[カーオーディオ“なぜ?”]サブウーファーが単体で売られている

「ユニットサブウーファー」がシステムに組み込まれたオーディオカーの一例(製作ショップ:レジェーラ<静岡県>)。
「ユニットサブウーファー」がシステムに組み込まれたオーディオカーの一例(製作ショップ:レジェーラ<静岡県>)。全 9 枚

カーオーディオには、初心者からすると分かりづらいポイントが多々ある。当連載では、その1つ1つを解説している。現在は「サブウーファー」にスポットを当てている。当回では「ユニットサブウーファー」が単体で売られているのがなぜなのかを説明していく。

導入のハードルが高い「ユニットサブウーファー」が用いられることが多いのは、なぜ?

前回は、「パワードサブウーファー」について解説した。これは、「サブウーファーユニット(スピーカー)」、「ボックス」、「パワーアンプ」、これらが一体化している製品だ。ゆえに導入のハードルが低い。超低音を鳴らすために必要なものがすべて揃っているからだ。なので購入すべきはこれだけ良い。つまりコストがかかりにくく、そして取り付け性も高い(取り付けスペースも取りにくい)。

しかしながらカーオーディオ愛好家の間では、「サブウーファーユニット」が単体で売られている「ユニットサブウーファー」が使われることの方が多い。なおこれを使って超低音を再生するには、「ボックス」と「パワーアンプ」とを別途用意する必要があるのだが、その手間やコストがいとわれない。

さて、このように導入のハードルが高い「ユニットサブウーファー」が愛好家たちに使われることが多いのはなぜなのだろうか。今回は、ここのところに踏み込んでいく。

ところで、ホーム用のスピーカーは普通、スピーカーユニットが箱(エンクロージャー)に取り付けられた状態で完成品となっている。スピーカーを自作するのを楽しむ層もいるのでスピーカーユニットが単体でも売られてはいるものの、完成品となっているスピーカーが買われることの方が多い。

対してカー用のスピーカーは、スピーカーユニットが裸の状態で製品化されている。で、そうであることには理由がある。カーオーディオでは一部の製品を除き、クルマのドアが「ボックス」の役目を負うこととなるからだ。つまり「ボックス」はすでにクルマに装備されているわけなので、スピーカーユニットだけが販売されているのだ。

「サブウーファー」を取り付けるべき場所は、基本的には車両には用意されていない…。

一方「サブウーファー」に関しては多くの場合、取り付けるべき場所(ボックス)は車両には用意されていない。一部の欧州車ではシート下や足元に「サブウーファー」が設定されているので、そうであればその場所が「サブウーファー」の取り付け場所の候補の筆頭になり得るが、そうではない場合には、「サブウーファー」をシステムに組み込むためには「ボックス」の用意がマストになる。

であるならば、ホーム用のスピーカーと同様に「サブウーファーユニット」と「ボックス」が一体化されている製品の方がスタンダードな存在となっても良いはずだ。そういったモデルの方が設置が楽だ。

実際そのような製品はいろいろとある。まず「パワードサブウーファー」があり、それ以外にも「サブウーファーユニット」と「ボックス」とが一体化している「ボックスサブウーファー」もさまざま販売されている。

そうでありながらも、カーオーディオ愛好家の間でのスタンダードは「ユニットサブウーファー」だ。「ボックス」までも自分で用意する必要があるものの方が、人気が高い。

それはなぜか。理由は至ってシンプルだ。「カーオーディオでは、創意工夫を発揮することも楽しみどころとなるから」だ。

これがどのようなことなのか、踏み込んで説明していこう。「サブウーファー」においては、メーカーが設計した「ボックス」を使った方が音的な面では安心感が高い。そのメーカーが開発した「サブウーファーユニット」を、しっかり鳴らせる仕様になっているはずだからだ。しかしカーオーディオ愛好家の多くはそれを敢えて使わず「ボックス」を自前で用意する。そうすれば、「自分好みのサウンドを得られやすくなるから」だ。

どんなボックスを用意するかで“鳴り方”が変わる!?

というのもスピーカーは、どんな「ボックス」に組み込むかで鳴り方が変わってくる。つまり多くのカーオーディオ愛好家は、自分好みのサウンドを奏でられる「ボックス」を用意したい、そう考えているのだ。「既製ボックス」が良い音を奏でられることは間違いないが、「ワンオフボックス」ならそれ以上に自分好みの音に仕上げられる可能性が高まる。

また、取り付け上の都合に合わせた「ボックス」に仕上げられることも利点だ。「ワンオフボックス」なら、使い勝手的にも好みどおりに作り上げられる。

このようにカーオーディオでは、サウンドと使い心地を自らプロデュースすることが楽しまれる傾向が強い。それは他の部分でも同様だ。例えばフロントスピーカーではまずは「何を使うか」が悩みどころとなるものの、「どのような取り付け方をするか」も思案のしどころとなる。

例えばツイーターなら「どこに付けるか」、「どこを向けるか」、「固定方法をどうするか」等々にこだわりが注入される。またドアスピーカーでは、「ドア内部の音響的なコンディションの向上作業にどの程度手をかけるか」といったところや、「スピーカーを隠すか見せるか」に至るまでも自分好みに仕上げていける。

作業自体は「カーオーディオ・プロショップ」に任せることになるわけだが、そうでありながらもどんな仕様でどんなサウンドを作り上げるかは、オーナーごとで創意工夫を発揮しながら勘案される。そういったところにこそ、カーオーディオの醍醐味があるのだ。

ゆえに「サブウーファー」についても、「どんなボックスを作るか」というところも楽しむべきポイントとなっているのだ。

今回は以上だ。次回は、「ボックス」にはタイプ違いがあることの理由について解説していく。お楽しみに。

太田祥三|ライター
大学卒業後、出版社に勤務し雑誌編集者としてキャリアを積む。カー雑誌、インテリア雑誌、そしてカーオーディオ専門誌の編集長を歴任した後、約20年間務めた会社を退職しフリーに。カーオーディオ、カーナビ、その他カーエレクトロニクス関連を中心に幅広く執筆活動を展開中。ライフワークとして音楽活動にも取り組んでいる。

「サブウーファー」が単体で売られているのはなぜ?「カーオーディオにまつわる“なぜ?”を解明!」Part4「サブウーファー」編 その3

《太田祥三》

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