難易度が高い、EV整備・修理にいち早く注力! テスラやヒョンデの認定修理工場「センチュリーオート」の取り組み

難易度が高い、EV整備・修理にいち早く注力! テスラやヒョンデの認定修理工場「センチュリーオート」の取り組み
難易度が高い、EV整備・修理にいち早く注力! テスラやヒョンデの認定修理工場「センチュリーオート」の取り組み全 15 枚

いま、EV(電気自動車)の存在感が増している。

日本は他国と比べてEV普及が遅れているものの、昨年頃から都心部を中心に米EVメーカー・テスラのコンパクトEV「モデル3」を街中で見かける頻度が明らかに増えているように感じる。

そして今年4月、トヨタが新型BEV「bZ4X」を発表したのに続いて5月には、日産と三菱の共同プロジェクトとして軽自動車の新型EV「サクラ」/「eKクロスEV」が発表されたことで、EVへの期待感や注目がますます高まっている。

いち早く「EV整備・修理」に注力するセンチュリーオート

EVが盛り上がりをみせるこのタイミングで、千葉県松戸市の有限会社センチュリーオート(石井英幸社長)は、自社が注力するEV整備・修理の取り組みを紹介するイベントを5月20日に実施。損害保険会社や自動車部品卸商、カーリース事業者、自動車専門学校といった関係企業各社に向けて、自社の取り組み紹介とEV試乗会が行われた。

同社は「車に関することはどんなことでも」をモットーに、自動車修理工場として1989年に創業。鈑金塗装をはじめ、整備・車検・新車と中古車の販売・保険代理店業務・ロードサービス・洗車・ボディコーティングに至るまで幅広くサービスを展開しており、現在ではASV(先進安全自動車)やEVの整備・修理に注力している。

千葉県松戸市の有限会社センチュリーオート 本社

センチュリーオートは、自動ブレーキ用のカメラやセンサーなどの電子制御装置が装備されたASVや、最新型のEV整備・修理に必須となる「特定整備認証」を2020年12月に取得。設備投資を惜しまず、電子制御によって進化し続けるクルマの故障診断に必要なスキャンツールなどを導入し、エーミング作業やOBD点検といった、電子制御装置整備を行っている。

今年2月には、千葉エリアで初めてテスラ ジャパン認定の修理工場テスラ認定ボディショップ」となり、さらに4月には、ヒョンデモビリティ ジャパンが正式に認める「協力整備工場」となった。5月20日のイベントではエーミング作業をはじめ、テスラ「モデル3」のバッテリージャンピングのデモンストレーションなどが披露された。

センチュリーオートは、自動車の整備・修理に関する最先端の情報や専門知識などを「BSサミット事業協同組合BSサミット)」を通じて入手。BSサミットとは、高い志と技術・設備をもつ自動車修理のプロショップだけが加盟できる全国組織として業界内で一目置かれる存在だ。

BSサミットは、欧州各国の有力な鈑金塗装団体で組織する国際自動車修理協会(AIRC)に、日本の団体として唯一加盟しており、EV普及が進むドイツでEV事故車の修理時に行うべき危機管理対策なども組織内で共有している。

センチュリーオートには、高圧・特別高圧電気取扱者安全衛生特別教育を修了した整備士が在籍し、BSサミットを通じて知り得たEV事故車の修理時の危険(バッテリーのコントロール不能による放電や感電、火災事故など)を防止すべく、EV事故車を修理する際には高電圧危険標識の設置をはじめ、しっかりと危機管理対策を行っていることもイベントで伝えられた。

またイベントでは、テスラ「モデル3」「モデルS」「モデルX」、アウディ「e-tron」、ヒョンデ「NEXO」、トヨタ「MIRAI」、ホンダ「Honda e」、日産「リーフ」を用意。出席者たちは、国内外の自動車メーカー各社のEV、FCVを乗り比べ、その乗り心地を体感することができた。

テスラオーナーとして、EVの知識を深める

センチュリーオートの石井英幸社長に、EV整備・修理の体制づくりについて話を伺ったところ、石井社長がまず行ったのは、自らがEVオーナーになることだった。

石井社長は3年前にテスラ「モデル3」を購入。自らがオーナーとして運転し乗り心地や操作性、機能などを体感。車重が重いためタイヤの減りが早く、足回りのブッシュはヘタりやすい。自宅充電ゆえガソリンスタンドへ行かないことで、タイヤ空気圧チェックが疎かになるなど、EVオーナーだからこそ気付ける点が多々あり、定期点検の重要性を痛感したという。また、充電頻度や充電時間、充電料金、充電スポットの探し方に至るまで、EVオーナー目線でEVの理解を深めている。

有限会社センチュリーオート 石井英幸社長

また石井社長は、自動車整備・修理事業者の立場から、車体構造を把握するためにも所有は必須だったと話す。現在同社には、代車としてテスラ車を3台(「モデル3」が2台、「モデルS」が1台)を用意。つい先日テスラ「モデルY」を注文したばかりで、ヒョンデの「アイオニック5」と日産の「サクラ」もオーダー済み。石井社長は、EV整備・修理を行う上で、自社のメカニックたちが最新のEVに触れられる環境を整えるのは当然と話していた。

テスラ車の修理は、厳しいトレーニングや専用設備が必要

センチュリーオートは、今年2月から「テスラ認定ボディショップ」としてテスラ車の修理を行っているが、認定を受けるのは容易ではない。

まず第一に、テスラ社による厳しいトレーニングをすべて修了する必要がある。その上で、テスラ社が認める塗料、材料、専用設備、専用工具などを使用して最高レベルの修理品質が求められる。認定取得後も定期的にテスラ社の技術研修を受講し、専門スキルを蓄積して高い水準の修理を行える事業者でなければ、認定を取得できないのだ。

テスラ車専用の工具

厳しい条件をクリアして「テスラ認定ボディショップ」となった修理工場だけが、テスラ車の修理に必要な部品を正式に入手でき、テスラ社の専用システムにログインして故障診断や修理作業などを行える。

今後日本各地に「テスラ認定ボディショップ」は増えていくと思われるが、まだその数は多くない。このため、センチュリーオートを頼りに関東エリアを中心としたテスラオーナーからの修理相談が相次いでいるという。

「テスラ認定ボディショップ」だけが、テスラ社の専用システムにログインして修理作業を行える
「テスラ認定ボディショップ」は、テスラ車の修理に必要な部品を正式に入手可能

センチュリーオートは、EV整備・修理に特化した工場を新設する計画があり、2023年春に竣工予定とのこと。同社のように社長自らが率先してEVオーナーとなり、設備投資を惜しまず、最先端の情報と専門知識を入手し、技術を磨きながらEV整備・修理に取り組んでいるプロショップは全国的に見ても稀だ。EV整備・修理は難易度が高く、しっかり対応できる整備・修理工場は限られていることを理解した上で、カーオーナーはEVの預け先を選ぶべきだろう。

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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