世界一美しいデザインの特徴を『DS 4』のデザイナーが語る

DS エアロスポーツラウンジ
DS エアロスポーツラウンジ全 9 枚

ステランティスジャパンが導入を開始した『DS 4』。世界一美しいといわれるそのデザインについて、デザイナーに語ってもらおう。

◆大事なのはバランスとプロポーション

DS 4のインスピレーションのもとになったのは、2020年3月に発表したコンセプトカー、『エアロスポーツラウンジ』だ。「DS 4はこのコンセプトカーに非常に近い」と話し始めるのは、DSオートモビル本社デザイン・ダイレクターのティエリー・メトロス氏。その共通点は、「力強くとてもダイナミックなボディが、非常に大きなホイールに支えられていること」と述べる。そこで最も大切なのは、「バランスとプロポーションだ」ともいう。

DS エアロスポーツラウンジDS エアロスポーツラウンジ

DS 4のエクステリアデザインを担当したトマ・ドュアメル氏も、DS 4のコンセプトを作り上げるにあたり、「何よりもプロポーションで表現するクルマ」と明言。「特に横幅のある見た目がとても印象的。さらに4つのタイヤが車体を支え、あたかも路上のアスリートという印象を与え、そこでの存在感を放っている」と語る。

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このコンセプトをエンジニアが検討し、DS 4のプラットフォームを開発。つまり、「エンジニアはこのコンセプト(プロポーション)を作り上げるために技術的な要素を吟味し、タイヤサイズ、フロントオーバーハング、ホイールベース、全長、全高にあてはめ、作り上げていった」と説明。そして、「全ての部署、例えばスタイリング部門、商品企画部門、マーケティング部門など全員が合意しDS 4のコンセプトが実現した」と語る。

こうしてデザインの概要が決まると、クレイモデルの作成に移る。ここでは、「自由に、無限に造形を試すことが可能で、自由にパーツや造形を加えたり取り除いたりできる。従って、エクステリアデザイナーは3から4人のモデラーチームと共同で作業を行い、1年以上かけてボディラインを調整した」とドュアメル氏。

また、クレイモデルではDS4の機能や性能を表現するためのトライも必要だった。それは、「DS 4に盛り込まれるすべての技術をクレイモデルの段階でスタイリングと効率の間に適切な調和点を見つけなければならなかった」からだ。従って、場所によって、例えば、窓のフレームなど多くの時間を費やした部分があったそうだ。その後、エアロダイナミクステストを経てクルマのシルエットが完成。ここでは、「クルマの後部はエアロダイナミクスの調整に多くの時間を費やした。この部分は、エアロダイナミクス専門の技術者と協業した」と苦労を明かした。

◆フロントのシグネチャーは継承発展へ

さて、ドュアメル氏はDS 4のディテールについて、「まずフロントグリルに特徴がある」という。具体的には、『DS 7クロスバック』や『DS 3クロスバック』と異なり、「3Dモチーフを使い、ボリューミーなデザインのタンク型を採用することでシャープさを増し、ラジエーターに比べてグリルを大型化」。さらにDSウイングも、「フロントグリルの存在感を強調するとともに、垂直にしてデイタイムラインニングライトとしての機能をも担い、DS 4のシグネチャーとした」と説明する。因みにこのモチーフはエアロスポーツラウンジにも見られ、「将来的にこのシグネチャーは継承、発展させていきたい」とコメントした。

DS 4DS 4

もうひとつドュアメル氏はボンネットを特徴として挙げる。「このボンネットがクルマの幅が広いという印象を与えるが、これはデザインされたものではなく、プロポーションから生まれるもの」とあくまでもプロポーションによる効果が発揮されていることを強調。

さらにその「ボンネットの形状はクルマのプレステージ性の評価を左右する」とし、「サイドミラーの下端をボンネットからのラインの延長線上に置くことで、ボンネットが長くエレガントな印象を与えている」と述べる。

DS 4DS 4

サイドビューから見るシルエットについてドゥアメル氏は、「最高のアングル」という。「とりわけルーフラインによりクルマに備わるエレガンスが表現されると同時に、特徴のあるルーフの勾配により、高性能さも強調されている」と話す。

リア周りもフロント同様プロポーションが重視された。「何よりもまず印象に残るのは全て横基調で表現していること。例えばテールランプ同士を結ぶラインやDSのエンブレムの下あたりのライン、さらにリアバンパーでも表現している」とドュアメル氏。

そして、リアコンビランプはDSの特徴である、「ダイヤモンドデザインが再解釈され、レーザー彫刻という新しいテクノロジーを採用。このテクノロジーのおかげで細かいところまで非常に正確に作業が出来て、ミリ単位で彫刻が可能となった。出来栄えを見ると、究極のハイテクという印象を受ける」と高く評価し、「これがクルマのモダンさを象徴し、機能のハイテク性が具現化されている」と語る。

DS 4DS 4

◆インテリアは流麗さがキー

DS 4の室内を特徴づけるのものは、「流麗さ」というのはメトロス氏だ。「そこに洗練されたラインを配したデザインであり、また、非常にシンプルに見えるダッシュボード周りの処理や、そのダッシュボードとドアパネルの間の接続までもが、とても自然で滑らかで、 すべてが完璧に一体化している。つまり、すべてが流れるようで滑らかなのだ」とその特徴を語る。

DS 4のインテリアで行ったもうひとつ重要なことは、「当初のスケッチの段階からDS 4のデザインの一部になっていたバイカラー(2色)によるアプローチだ」とメトロス氏。まず明るい色のシート周りのレザー、つまり「コンフォートゾーン全体には、この明るいレザーを採用し、座席から中央のコンソールまで全て統一された印象の革張りにしている」と 述べ、この明るい色のレザーで「快適性を表現」。

DS 4DS 4

一方、車内の上部ドアの網部、ダッシュボードの上部など、運転操作に関するすべての要素はトーンが落とされている。また、窓ガラスの開閉ボタン、空調ファサードと空調コントロールなどは、統一感が持たされ、「正面から見ると、一見してほとんどボタンと気付かないデザインに仕上げられている」という。

こういった特徴は、「DSブランドのサヴォア・フェール(フランス流の匠の技)の核となる高品質な素材と高い技術力によって、ハイクオリティのインテリアを実現した」と語り、他ブランドと大きく赴きを異にすることを強調した。


《内田俊一》

内田俊一

内田俊一(うちだしゅんいち) 日本自動車ジャーナリスト協会(AJAJ)会員 1966年生まれ。自動車関連のマーケティングリサーチ会社に18年間在籍し、先行開発、ユーザー調査に携わる。その後独立し、これまでの経験を活かしデザイン、マーケティング等の視点を中心に執筆。また、クラシックカーの分野も得意としている。保有車は車検切れのルノー25バカラとルノー10。

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