ドラレコで高度運転支援は可能か…オートモーティブワールド秋2022

歩行者の動き予測するAI技術(オートモーティブワールド秋2022)
歩行者の動き予測するAI技術(オートモーティブワールド秋2022)全 6 枚

自動ブレーキやレーンキープといったADAS機能にはカメラが欠かせない。だが、多くのADAS車両のカメラは録画機能を持っていない。逆にドラレコカメラをADAS機能の画像センサーとして利用することも難しい。

その理由は、技術的な設計や車両システムのアーキテクチャによるもので、ADASカメラとドラレコ機能を統合するのは新車開発時に設計要件に組み入れて、ECUアーキテクチャから対応できるようにしておく必要がある。とはいえ、既存車両に踏み間違えシステムが後付けできるなら、自動ブレーキやレーンキープを後付けできるのでは?

テクノホライゾンは、歩行者横断や飛び出しなどの危険を知らせてくれるドラレコをオートモーティブワールド秋(2022年)で提案していた。画像認識のAIモデルと組み合わせれば、緊急のブレーキ介入やハンドル操作まではできなくとも、ワーニングくらいは発してくれるドラレコは実現可能だ。

歩行者の行動予測AIを開発したのはHumansing Autonomyという英国を拠点とするスタートアップ。ユーザー(顧客)は、エアバスや物流企業、交通事業者などが多いが、自動車業界ではダイムラー、アイシンなどとも取引がある。同社のAIは、画像認識した歩行者の骨格(関節)を読み取り、進行方向や重心の位置(の遷移)から次の一歩を予測する。止まっている歩行者でも、重心移動がわかれば道路(進路)にでてくるかどうかが判断できる。

EURO NCAPではADAS機能の評価に、駐車車両の間から飛び出してくる歩行者の回避テストが加わる。この技術が適用可能だという。

ただし、Humanising Autonomyはソフトウェア企業であり、車両やカメラなどのハードウェアは持っていない。日本ではテクノホライゾンが製品開発や国内マーケットのパートナーになっている。

ADAS用のAIカメラといえばモービルアイが有名だが、サプライヤーが自社のADASカメラにHumanising AutonomyのAIをインストールすれば、歩行者行動予測つきのADASカメラを実現できる。ドラレコにインストールすれば、既存車両の後付け、アフターマーケットへの展開も考えられる。WP29での自動車セキュリティや機能安全要件は、近い将来、既存車両(OTAや新E/Eアーキテクチャに対応していない古い車両)にも及ぶものと考えられている。

アラートを上げるだけで自動ブレーキなど車両制御ができないとしても、後付けできるADAS機能はとても重要だ。


《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  2. トヨタ『ランドクルーザー300』初のハイブリッド登場!実現した「新時代のオフロード性能」とは
  3. ようやくですか! 新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』日本仕様初公開へ…土曜ニュースランキング
  4. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
  5. 【BYD シーライオン7 新型試乗】全幅1925mmの堂々サイズも「心配無用」、快適性はまさに至れり尽くせり…島崎七生人
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. 独自工会、EV減速でPHEVに着目、CNモビリティ実現へ10項目計画発表
  3. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
ランキングをもっと見る