【トヨタ シエンタ 新型試乗】フランスの香りプンプン!乗り味で頭ひとつ抜けたのは「ハイブリッド四駆」…中村孝仁

フランスの香りがプンプンする

使い勝手には日本の香りがプンプン

電動四駆のハイブリッド E-fourが頭ひとつ抜けた乗り味

価格差を考えると

トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)
トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)全 25 枚

フランスの香りがプンプンする

新しいトヨタ『シエンタ』を見て、なんとなくヨーロッパ、特にフランスの香りがプンプンすると感じた人は多いのではないかと思う。

先代と比べて全長や横幅などは変わっていないのに全高は20mm拡大され、1695mm(E-Fourは1715mm)となった。このため旧型と見比べるとなんとなく旧型が細長く見える。それはともかくとして前述したヨーロッパの香りというはその外観だ。

トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)

個人的にフランス製のスライドドア車を日常の足として使用しているが、それと似た香りを感じてしまう。トヨタはべーシックカーの開発・生産を当時のPSAグループ(現ステアランティス)と共同で行っているから、そうした背景もあって少しフランスの香りがするのかな?とも思った。もっとも本当に似ている似ていないという話になると別なイタリア車を連想してしまうが、まあそれは敢えて言うまい。

使い勝手には日本の香りがプンプン

トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)

姿形としてはヨーロッパの匂いがするが、その使い勝手はというと、これは日本の香りがプンプンである。あれこれと細かいところに配慮が行き届いていて想定するユーザーのことがよく考えられているのだが、そうは言ってもそれらはすべて大人の論理で考えられているところに少し問題があって、一緒に乗るであろう子供対策はいかがなものかとも思う。

代表的な例が後席ドライバーズシートのバックレストにあるスマホなどの充電に便利なUSBソケットだ。目の前にあるから非常に便利そうだが、待て待て、うちの孫たちはこんな穴を見つけたらすぐに何かものを詰め込むぞ、と。使い易くて見やすい位置というのはある意味で幼い子供の恰好な遊び場所。そのあたりに配慮して蓋でもついていれば…と主査に尋ねたところ、蓋が付くといちいち開け閉めしないと使えないと大人から敬遠されるとのこと。まあ仰る通りなのだろうが、でもここに道で拾ってきた虫でも詰められた日には…と考えてしまう。

トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)

それはともかくとして2列目のシートに乗降して感心したのはその床面の低さである。1695mmという車高は既に立体駐車場に入らない結構な高さなのだが、床面まではたったの330mmしかない。勿論子供の乗降も楽だろうし、年配者でもこの高さなら安心して乗れる。まだ健常な実にはとても楽だ。かがまずにシートに腰を掛けることができる。

試乗したのは3列シートのモデル。3列目のシートを折り畳むのは結構面倒で、デュアルアクションで座面も跳ね上がる2列目を先に持ち上げておいて、3列目を畳んでその下に入れたのちに改めて2列目を元の位置に戻すという作業が必要であった。勿論あれば便利な3列目だから、滅多に使わなくてもこの3列シートを購入するユーザーは多いという。でも、3列目を常に使える状態にしておくとラゲッジスペースは狭くなるし、一旦仕舞ったシートを元に戻すのは結構面倒なので、例えば4人家族でこいつを購入した場合、なかなか3列目の出番は少ないような気がした。まあ、ガラケーの便利機能的なイメージである。

トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド)

電動四駆のハイブリッド E-fourが頭ひとつ抜けた乗り味

パフォーマンス的にはやはりハイブリッドが少し上と感じた。エンジンのパフォーマンスだけ見るとハイブリッドの方は100psに満たないパワー(91ps)と120Nmのトルクでかなり非力に映る。対してガソリンは120psに145Nmだからだいぶ勝っているのだが、ハイブリッドはこれに80ps、141Nmのモーターが加勢するから、ここ一発の加速はやはりこちらが上と感じた。

車重差は同じ7人乗り同士で比べると70kgハイブリッドが重い1370kg。これが5人乗りのガソリン車と比べた場合はさらに20kgのアドバンテージをガソリン車が持つのだが、それを差し引いてもハイブリッド車が少しゆとりがあるように感じられた。

トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド E-Four)トヨタ シエンタ 新型(Z ハイブリッド E-Four)

因みにチョイ乗りした「E-four」と呼ばれる電動四駆車はFWD(前輪駆動)のハイブリッドよりもさらに50kg重い1420kg。でも実はこの電動四駆のE-fourが乗り味としては個人的に一番良かった。重さという武器が細かい微振動を出していたガソリンFWDやハイブリッドFWDと違ってそれを見事に抑え込んでいたからだと思う。とりわけ低速時の荒れた路面での乗り味はE-fourが一頭地抜けていた印象である。

価格差を考えると

とはいえ、当然ながらお値段もそれなりでFWDのハイブリッドが車両本体価格291万円(7人乗り)。これがE-fourになると310万8000円だ。因みに一番高いハイブリッド E-fourの7人乗りだった試乗車の値段はオプション48万4000円を含んで359万2000円。ガソリンFWDとの比較では67万4350円の差が付く。この価格帯としてはやはり結構の価格差となってしまう。

トヨタ シエンタ 新型(左)と旧型(右)トヨタ シエンタ 新型(左)と旧型(右)

■5つ星評価
パッケージング:★★★★
インテリア居住性:★★★★
パワーソース:★★★★
フットワーク:★★★★
おすすめ度:★★★★

中村孝仁(なかむらたかひと)AJAJ会員
1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

《中村 孝仁》

中村 孝仁

中村孝仁(なかむらたかひと)|AJAJ会員 1952年生まれ、4歳にしてモーターマガジンの誌面を飾るクルマ好き。その後スーパーカーショップのバイトに始まり、ノバエンジニアリングの丁稚メカを経験し、さらにドイツでクルマ修行。1977年にジャーナリズム業界に入り、以来45年間、フリージャーナリストとして活動を続けている。また、現在は企業やシニア向け運転講習の会社、ショーファデプト代表取締役も務める。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  2. 最後のフォードエンジン搭載ケータハム、「セブン 310アンコール」発表
  3. 高機能ヘルメットスタンド、梅雨・湿気から解放する乾燥ファン搭載でMakuake登場
  4. 船上で水素を製造できる「エナジー・オブザーバー」が9年間の航海へ
  5. 「三菱っぽくないけどカッコいい」ルノーの兄弟車となる『エクリプス クロス』次期型デザインに反響
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 米国EV市場の課題と消費者意識、充電インフラが最大の懸念…J.D.パワー調査
  2. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  3. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  4. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  5. 「あれはなんだ?」BYDが“軽EV”を作る気になった会長の一言
ランキングをもっと見る