ツイーターの担当範囲を広げる…クロスオーバー[サウンドチューニング]

「クロスオーバー」の設定画面の一例(ロックフォード フォズゲート・パーフェクトチューン)。
「クロスオーバー」の設定画面の一例(ロックフォード フォズゲート・パーフェクトチューン)。全 4 枚

当連載では、「サウンドチューニング」をユーザー自身が行うことを推奨し、その操作方法を解説している。なお、本命の設定はプロに任せた方が確実だ。しかしそれと並行して自分でも行ってみると、カーオーディオの楽しさの幅が広がる。

【画像全4枚】

現在は、フロント2ウェイスピーカーのツイーターとミッドウーファー間の「クロスオーバー調整」のやり方を紹介している。まず前回は、「ツイーターの限界を知ること」から始めるべきであることを説明した。そしてその理由は「ツイーターにはできるだけ広い帯域を受け持たせた方が有利だから」と記した。今回は、そうであるその心を詳しく解説していく。

なおサウンドチューニングにはさまざまな考え方があり、なのでここで説明していることは絶対的な法則ではない。また使用するスピーカーによってもベストな設定が変わってくる。しかし、このような考え方がされることが少なくないことも、また事実だ。

さて、「ツイーターにはできるだけ広い帯域を受け持たせた方が有利であるその心とは…。ポイントは2点ある。

まず1つ目は、「ミッドウーファーの負担を減らせること」だ。そもそも2ウェイスピーカーは、ツイーターとミッドウーファーとを用いてそれぞれに役割分担させることでよりスムーズに音楽を再生しようとするものだが、それでもミッドウーファーにはかなり大きな負担がかかる。担当範囲が結構広いからだ。

ちなみにミッドウーファーはそもそも、高域側の再生はあまり得意ではない。ゆえにある程度高い帯域の信号が入力されると、「分割共振」という良くない現象を発生しがちだ。本来スピーカーの振動板は、中心側も外周側も一糸乱れず同様の動きをするべきなのだが、ミッドウーファーでは高音を鳴らそうとするときに中心側と外周側の動きがシンクロせずに振動板が波打ったような動き方をしてしまうことがある。これが「分割共振」だ。そしてこれが起こると、音が濁ったり曇ったりする。

しかし、ツイーターにできるだけ広い帯域を任せられればミッドウーファーの再生範囲を狭められるので、「分割共振」の発生率を下げられるのだ。

そして2つ目のポイントは、「目の前から聴こえてくる中音の量を増やせること」だ。ボーカルやメロディやコード(和音)といた音楽の主要パートは中域に集中している。そのいわば“美味しい帯域”は、足元のスピーカーから聴こえてくるよりも目の前のスピーカーから聴こえてきた方が情報量を多く感じ取りやすくなる。

もっともツイーターの担当範囲を広めに取っても、中音域の多くはミッドウーファーにて鳴らされることには変わりはない。しかし、少しでも多くがツイーターから聴こえてくる方が有利、というわけなのだ。

今回は以上だ。次回以降もツイーターとミッドウーファー間の「クロスオーバー調整」のやり方を説明していく。お楽しみに。


《太田祥三》

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