JR北海道のキハ281系が28年の歴史に幕…東室蘭のみ停車の『スーパー北斗』でラストラン 10月23日

キハ281-901を先頭に札幌駅8番線ホームに進入する9097D『スーパー北斗』。スカートは当初のグレーのものに復刻されていた。
キハ281-901を先頭に札幌駅8番線ホームに進入する9097D『スーパー北斗』。スカートは当初のグレーのものに復刻されていた。全 14 枚

9月30日限りで定期運行を終えた北海道初の振子式気動車・キハ281系が10月23日にラストランを迎えた。

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同車は、1989年3月に運行を開始したJR四国の2000系特急型気動車に倣い、車体傾斜方式に制御付き振子を採用。1992年に試作車が登場し、当初は振子を作用させる方式として2000系と同じコロ式が試されたが、その後、ベアリングガイド式を採り入れることで徹底した耐寒耐雪対策が施され、1994年3月のダイヤ改正で函館~札幌間の『スーパー北斗』にデビューした。

当時の『スーパー北斗』は最高速度130km/h(現在の『北斗』は120km/h)で、曲線通過速度を通常より最大30km/h高速に通過できる韋駄天ぶりを発揮して、函館~札幌間を最速2時間59分で走破。非電化だった長万部~東室蘭も電化して高速化をという声を打ち消すほどの性能を発揮して「電車要らず」とさえ言われた。

1997年3月には釧路特急向けに車体の傾斜角を増やし(5度→6度)、より耐寒耐雪性能を強化したキハ283系が営業運行にデビュー。1998年には『スーパー北斗』向けの量産車も登場したため、キハ281系は試作車を含めて27両の登場に留まったが、その全車が28年間、使命を全うしたことは、昨今の車両の新陳代謝を考えると奇跡的と言えるのかもしれない。

今回、ラストランで運行された『スーパー北斗』は、キハ281系のデビュー当時、東室蘭のみに停車した『スーパー北斗2号』を思い起こすような、途中1駅停車の形で運行されたが、残念ながら、昨今の安全優先の運行態勢の下では、下りの札幌行きは3時間41分、上りの函館行きは3時間59分となり、往年のスピードとはほど遠かった。それでも、上下とも満員で運行され、ラストランらしいムードを醸し出していた。

10月23日の編成は、札幌方からキハ281-901+キハ281-6+キハ280-110+キハ280-105+キハ280-109+キハ280-3+キロ280-4+キハ281-5の8両で、9月30日の定期ラストランの時の基本編成に、デビュー当時のロゴとグレーのスカートを復刻したキハ281-901を増結した形となり、札幌方が先頭車2両となる独特の増結スタイルが再現されていた。コロナ禍の影響で縮減された編成に見慣れていたせいか、8両でもかなり長大な編成のように思えたが、これは先頭車増結による目の錯覚だったのかもしれない。

Twitterの情報によると、函館で27両のうち一部の解体がすでに始まっている模様だが、残念ながら、北海道初の振子式車両というエポックメイキング的な存在を保存する動きはまだ聞こえてこない。

キハ281系の引退により、JR北海道に残る振子式気動車はキハ283系のみとなるが、こちらは2023年にキハ183系に代わり石北本線の特急に投入されることになっており、現在、盛んに試験運行が行なわれている。

《佐藤正樹》

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