【BMW CE04 試乗】電動=退屈ではない。BMWのプライドを感じさせるマシン…鈴木大五郎

油断していたらハンドルから手が離れそうなほどのパワフルさ

むやみに最高速を追求しなかったのは、現実的な判断

振り子のようにリズミカルにバンキングしてくれる

BMW CE04 試乗風景
BMW CE04 試乗風景全 40 枚

BMWモトラッドの電動バイクは2017年の『C−evolution』から歴史がスタート。そして、この『CE04』から第2章が始まった。非常に独創的かつ近未来的なデザインが特徴であるが、その走りは現実的かつ可能性に満ちたものであった。

油断していたらハンドルから手が離れそうなほどのパワフルさ

BMW CE04BMW CE04

フラットな形状のシートはなんだか不思議な印象でもあるが、座り心地は悪くない。車重は231kgあるため、取り回しではやや重さを感じさせるものの、バッテリーの搭載位置による低重心化によって安定度は高い。スマートキーを携帯し、イグニッションボタンをプッシュすると走行準備が整う。無音のままアクセルを開けると、電動マシンの特徴でもあるダッシュ力を見せつける。0−50km/h加速が2.6秒という数値は伊達ではなく、油断していたらハンドルから手が離れそうなほどのパワフルさに驚かされる。

もちろん、電子制御システムにも抜かりなく、その強大な加速力によるタイヤのスリップ等の心配もいらないからその実力をフルに堪能することが出来るのである。例えば、200馬力のスポーツモデルをフル加速しようとすれば、繊細なアクセルワークやクラッチワークが必要となる。しかしCE04ならば、まさに涼しい顔でアクセル一捻りするだけで、ほとんどの車両を後方に追いやることが可能となる。問題となるのは自制心のことだけだろう。

むやみに最高速を追求しなかったのは、現実的な判断

BMW CE04BMW CE04

また、重心位置の恩恵であろうか、もともとのトラクション性能が高いことも特徴である。ダッシュ力は衰えることなく、フリクションを感じさせないまま120km/hオーバーまで一気に加速していく。まだまだ衰えることはないような雰囲気ながら、メーター読み127km/h。実測120km/hあたりでピタリと止まる。新東名の120km/h区間に合わせたわけではないとは思うが、むやみに最高速を追求しなかったのは、現実的な判断であると思う。

その速度ではまだまだモーターにも車体にも余裕がある印象で、マックススピードで快適に走らせることが可能となっていた。とはいえ、航続距離を考えると、こういった使い方よりも、むしろシティユースが基本となるであろう。バッテリーをより多く積むことで航続距離は高まるものの、重量増は免れない。航続距離はフル充電で約130km。充電スポットの問題等、まだまだ一般的にはならないかもしれないが、用途を絞れば狙い通りのエコで快適な足となるだろう。

ライディングモードはエコ・レイン・ロード・ダイナミックの4パターンで、それぞれ味付けが異なる。ダイナミックがもっともエキサイティングではあるが、エンジンブレーキ的な回生ブレーキがやや強めに介入し、少しギクシャクする印象も。個人的にはロードがもっともスムーズに走行することが出来た。

振り子のようにリズミカルにバンキングしてくれる

BMW CE04 試乗風景BMW CE04 試乗風景

モーターの性能ばかりに話が偏ってしまったが、車体設定にも抜かりはない。やや重みを伴ったハンドリングは剛性不足など感じさせず、安心感も高い。スイスイと振り子のようにリズミカルにバンキングしてくれる動きの確かさは、低重心さからくる恩恵であろう。バイクを長年作っているからこその経験が生きていると感じさせてくれた。

イメージしがちな「電動=退屈」であったり、面白みがないといった印象はなく、経験が少ないだけに今はむしろ「面白い!」と感じさせるマシンとなっていたCE04。エコなアシという側面だけでない作り込みがBMWのプライドを感じさせるのだ。

BMW CE04と鈴木大五郎氏BMW CE04と鈴木大五郎氏

■5つ星評価
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★
オススメ度:★★★★

鈴木大五郎|モーターサイクルジャーナリスト
AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

《鈴木大五郎》

鈴木大五郎

AMAスーパーバイクや鈴鹿8耐参戦など、レース畑のバックボーンをもつモーターサイクルジャーナリスト。1998年よりテスター業を開始し、これまで数百台に渡るマシンをテスト。現在はBMWモトラッドの公認インストラクターをはじめ、様々なメーカーやイベントでスクールを行なう。スポーツライディングの基礎の習得を目指すBKライディングスクール、ダートトラックの技術をベースにスキルアップを目指すBKスライディングスクールを主宰。

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