【フォーミュラE】屋内でも行われるEVのレース…第13戦レビュー

【フォーミュラE】屋内でも行われるEVのレース…第13戦レビュー
【フォーミュラE】屋内でも行われるEVのレース…第13戦レビュー全 8 枚

フォーミュラE(FE)」の第13戦が7月30日にロンドンで開催され、地元イギリス出身のジェイク・デニス(アバランチ・アンドレッティ・フォーミュラE)が優勝した。

2位と3位にはストフェル・バンドーン(ベルギー)とニック・デ・フリーズ(オランダ)が入り、メルセデス- EQフォーミュラEチームの2人が揃って表彰台を獲得した。しかしながら、デ・フリーズにレース中の接触による5秒加算のペナルティが課せられて6位に降格。代わって、4位でチェッカーフラッグを受けたニック・キャシディ(ニュージーランド)が3位となる波乱があった。

地元イギリス出身のジェイク・デニスが今季初勝利地元イギリス出身のジェイク・デニスが今季初勝利

◆電気自動車によるワールドチャンピオンシップ

FEはバッテリーとモーターを搭載した電動レーシングカーで行われるモータースポーツで、今季で8シーズン目を迎えた。今シーズンから世界自動車連盟(FIA)が承認する世界選手権シリーズとなり、フォーミュラ1(F1)や世界耐久選手権(WEC)、世界ラリー選手権(WRC)と並ぶモータースポーツの世界的カテゴリーに成長した。

ニッサンやポルシェ、ジャガー、PSA(プジョー・シトロエン・グループが「DS」ブランドで参戦)、インドのマヒンドラといった自動車メーカーが参戦する。メルセデスは今シーズン限りで撤退するが、来季からマセラティが新たに参戦する。市販車の電動化が進む中、世界的な自動車メーカーも注目するシリーズである。

セーフティカーもEVのポルシェ・タイカンセーフティカーもEVのポルシェ・タイカン

◆ハードもソフトもユニークな次世代のレース

これまで紹介してきたように、FEは電気自動車(EV)ならではの要素が勝敗の鍵を握る次世代のモータースポーツと言える。45分+1周で行われる決勝レースでは、使用できるエネルギー量(バッテリー充電量)が決められている。パワーの使い方や減速時の回生による発電をきめ細かく戦略に組み込み、「電費」の良い走りが要求される。また高負荷による走行を続けると、バッテリー温度の上昇による出力低下を招くこともある。

ハード面以外にも、伝統的なモータースポーツと異なる点が少なくない。モーターの最高出力を一時的に220kWから250kWに上げる「アタックモード(AM)」については、使用回数と1回あたりの持続時間がレースごとに変更される。チームとドライバーは、柔軟な対応ができるよう戦略のシナリオを複数用意することが必要となる。ちなみに、第13戦のAMは6分間 X 2回だったが、これまでに4分 x 2回や8分 X1回のレースなどもあった。

伝統的なモータースポーツらしいバトルと新しさが混在するFE伝統的なモータースポーツらしいバトルと新しさが混在するFE

そのほか、観客がレース展開に影響を与えることができるユニークな取り組みも行われている。インターネットを使ったファン投票で最も票を集めた上位5名のドライバーには、「ファンブースト」が与えられる。レース後半に250kWのパワーが5秒間使えるようになり、レース結果を左右することもある。

◆屋内を疾走するのもFEならでは

第13戦と翌日に行われた第14戦の舞台となったのは、イベント会場の「エクセル(ExCeL)ロンドン」。ロンドン東部のテムズ川沿いにある「ドックランズ(Docklands)」と呼ばれるウォーターフロントの再開発地域にあり、ビジネス見本市や展示会、ファッションイベント、恐竜展など様々な催し物が行われる。

テムズ川に沿ったウォーターフロントの再開発地域でロンドンEプリが行われたテムズ川に沿ったウォーターフロントの再開発地域でロンドンEプリが行われた

エクセル内の通路と周辺道路を結んだ約2.1kmのストリートサーキットが造られ、7月最後の週末にダブルヘッダーとして開催された。コースのおよそ1/3はイベント会場内で、屋内をフォーミュラカーが最高速度280km/hで疾走する様子が観られる。これも、排ガスやエンジン音を出さないEVだからこそできることで、FEならではの特徴と言えるだろう。

約1/3は屋内というユニークなコース約1/3は屋内というユニークなコース

◆サーキットがロンドンのナイトクラブに

決勝レース前のセレモニーでは、ライトアップされたステージにDJのジャックス・ジョーンズやシンガーソングライターのニーナ・ネスビットが登場。スターティンググリッドのレーシングカー前ではダンサーのパフォーマンスが行われるなど、ナイトクラブの様な雰囲気の中でドライバー紹介が行われた。こうした光景も、伝統的なモータースポーツでは見られないものだ。

ナイトクラブ的な演出があちこちで見られたロンドンでのレースナイトクラブ的な演出があちこちで見られたロンドンでのレース

◆初の王者に一歩前進したバンドーン

華やかな演出で幕を開けた「ロンドンEプリ」は、予選でポールポジションを獲得したデニスが好スタートを決めると一度もトップの座を譲ることなく優勝。昨年に続いて、故郷に錦を飾った。バンドーンもポジションをキープして周回を重ね、安定した走りで2位に入賞。シリーズランキングで2位との差を広げ、初のシリーズチャンピオンに一歩近づいた。

今シーズン、2戦を残してチャンピオンに最も近いバンドーン(左)今シーズン、2戦を残してチャンピオンに最も近いバンドーン(左)


翌日の日曜日、7月31日には第14戦が行われた。その模様も、EVならではの車両特性やユニークなレギュレーションなど、独自の視点から紹介する。FEの「シーズン8」は、8月13日~14日に韓国・ソウルで行われる第15戦と第16戦で全スケジュールを終える。


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《石川徹》

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