免許なしで走れる燃料電池車:シャトネのカスタムカー…パリモーターショー2022

シャトネのWRカーのレプリカ
シャトネのWRカーのレプリカ全 11 枚

フランスのマイクロカーメーカーである「シャトネ」の車両は、45km/h以下、出力6kWに制限されており、フランスの法規では14歳以上なら免許なしで公道を走ることができる。パリモーターショー2022ではその改造車を発見したのだが、なんと小型の燃料電池を搭載していた。

免許なしで乗れるマイクロカーについては、ボディの安全性や子供が運転できるといった理由で危険という議論もあるようだが、カスタムカーの素材としても人気のようだ。まず最初に発見したのはスバル/プロドライブ『インプレッサ』のカラーリングを施されたマイクロカー。WRC仕様のレプリカだ。残念ながらブースにこの車のことがわかる人がおらず、詳細を聞くことができなかったが、エキゾーストパイプが11個ならんでいたり、車内のサイドブレーキレバーが日本刀になっていたりとかなり遊んだ仕様だ。

もう1台は燃料電池(Fuel Cell)を搭載したシャトネだ。ビルダーは、キャップジェミニという環境やサスティナビリティに特化したコンサルティング会社。シャトネと共同でこの燃料電池マイクロカーを作ったそうだ。ベース車はディーゼルエンジンだが、欧州では内燃機関車両は新車販売できなくなるため、シャトネはEV化も進めている。FCVはもうひとつの選択肢としてキャップジェミニと開発を進めている。

まだプロトタイプの状態だが航続は250kmあるそうだ。バッテリーのみの走行は50kmだという。驚くのは燃料電池ユニットのコンパクトさだ。L6カテゴリーのマイクロカーのエンジン部分にバッテリーとともにおさまっている。水素タンクは車体下部に収められている。現在のタンクは350バールだが450バールまでは見えているそうで、最終的には700バールを目指すという。タンクの重さは1.1kg。内装はノーマルからいじっていないという。もちろん出力6kWで速度も45km/hということで小型化がしやすかったのかもしれないが、荷室をつぶさずにFCVコンバートしているのは驚きだ。

現在EU圏には40か所の水素ステーションがある。EU委員会では水素インフラに6億ユーロを25年までに投資する予定があるそうだ。キャップジェミニは、内燃機関禁止となる2030年までに、より高性能化を進める。

《中尾真二》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 「鈴鹿8耐」最注目のヤマハ車は完全新作の『YZF-R9』! 150万円を切るなら「ブレイクの予感」しかない
  2. 新型アウディ『Q3』のインテリアを公開、「コラム式シフト」と新デジタルコックピットが目玉に
  3. 新世代MINI『クーパー』と『エースマン』に全身ブラックの「モノクローム」登場
  4. 日産『リーフ』新型発売にスタンバイ、家庭用充電器や太陽光パネル設置支援、米国でサービス開始へ
  5. 2.5Lエンジンを搭載する『インプレッサ』登場、米2026年モデルに「RS」
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 「AIディファインド」の衝撃、日本の自動車産業は新たな波に飲み込まれるのか…アクセンチュア シニア・マネジャー 藤本雄一郎氏[インタビュー]
  2. EV充電インフラ-停滞する世界と“異常値”を示す日本…富士経済 山田賢司氏[インタビュー]
  3. ブレンボが新ブレーキ開発、粒子状物質を削減…寿命も最大2倍に
  4. スズキ初のBEVはなぜ「軽EV」じゃない?『eビターラ』開発者が語る「EVの悪循環」と「スズキの強み」
  5. 湘南から走り出した車、フェアレディZやエルグランド…日産車体が量産終了へ
ランキングをもっと見る