【スバル アウトバック 新型試乗】1.8Lでもアンダーパワーを感じさせない理由…中村孝仁

都会的になった「アウトバック」

フラッグシップらしい「巡洋艦的」な走り

1.8リットルでもアンダーパワーを感じさせない理由

スバル レガシィ アウトバック リミテッドEX
スバル レガシィ アウトバック リミテッドEX全 24 枚

都会的になった「アウトバック」

そもそも『アウトバック』という言葉は、奥地とか未開のへき地といったような意味があるのだが、新しいスバル・アウトバックにそのようなイメージは微塵も感じない。

まあ、車名とそれが意味するところなど正直言えばどうでもよいのだが、命名するにあたってはそれなりに考えて付けたのだと思う。しかし6世代も過ぎれば元々の名前の由来から乖離しても致し方なしで、個人的な印象としては最新のアウトバックはへき地どころか極めて都会的で街中に溶け込むスタイリングや機能を持っていると感じる。

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都会的だとは言っても最低地上高は213mmもあって、横から見るとこの点だけはちょっと都会的ではないのだが、それでも街並みや街路樹が周囲にあった方が似合いそうな雰囲気を持ったクルマである。そんなクルマを借り出すのも恵比寿という実に都会的な場所。借り出すときに「実はまだスタッドレスが付いているんですよ」と、広報車担当氏から言われ、「えっ?そうなんですか」と思わず返してしまった。

というのも、端から都会をひた走ってその快適さを堪能しようと思っていたので、当然ながらサマータイヤ装着だと思い込んでいたからである。結果としては確かにスタッドレス独特の高周波ノイズが耳に残るものの、それでも実にボリュームを小さく抑え込んでいて、快適さを損なうことはなかったのである。

フラッグシップらしい「巡洋艦的」な走り

今となってはスバルのフラッグシップカーだそうだが、純然たるSUVのラインナップがないスバルにとって、アウトバックの存在は極めて重要なのだと思う。因みに3サイズは全長4870×全幅1875×全高1675mm(リミテッドEX)とまあ大柄な部類で、3列シートを持つマツダ『CX-8』に対し、全長で少し短く全幅で少し広く全高は全く一緒というサイズ感である。その少しが意味するのはおおよそ3cmである。

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それにしても快適でスムーズ。乗り心地が良い。昔風の表現でいうと巡洋艦的走りになるわけだが、そもそも巡洋艦など乗ったことがないのでわからない。よくそのような表現が昔使われていて、どっしりと構え安定感があってゆったりとした動きの表現だったように思うが、まさにそれだ。街中では路面のうねりに対して比較的ゆったりと動き、まあ、正直言えば軽快さとは程遠いのだが、クルマのキャラとしては立っているのではないかと思う。

車重は実に1710kg(試乗車)もありながら、搭載するのは1.8リットルの最新ボクサーユニット。これにお得意のリニアトロニックが組み合わされる。リニアトロニックはCVTである。といってもこれ、マニュアルモードを持っていて8速の変速を可能にしているのだが、ステップATと比較してなんとなく違和感があり、個人的にはあまり好きではない。スバル的には今更やめられないというところだと思う。

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もっともそれで不都合があるかと言えば、まあ無い。CVTは元来コンパクトにできて効率が良いから燃費に好影響を与えるということになっているのだが、正直言ってどのスバル車に乗っても好燃費だと思えたことはないので、彼ら的には明らかに走りを意識したチューニングに振っているのだと思う。

1.8リットルでもアンダーパワーを感じさせない理由

問題は1.8リットルで大丈夫?という点だと思う。因みにこのエンジンを搭載するのは日本市場で、主要市場であるアメリカは2.5リットルNAもしくは2.4リットルターボを搭載。パフォーマンスも日本の177ps、300Nmと比較したら大幅に強力で、トップモデルは260hp、375Nmを持っている。だから、どうしても大丈夫?となってしまうわけだが、結論から言えば大丈夫、である。

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決してパワフルとは言わないが日本の交通事情では十分な余力を持っている。恐らく最大トルクを1600rpmという低回転域から発揮しているところにあるようで、俗にいう常用域(3600rpmまで)では常に最大トルクを発揮する。これがアンダーパワーを感じさせない理由だろう。

いずれにせよ、フラッグシップらしい快適な乗り心地とスムーズさを持ち、近年急速に進化し始めた上質感に包まれたインテリアの設えは、ヨーロッパの高級車と肩を並べても遜色ない仕上がり具合である。

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■5つ星評価
パッケージング ★★★★★
インテリア居住性 ★★★★★
パワーソース ★★★★
フットワーク ★★★★
おすすめ度 ★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来44年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

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