモデルを選べば、コスト的にも「スピーカー交換」と大きくは変わらない。

ところで、トヨタ車純正のディスプレイオーディオの搭載車のように、何をすべきなのかが分かりにくい車種が増えつつある。しかし「カーオーディオ・プロショップ」に出向けば、そういうケースでも個々の要望を鑑みながらどの作戦が向いているのかを的確に教えてもらえる。音を良くしたいと思ったら、まずは「カーオーディオ・プロショップ」の門を叩こう。

今回は以上だ。次回も引き続き「カーオーディオ・プロショップ」のバリュー解説を続行する。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

何から始めるべきかを教えてもらえる!? 「プロが頼りになるワケとは…?」 Part5「システムアップ」編 その1

《太田祥三》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. トヨタの顧客は1億5000万台…バリューチェーンで財務基盤強化
  2. 日産 リーフ 新型をライバルと比較…アリア、テスラ、bZ4Xと何が違う?
  3. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  4. V8エンジン搭載のレクサスセダン『IS500』がクライマックス! 950万円の特別仕様を発売
  5. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  2. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  3. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  4. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  5. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
ランキングをもっと見る