バッテリー上がりでトラブル前に交換する~Weeklyメンテナンス~

バッテリー上がりでトラブル前に交換する~Weeklyメンテナンス~
バッテリー上がりでトラブル前に交換する~Weeklyメンテナンス~全 1 枚

クルマのトラブルで多いバッテリー上がり。ドライブ先でバッテリー上がってしまいエンジンが始動できなくなるケースは今も昔も多いのだ。今回はバッテリーのメンテナンスについて紹介していこう。

バッテリーのトラブルがいかに多いかはJAFの救援出動回数を見ても明らかだ。2021年度のJAFロードサービス出動理由のトップは「バッテリー上がり」だ。全出動回数の実に40.74%をバッテリー上がりが占めていることを考えると、バッテリーの日常点検やメンテナンスがいかに大切なのかがわかるだろう。

同時に「今朝、家を出るときまでは大丈夫だったのに、出先でエンジンが掛からなくなった……」と言うケースもあり、バッテリーのトラブルは不意に起こることも多い。明らかな前兆が読み取りにくいのも救援要請の多さにつながっているとも想像できるだろう。

そこで、この機会に愛車のバッテリーのチェックをしてみることをオススメする。早めのメンテナンスで不意のトラブルを防ぎ、せっかくの楽しいドライブを台無しにしてしまうことのないように自分でできる準備を実施しておくと良いだろう。

ところで、バッテリーのトラブルは“寒い冬場に起きがち”、そんな先入観を持っているユーザーも多いかも知れないが、実は夏場もバッテリーへの負担が大きい時期。バッテリーはもともと熱に弱いため、冬場以上にエンジンルーム内の温度が上昇する夏シーズンはバッテリーにも負担が掛かる(バッテリーの化学反応が活発になるため、自己放電や劣化が進み易くなると言われている)。さらにエアコンや電装品をフルで使うことも多くなるため、バッテリーの電力供給にも負担が掛かることもトラブルの原因になっている。先に紹介したJAFの出動理由で、お盆時期の出動回数でもバッテリー上がりが1位になっていることからも、夏にもバッテリーのトラブルが多いことがわかる。これからの夏ドライブシーズンをノントラブルで乗り切るためにもバッテリーのチェックは急務と言える。

ではバッテリーのチェックはどのようにすれば良いのだろう? バッテリーの電圧は12.5V~13V程度が標準的だが、テスターを使って電圧を測定して極端に(12.5Vを下回るなど)電圧が低下している場合にはすぐに交換を検討した方が良いだろう。しかしテスターでの電圧測定だけではなかなかバッテリーのトラブルが見つけられないのも事実だ。テスターで電圧を計測してもほぼ正常値を示す場合が多いからだ(劣化していることが電圧だけではわかりにくい)。

そこで利用したいのがカー用品店などで行っているバッテリーチェッカーによる測定だ。こちらにはCCA(コールド・クランキング・アンペア)値と呼ばれるデータを測定できるチェッカーである場合が多いのだ。CCA値はエンジンを始動させるための能力を示す数値でバッテリーが劣化してくるとこの数値が徐々に低下してくるのだ。そのため電圧は正常値であってもCCA値が低下気味だとバッテリー劣化が予想されるので交換時期が見えてくるのだ。

電圧チェッカーなどを装備していたりナビなどの電圧計を定期的にチェックしていて、バッテリー電圧はそれほど下がっていない/正常だと思っていてもこのように専用のチェッカーを使って測定すると劣化が見られることもあるので、シーズン前には一度チェックしてみると良いだろう。

思わぬバッテリー上がりが起こってしまう要因となっているのは、このように“明らかにバッテリーが弱っている”といった前兆が顕著ではないこともあるだろう。電圧面に加えて、もうひとつの要注意ポイントなのがドライバーのフィーリングだ。「エンジンが掛かりにくい」「ライトが暗くなった」「パワーウインドウの動きが遅い」などバッテリーの弱りを感じさせる前兆が感じられればバッテリーの弱りはある程度は予期できるだろう。しかし多くの場合はこの前兆がそれほど明らかではないことが多いのだ。ドライバーは特にバッテリーの劣化を感じないので、バッテリー寿命のギリギリまで(ダメになるまで)使ってしまうことになる。

さらにもうひとつの要因がバッテリーの突然死だ。近年のバッテリーは高性能化が進み、カルシウムバッテリーなどが一般化している。そんなバッテリーの傾向が“ギリギリまでスペック通りの性能を発揮して、最後は急激に寿命を迎える”という点だ。これが出先でのバッテリー上がりの要因にもつながっているのだ。

実際に筆者も、前日に自宅まで運転して帰って来た愛車を翌朝になってエンジン始動しようとしたら、セルモーターがまったく回らなくなった経験がある。この時にはキーレスエントリーまでが動かなくなり、リモコンで解錠ができなくなるほど電圧が低下していたことがあった。これは極端な例としても、バッテリーの突然死はこのように前触れ無く起こる(または前触れがあっても微細でドライバーが察知できない)ことも多いと知っておこう。

なかなかバッテリー劣化の兆候を見極めるのが難しい最近のバッテリー。そのため、バッテリーチェッカーを使った検査で劣化が疑われる場合には早めに交換するのが最善の対処方法になるのだ。特に長距離ドライブなど、行楽シーズンでバッテリーを酷使することが予想される場合には事前にバッテリーチェックを実施しよう。


《土田康弘》

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