楽しむことで防災能力を高める、ヤマハの四輪バギー「ウルヴァリン」の可能性 日本導入は

ヤマハの四輪バギー「ウルヴァリン RMAX4」(RESCUE EXPO in 立川)
ヤマハの四輪バギー「ウルヴァリン RMAX4」(RESCUE EXPO in 立川)全 24 枚

ヤマハ発動機は、8月25日・26日に開催された「RESCUE EXPO in 立川」(東京都立川市)に、「遊んで 備える」をコンセプトとした防災への提案を紹介した。グループ会社のヤマハモーターパワープロダクツ、ヤマハモーターエンジニアリングとの連携により、ヤマハらしい多彩な製品・コンセプトが展示されたが、会場の目玉となり注目を集めていたのが、四輪バギー(ROV)の『ウルヴァリン RMAX4』だ。

【画像全24枚】

四輪バギー「ウルヴァリン RMAX4」の可能性

ヤマハの四輪バギー「ウルヴァリン RMAX4」(RESCUE EXPO in 立川)ヤマハの四輪バギー「ウルヴァリン RMAX4」(RESCUE EXPO in 立川)

ウルヴァリン RMAX4はオフロードでの走破性を追求した4人乗りの四輪バギー。日本でお目にかかることはほぼないが、それもそのはず。主要市場は北米で、主にレジャー用途で親しまれているという。

レジャー向けとはいえその性能は本物。二輪用とは異なる999ccの2気筒DOHCエンジンは高トルクを出力し、フルデフロックの4WDを組み合わせる。最新のクロカンSUVのような特別な電子制御システムなどは搭載しないが、自社開発のCVTによって様々な路面状況を走破する。ローギアに入れれば急斜面でも3km/h程度で下ることができるそうだ。見た目通り、渡河性能も高く約70cmくらいまで水に使っても走りきることができる。

開発者であるヤマハ発動機の鈴木喜貴さんは、「約900kgという軽さが強みで、だからこそ滑らずにしっかり地面に食いついて走ってくれるんです。私がアメリカにいたときには、やっぱり1台所有して、週末はROVをキャリアーに積んで出かけてオフロードを楽しむという生活をしていましたが、とにかく楽しいですよ」と話してくれた。

ヤマハの四輪バギー「ウルヴァリン RMAX4」(RESCUE EXPO in 立川)ヤマハの四輪バギー「ウルヴァリン RMAX4」(RESCUE EXPO in 立川)

そんなウルヴァリン RMAX4だが、なぜ日本で販売していない商品を展示したのか。日本での一般販売や、あるいは消防や自衛隊への納入を視野に入れているのか。今回の出展を取りまとめるブランドマーケティング担当の小川岳大さんが答えてくれた。

「(消防や自衛隊への納入のような)そういう可能性もぜひ、と考えていますし、BtoCでも機会やニーズがあれば、日本の中でちゃんとしたビジネスやサービス体制が構築できる可能性があるのか、しっかり考えたいと思っています。ただ、それ以前にヤマハとしてはモノもそうなんですけど、コトも何か面白いことができるんじゃないかと考えています。『PLAY SURVIVE 遊んで 備える』という出展テーマの通りなんですが、自然に入れば人はそこで楽しめますし、楽しむことで防災能力はどんどん上がっていく。それを、ROVのようなものを通じて提供できるのではないかと探っているところです」

他のイベントで展示しても、「楽しそう」「走ってみたい」など一般客からの反響は多いという。現在のところ日本でヤマハのROVを体験できる場所はないが、「そういう場所を作りたいですね」とも小川さんは話していた。

日々アップデートを続ける洪水・水難救助艇「RS-13」

洪水・水難救助艇の「RS-13」(RESCUE EXPO in 立川)洪水・水難救助艇の「RS-13」(RESCUE EXPO in 立川)

今回の展示ブースで、ウルヴァリン RMAX4と並んで来場者の目を引いたのが洪水・水難救助艇「RS-13」コンセプトだ。これまでも展示会等でお披露目されていたが、今回のものは最新バージョンにアップデートされたものだという。

RS-13は近年増加している洪水などの水害時に活躍することを想定したボートで、ヤマハが開発・販売するレジャーボートのノウハウが注ぎ込まれた。全長約4mのコンパクト船体に乗船定員は最大6名、操安性を追求した運動性能や、開閉式フロントゲートにより、船首からも乗降可能な高い現場対応力を備えているのが特徴。

コンセプトとあるが実際に運用が可能な状態で、すでに全国の消防などと連携し、現場の意見を取り入れながら日々改良がおこなわれている。今回展示されたRS-13は3号艇で、正式に船舶としての認証も得ることで外洋(5海里までの限定沿海)まで出ることができるようになった。

洪水・水難救助艇の「RS-13」(RESCUE EXPO in 立川)洪水・水難救助艇の「RS-13」(RESCUE EXPO in 立川)

大きな改良は、4つのタイヤが付いたこと。洪水の場合、水深が一定ではないので常に水上を走行できるわけではない。地面が露出したようなところや、陸上に上がって救助者を搬送するのにタイヤが役立つというわけだ。しかも特別な器具いらずで取り外しも可能。船体の形状も初期モデルとは異なっていて、当初は箱型に近いイカダのような形だったが、よりボートのような形に近づいた。安定性やより迅速に現場に駆けつけるための全面改修だという。

ほかにもフロントゲートが浮き輪のようなエアタイプになったり、500kgfの浮力を実現するなど、救助現場での意見が活かされている。会場で実際に押し引きをしてみることができたが、234kgという重量ながら一度動き出してしまえば片手で移動が可能なほど軽く、取り回しは非常に良いと感じた。

開発は最終段階だというRS-13。こちらはウルヴァリン RMAX4とは違って一見、一般ユーザーとは縁遠いように見えるが、「遊んで 備える」のコンセプト通り、「遊び」の部分も想定しているのだという。RS-13をひっさげ、全国を駆け巡っているというマリン事業本部の太田延治さんは語る。

洪水・水難救助艇の「RS-13」(RESCUE EXPO in 立川)洪水・水難救助艇の「RS-13」(RESCUE EXPO in 立川)

「釣り船などのレジャーボートとしての可能性も同時に検討しています。救助艇という目的だけではどうしてもコストが高くなってしまい、本来使っていただきたい方々に届けられないということになってしまっては意味がありません。裾野を広げて多く生産できるようになれば、価格を下げることができる。とにかく息の長い取り組みにしていきたいと考えているんです」

遊びと防災は表裏一体。楽しく遊ぶことで防災の意識や知識は高められる。バイクをはじめとするレジャービークルや、多岐にわたるソリューションを手がけるヤマハらしい提案といえるだろう。

《宮崎壮人》

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