踏むだけでタイヤの溝が測れるマット:ミシュラン…ジャパントラックショー2022

磁気センサーが通過するタイヤの溝を測定するシステム
磁気センサーが通過するタイヤの溝を測定するシステム全 8 枚

ミシュランといえばガイドブックやハイパフォーマンスタイヤのブランというイメージだが、「X LINE」、「X ONE」のような大型トラック・バス用の「Xシリーズ」タイヤも手掛けている。また、TPMSなどタイヤソリューションは商用車との親和性も高い。

ミシュランのIoTタイヤソリューションの数々

タイヤソリューションでは、空気圧ゲージや溝ゲージなどメンテナンスツールがスマホやクラウドにつながり測定値の管理やログ、レポート・検査証の出力などを自動化するもの。タイヤごとの空気圧を無線(BLEや省電力無線通信技術)で常時モニタリングできるTPMSがある。なお、TPMSは輸入車の上位モデルやEVなどでの採用が進んでいる。さらに北米やEUの動きを受け、国内でもトラック等への装着義務化が議論されている。

ミシュランがジャパントラックショー2022に展示していた「Quick Scan」は、磁気センサーを使ったタイヤの残り溝を計測してくれるマットだ。計測車両はこのマットの上を通過するだけで残り溝の深さがわかるようになっている。

マット内部にはバッテリー、センサー、通信モジュールなどが一式封入されており、接続ケーブルなど不要だ。計測は医療用のMRIのように磁気を利用するので、雨や雪、泥などの影響もうけにくい。つまり設置のための大がかりな工事や配線はいらない。ガレージや計測ラインに置くだけでよい。

新しい取り組みとしては、タイヤそのものに組み込むRFIDタグを村田製作所と共同で開発中だという。RFIDタグは商品ラベルや部品ラベルなどに組み込まれ、物流倉庫や店舗での商品・部品のトラッキングに活用されている。これを市販されるタイヤに適用すれば、市場に流通するタイヤの履歴、状況を把握することが可能になる。

商用タイヤはリトレッドなど再生利用も想定されるので、RFIDタグはサイドウォールのカーカスの内側に埋め込まれる。RFIDタグはバッテリー不要で、測定器やセンサーからの無線信号の電力を利用してタグ情報を送信する。このしくみでタイヤ固有のIDがわかれば、製造時の記録やメンテナンスの記録まで管理可能になる。車輪が多い大型トラック、トレーラーのタイヤ管理の効率化につながる。センシングを工夫すればタイヤローテーションの位置・履歴を把握できるかもしれない。

ミシュランでは2024年までに出荷するすべてのタイヤにRFIDタグを組み込みたいとする。

タイヤそのものの展示では商用バン向けのオールシーズンタイヤもあった。同社の「AGILIS CrossClimate」のラインナップとして展示されていた。オールシーズンタイヤは一般乗用車では認知度も進み装着するユーザーも増えている。SUV、ミニバンに装着可能なサイズのものも流通しているが、商用バン向けのオール―シーズンタイヤは珍しい。参考出品だったのでサイズやスペックなどは不明(未定)だが、ラストマイル輸送や近距離メインの小型トラック向けのオールシーズンタイヤのニーズは高そうだ。


《中尾真二》

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