静岡県外流出の水問題に具体案…山梨県側の水を同量戻し リニア静岡工区問題

山梨・静岡・長野県境付近の断層帯を掘削中のトンネル湧水と全量戻しの流れ。作業員の安全を考慮して掘削は山梨、長野側から行なわれるが、静岡県の湧水が県外へ流出することは避けられないため、今回は流出分を補填する具体的な方策が示された。
山梨・静岡・長野県境付近の断層帯を掘削中のトンネル湧水と全量戻しの流れ。作業員の安全を考慮して掘削は山梨、長野側から行なわれるが、静岡県の湧水が県外へ流出することは避けられないため、今回は流出分を補填する具体的な方策が示された。全 6 枚

JR東海は4月26日、静岡県中央新幹線環境保全連絡会議地質構造・水資源部会専門部会(静岡県専門部会)に対し、リニア中央新幹線静岡工区で県外流出する湧水を大井川へ全量を戻す新たな方策を提案した。

【画像全6枚】

静岡県がリニア工事により流出した大井川の水を全量戻すことを着工条件としている静岡工区については、JR東海がトンネル湧水をポンプアップとトンネル導水路により上流の椹島(さわらじま)まで戻す方針を示しており、2021年12月に国のリニア中央新幹線静岡工区有識者会議で取りまとめれられた中間報告では、JR東海の方式により大井川中下流域の河川流量は維持されるとされたが、県外への流出分を大井川へ戻す具体的な方策が示されていないとして、静岡県が難色を示していた。

そこでJR東海は、田代川第二発電所(山梨県早川町)の取水用ダムである田代ダム(静岡市葵区)で行なっている発電のための取水を制限し、県外流出相当分を大井川に還元することを提案。ダムを管理する東京電力リニューアブルパワーへ依頼して検討するとしている。

これとは別に、隣接する山梨県で発生する湧水を山梨県側と静岡県側との先進坑が貫通した際に、大井川へ戻す案も示している。

田代ダムの取水制限については渇水期に行なえるかどうか疑問が残るが、山梨県側の水を戻す案については、渇水期に重点的に対応できるとしており、県外流出量の同量を大井川へ戻す期間はJR東海が解析している300万立方mの場合約1年1か月、静岡県が解析している500立方mの場合約1年9カ月と見込まれている。

これらの提案を受けて、今後、静岡県専門部会で協議が重ねられる模様で、静岡工区着工へ向けて局面を打開できるかどうかが注目される。


《佐藤正樹(キハユニ工房)》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「思ったよりだいぶ安い」トヨタ『GRヤリス』に新登場、エアロパフォーマンスパッケージに絶賛の声
  2. 「TWIN TURBOのロゴ懐かしい!」Z32ファン感涙、レトロ感あふれる新型『フェアレディZ』が話題に
  3. 「動画を観る」もっとも良い方法とは? トヨタ車純正ディスプレイオーディオ搭載車の場合は?[車内エンタメ最新事情]
  4. メルセデスベンツ『Cクラス』次期型を予告、光る大型グリル採用…初のEVも設定へ
  5. ホンダ初のフルサイズ電動バイク『WN7』発表、航続130km…2026年欧州発売へ
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ステランティスの水素事業撤退、シンビオに深刻な影響…フォルヴィアとミシュランが懸念表明
  4. SUBARUの次世代アイサイト、画像認識技術と最新AI技術融合へ…開発にHPEサーバー導入
  5. 「ハンズオフ」は本当に必要なのか? 高速での手離し運転を実現したホンダ『アコード』を試乗して感じた「意識の変化」
ランキングをもっと見る