“日本一の車内清掃のプロ”誕生まで…「車内の洗車屋さん」代表

“日本一の車内清掃のプロ”として注目を集める「出張車内クリーニング」事業者に聞いた、Web集客のポイント
“日本一の車内清掃のプロ”として注目を集める「出張車内クリーニング」事業者に聞いた、Web集客のポイント全 3 枚

半導体不足などで新車の納期遅延が長期化する中、中古車購入ニーズが増加し、国内の中古車在庫が激減。そこへきて円安の影響で海外需要が高まり輸出が急増したことで、新車よりも高値がつく中古車もあるらしく、日本車の中古車価格の高騰が続いている。

このような背景の中、東京23区と埼玉・千葉・神奈川エリアで、出張車内クリーニングを中心としたカーケアサービスを提供する「車内の洗車屋さん(旧社名:TOTAL REPAIR アンフィニ)」代表の片岡 剛氏は、中古車購入ユーザーを中心とした一般顧客から、継続的にネット予約や問い合わせがあり売上を伸ばしている。どのようにWeb集客スタイルを確立したのか、片岡氏に話を聞いた。

札幌市内のディーラーに12年半在籍経験がある整備士

片岡氏の経歴として、自動車整備専門学校を20歳で卒業後、札幌市内のディーラーに12年半在籍。二級自動車整備士として4年間従事したのち、自ら志願してサービスフロントや新車販売営業に携わる中で、顧客とのコミュニケーションを大切にすることで好成績を収めた経験をもつ。ディーラー退職後は、ハウスメーカーで注文住宅の営業販売に5年半ほど携わり、その後は都内で配達ドライバーを8年半、続けたという。

そういった経験を積み重ねた片岡氏は、コロナ禍の真っ只中だった2020年3月上旬、車の内装のキズや汚れ、劣化を補修する「インテリアリペア(内装リペア)」を主としたサービス業をスタート。開業にあたり片岡氏は、内装リペアやヘッドライトクリーニング、ボディコーティング、車内クリーニングを身につけるべく、カーケアサービスのフランチャイズに加盟してトレーニングを積み、専用ツール一式を揃えて事業を開始したという。

開業後、片岡氏がまず行ったのは、地道な訪問営業だった。都内ディーラーや中古車販売店など約300件に自ら赴いて、内装リペアサービスを売り込むも、緊急事態宣言の発令で訪問営業を行えなくなってしまう。このとき、訪問営業先のひとつだった中古車販売店に縁あって短期スタッフとして在籍。中古車の車内クリーニング業務に携わったことでニーズの高さを実感し、車内クリーニング事業への意欲が湧いたという。

「くらしのマーケット」自動車関連カテゴリーに出店登録

片岡氏がWeb集客に注力しはじめたのは、2020年10月末。みんなのマーケット株式会社が展開する、ハウスクリーニング関連サービスのマッチングプラットフォーム「くらしのマーケット」の存在を知り、自動車関連カテゴリー「車内清掃(ルームクリーニング)」の「ファブリック(布)シート車」と「レザー(革)シート車」で出店をスタート。同サービスの出店登録は無料だが、予約成立時にサービス料金の20%(税込22%)を予約手数料として、出店者は運営元に支払う仕組みとなっている。

片岡氏が「くらしのマーケット」に出店登録した翌月となる11月、4件の予約が入った。片岡氏は予約ユーザーの要望や車両の状況を電話でヒアリングした上で、ユーザーの希望日時に指定場所へ訪問。現場であらためて施工内容を丁寧に説明し、ユーザーが気にしている汚れの除去や嫌なニオイを解決できるように、細かいところまで入念に車内クリーニングを行った。

キレイになった車内を目にしたユーザーは大満足の様子で、片岡氏に「ありがとうございました」と感謝の思いを伝え、その言葉に片岡氏はやりがいと喜びを感じたという。施工後、ユーザーから5つ星評価がつき、仕上がりの品質や片岡氏の人柄の良さを評価するクチコミも書き込まれた。この高評価が呼び水となったようで、予約が徐々に増加。年末の大掃除需要で12月は30件もの予約が入った。丁寧な施工と顧客対応を続けることで、いつしか「くらしのマーケット」自動車関連カテゴリー「車内清掃(ルームクリーニング)」部門で、片岡氏は全国1位の依頼件数を獲得する。

車系YouTuberの目にとまり、日本一の車内清掃のプロとして動画出演

これが車系YouTuberぬぬちゃんの目にとまり、大きな転機となる。片岡氏は、チャンネル登録者数10万人を超えるYouTubeチャンネル「ぬぬふぁくとりー」に、日本一の車内清掃のプロとして出演依頼を受け、車内クリーニングのコツを紹介。この動画は、2021年8月9日に公開されて以後、徐々に再生回数がのび、現在はなんと167万を超える再生回数となっている。

片岡氏によれば、ネットオークションやフリマアプリを利用して、個人売買で中古車を購入しているユーザーが、車内クリーニングサービスをネット検索で探す中で「ぬぬふぁくとりー」のYouTube動画にたどり着き、片岡氏が丁寧に施工する姿を見て安心感を得たユーザーが「くらしのマーケット」経由で予約する流れが確立されたようで、現在も予約や問い合わせが多い。

片岡氏は自社でもYouTubeチャンネルを開設し、出張車内クリーニングや中古車の天井に付着したヤニ汚れ・ニオイのクリーニング方法などの動画を公開。また、11月上旬に社名を「車内の洗車屋さん」に改め、車内をアルカリ電解水でまる洗いする出張クリーニングに注力。開業からこれまで2年間は片岡氏ひとり体制で出張作業を行っていたが、今後は都内に店舗を構えつつ、引き続き出張クリーニングを継続する考えだという。

重要なのは、サービス品質とクチコミ高評価

片岡氏の事例として、車好きユーザーの間で爆発的な情報拡散力があるインフルエンサーのYouTuberぬぬちゃんの目にとまった点はやはり大きい。自社として動画制作コストやWeb広告費をかけずにネット露出を実現し、長期間にわたって動画の再生回数が伸び続けていることは大きなポイントだろう。しかしこれは、あくまで “ 副産物 ” だ。最も基本的で重要なことは、片岡氏の車内クリーニングサービスの品質、丁寧な接客、人柄の良さがユーザーに評価され、良いクチコミが書き込まれ続けている点にある。

「手を抜けば、一瞬でネガティブなクチコミが書き込まれてしまうでしょう。よりキレイに仕上げられるように、丁寧な施工を続けたいと思います」と話す片岡氏の言葉にはシビアさを感じた。自動車アフターマーケット事業者として、ユーザーが満足するサービス品質を提供するのは大前提。ユーザーのクチコミ評価が良くも悪くも、自社サービスに大きな影響を与えることを十分に理解した上で、ネット予約サービス出店登録や施工動画の公開、SNSや自社ブログでの情報発信を継続的に行うことがWeb集客のポイントなのではないだろうか。

“日本一の車内清掃のプロ”として注目を集める「出張車内クリーニング」事業者に聞いた、Web集客のポイント

《カーケアプラス編集部@金武あずみ》

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