「第3回ふれあいテスラ」が9月24日、岡山県の笠岡ふれあい空港で開催された。電気自動車(BEV)の加速力を思う存分楽しもうという本イベントに筆者も参加。BEVの加速は鋭く速いというのは体験しているが、思った以上の速さに驚いてしまった。
◆0-350mで、BEVの強烈な加速を体感
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「ふれあいテスラ」は、イベントの名前の通りテスラオーナーが主体となったイベントだ。軽飛行機の離着陸に使われる空港の滑走路を貸し切り、ゼロヨンならぬ0-350mランをして思いっきりアクセルを踏んでみようというイベントだ。ちなみに加速区間が350mで設定されたのは、滑走路の距離と安全のための減速スペースとの兼ね合いだとか。
参加車はテスラ『モデル3』『モデルS』『モデルX』、そして最新の『モデルY』が主体だが、ヒョンデの『アイオニック5』や日産『アリア』『リーフ』のオーナーもいた。つまり、BEVならどんな車両でもウエルカム。みんなで楽しもうというゆるいスタンスだ。
特に制限なども設けられていないので、愛車の調子を見ながら各々が楽しんでいる様子であった。また比較試乗のために、モデル3、モデルY、アイオニック5、アウディ『e-torn』が主催者によって用意された。参加者はそれらのモデルに自由に試乗して走行を行った。
◆テスラの加速は「アクセルを踏み切れない」ほど
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まずモデル3の「ロングレンジ」に乗ってみる。テスラ特有の大型モニターに全ての情報が映し出されるので、タッチパネルを使って操作を行い、おおよそ標準的なドライブモードにしてスタートラインへ向かう。スタート地点にはゼロヨン大会などで見かける「クリスマスツリー」と呼ばれるランプがあるわけでもなく、パイロンが置かれているのみ。自分の中で呼吸を整えてスタートする。
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アクセルをベタ踏みして真っ直ぐに走り抜けるだけのコースだが、クルマは想像以上に加速をしていく。1本目なのでまっすぐ走ることに集中していると、速度などはあまり見ている余裕はない。恐らく120km/h程度だったと思うが、この速度でちゃんと止まれるのか心配になり、ゴールのパイロンよりも手前からアクセルを緩めてブレーキを踏み始めてしまった。あまりの加速にビビってしまいアクセルを踏み切れなかったが、テスラは回生ブレーキが備わっており、かつ減速区間が長く取られているのでゴールパイロン後でも安心して停止できると分かった。
2本目は緊張も解れたのでアクセルをベタ踏みにしていき、150km/h前後まで出ていることを確認しながらゴールを駆け抜けた。それでもブレーキをきちんと踏めば安心して止まることができる。ブレーキも結構しっかりしていると改めて感じられた。
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続いて「モデルY RWD」に乗り換える。基本的なパワーユニットなどはモデル3と同じだ。SUVスタイルなので全高は高い。シートに座りポジションを合わせると、結構視点が高いことに気がつく。車重はモデル3の1850kgに対し、モデルYは1930kgと80kgほど重い。スタート地点に向かうまでにボディを左右に振ってみると、モデル3のような軽快な動きではなくややゆったりとした動き。ボディの重さと高い重心が運転していても伝わってくる。
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スタート地点からアクセルを踏み込んでみると、やはり車重の重さと車高が高いことで空気抵抗が増したためか加速・最高速度ともにモデル3と比較しするとやや遅い。そしてブレーキングを行うとここでも車重が影響して少し制動が甘い感じもする。2本走ってみたが印象は変わらなかった。
◆ヒョンデにも試乗、初めて乗ってわかったBEVの世界
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最後にヒョンデのアイオニック5に乗ってみる。この車両だけは今まで乗車したことがないので少しワクワクした気持ちになる。明るい車内と、モニターが並んだインパネが新鮮だ。スイッチを入れ、「(ギアの)ドライブはどこだ?」と少し悩んだが、ウインカーレバーの下にセレクトレバーがあった。メルセデス・ベンツのセレクトレバーと同じような感じだ。
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試乗したのは「ラウンジ」というグレード。最高出力160kW(217PS)と最大トルク350N・m(35.7kgf・m)というスペックだ。リアモーター・リア駆動というガソリン車ではあまり見なくなったレイアウトが、BEVらしいのかもしれない。
スタート地点でアクセルを踏み込むと一瞬フロントが軽くなり、リア駆動らしく後ろから押してくれるような感覚だ。直前にテスラの強烈な加速を体感してしまったので、アイオニック5の加速は少しゆっくりに感じられる。実際、アクセルをベタ踏みでも120kmちょっとしか出ていなかったように思える。車重も1950kgと結構重いのが影響しているのだろう。
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とはいえ、0-350mと言う加速力を勝負する環境ではテスラの速さが凄いと感じるが、実際の街中での標準的な加速であれば、アイオニック5もそれほど遅いとは感じないはず。そして強烈な加速でありながらエンジンと排気音がない静かな空間に、ロードノイズと風切り音だけが聞こえる環境は、今までほとんど体験していない不思議な感覚だった。
今回はあくまでもBEVの走りの良さを体感しようというイベントであり、速さを競う大会ではないのでタイム計測などは行われていない。それでも十分BEVの魅力を感じられるイベントであった。
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