【EV化で変わる自動車部品産業】第4回 日立オートモーティブとホンダ系3社の経営統合

日立オートモーティブとホンダ系ケーヒン+ショウワ+日信工業の再編

日立製作所の事業再編とホンダ系3社統合

ホンダ系列3社の位置、ホンダの新展開=ソニーホンダの提携

日本電産のシステム・サプライヤーへの取り組み

日立アステモ(人とくるまのテクノロジー2022)
日立アステモ(人とくるまのテクノロジー2022)全 2 枚

日立オートモティブシステムズ(AMS)とケーヒン、ショーワ、日信工業が経営統合し、2021年1月に日立Astemo(アステモ)が発足した。

ホンダ系3社は、ホンダ系列の中心的存在であるが、それぞれの売上高の規模は2000~4000億円程度で、直面する電動化・自動運転の技術革新に対応するためには、それぞれ1社では対応が困難だった。この統合によって、日立オートモーティブの売上高は1兆8000億円程度と業界3位の規模になるが、ホンダ系3社にとっても日産への販売拡大によって経営基盤を安定させることになる。また日立AMSはこの合併で各社の得意技術を組み合わせ、スケールメリットを追求することが可能となるとされた。 

◆日立オートモーティブとホンダ系ケーヒン+ショウワ+日信工業の再編

合併後の主要分野を見ると、日立AMSは総合システム・サプライヤーとして電動化、先進的シャシ、自動運転、先進運転支援システム(Subaru)などを手掛けるほか、PCU(パワーコントロールユニット)では業界トップとなる。ホンダ系3社は、ケーヒンは駆動系部品、ショーワはサスペンションやステア・バイ・ワイヤ、日信工業は電動キャリパー、電動パーキングブレーキなど、それぞれの分野を統合し、相互補完とともに重複の調整によって従来技術の底上げ、ソフトウェアを組み込んだシステム部品開発、事業規模拡大による効率化などを推進する。

なお日立製作所はホンダ系3社の株式取得に際して、クラリオン(元日産系、2006年に日立製作所が63.6%を取得)の全株式を世界8位のフォルシアに売却した。この資金は日立AMSの投資に振り向けられ、グローバルな部品産業再編成の一角をも形成している。その後2021年、日立AMSとホンダ系3社は日立アステモ(日立51%、ホンダ49%)を設立、それまで自前でエンジン・電動機を開発してきたホンダは日産圏の日立との連携によって、ホンダ系列サプライヤー群の弱点を補強することとなった。

これは一面ではホンダの自前主義を崩して外部のサプライヤーをも含めた体制構築展開の一歩であるが、新しい技術革新に対する旧来の部品サプライヤーの必要性を考えた、一つの結論ということもできる。


《清 晌一郎》

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