[カーオーディオ“なぜ?”]外部パワーアンプにサブウーファー専用機がある

サブウーファー用「モノラルパワーアンプ」の一例(カロッツェリア・GM-D8100)。
サブウーファー用「モノラルパワーアンプ」の一例(カロッツェリア・GM-D8100)。全 5 枚

ビギナーがカーオーディオに興味を持って調べてみると、“素朴な疑問”を抱かせる事柄と度々出くわす。それが壁となりビギナーを跳ね返すことも…。当連載ではそうなることが減るようにと、初心者が“分かりづらい”と感じがちなポイントについて解説している。

◆サブウーファーを鳴らすには、大出力が必要!?

現在は、「外部パワーアンプ」に関する“分かりづらい”ポイントを説明している。今回は、「サブウーファー専用機があること」の理由を解説していく。

以前の記事でも触れたとおり、カーオーディオ用の「外部パワーアンプ」には「ch数違い」がさまざまある。ちなみに「外部パワーアンプ」はステレオ音源を再生するための機器であるので、2chタイプが基本形となる。しかしサブウーファー専用機があり、それらは普通「モノラル(1ch)タイプ」だ。このようなモデルが多々あるのはなぜなのかと言うと…。

結論から入ろう。サブウーファーを鳴らすにはある程度大きなパワー(出力)が必要となるからだ。なので、ハイパワーであることを特長とする専用モデルが使われることが多くなっている。

サブウーファーを鳴らすのに大きなパワーが必要となる理由は以下のとおりだ。超低音を再生するスピーカーは、振動板がある程度大きくなければだめだ。となると、磁気回路も大きくなる。大きな振動板を動かすには相応のハイパワーが必要となるからだ。

サブウーファー用「モノラルパワーアンプ」の一例(モレル・MPS 1.550)。サブウーファー用「モノラルパワーアンプ」の一例(モレル・MPS 1.550)。

◆「モノラルタイプ」にすれば、もろもろを効率化できる!?

ところで、サブウーファー専用の「外部パワーアンプ」が「モノラルタイプ」であるのはなぜなのだろうか。

その答は至ってシンプルだ。「大パワー化が図りやすいから」だ。「パワーアンプ」は、ch数が増えれば増えるほど必要な内部パーツ数が倍増していく。その点「モノラルタイプ」であればパーツは1ch分で良いので、その分大きなパワーを出せる仕様にさせやすくなる。

とはいえ、超低音も音源にはステレオで録音されている。それをモノラルで再生しても良いのだろうか…。

答は「イエス」だ。超低音はモノラル再生しても問題ない。その理由は以下のとおりだ。超低音は音の出どころが分かりづらい。そして空間が狭い車内においては特にステレオ感が出にくい。であるならば、モノラルで鳴らした方がもろもろを効率化できる。サブウーファーユニットは1つですむし、ボックスも1つあれば良い。そして「パワーアンプ」も「モノラルタイプ」が1台あればOKだ。

ちなみに、サブウーファー専用機は「D級パワーアンプ」である場合がほとんどだ。「D級パワーアンプ」は、とにもかくにも効率が良い。大出力を得るには好都合なのだ。

フルレンジタイプの高音質「モノラルパワーアンプ」の一例(ビーウィズ・P-1R)。フルレンジタイプの高音質「モノラルパワーアンプ」の一例(ビーウィズ・P-1R)。

◆高音質タイプの「モノラルパワーアンプ」もある!?

ところで、市場には「フルレンジタイプ」の「モノラルパワーアンプ」も存在している。ちなみにいうと、サブウーファー用の「モノラルパワーアンプ」は低音再生に特化している場合がほとんどだ。なので中音以上の音域の再生には向かない仕様になっている。

対してサブウーファー専用機ではない「モノラルパワーアンプ」は、先述したとおり「フルレンジタイプ」だ。このような「パワーアンプ」は何のために存在しているのかと言うと…。

それらは、高音質を追求するハイエンドシステム向きの「パワーアンプ」として作られている場合がほとんどだ。セパレートスピーカーを鳴らそうとする際には、1つのスピーカーユニットに「パワーアンプ」の1chずつをあてがう「マルチアンプシステム」が組まれることが多い。その「マルチアンプシステム」を構築する際には、「外部パワーアンプ」自体も1chずつ別体化させた方が音的なアドバンテージを発揮する。そうすることでch間の信号の干渉が相当に少なくなり、そのことが音に効いてくるからだ。

というわけなので、「モノラルパワーアンプ」には2タイプが存在している。サブウーファーを鳴らすことに特化したモデルと、高音質を追求するためのハイエンドモデル、この2つがあるのだ。

今回は以上だ。次回も初心者が感じがちな素朴な疑問の答を解説していく。お楽しみに。


《太田祥三》

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