限定車のお披露目も!2年ぶりの「アバルト・デイ2022」でサソリの毒にやられる

11月6日、代官山T-SITEで開催された「アバルト・デイ2022」
11月6日、代官山T-SITEで開催された「アバルト・デイ2022」全 35 枚

秋らしい冷え込みの11月6日早朝、蔦屋書店の代官山T-SITEにイタリアのサソリたちが元気よく集った。同施設で人気の恒例ミーティングである「モーニングクルーズ」が、「アバルト・デイ2022」とコラボして、抽選で招待された75台の新旧アバルト・オーナーたちが早朝からやって来たのだ。

圧巻の新旧アバルトたちに固唾を飲んだ

11月6日、代官山T-SITEで開催された「アバルト・デイ2022」11月6日、代官山T-SITEで開催された「アバルト・デイ2022」

アバルト・デイとしてはじつに2年ぶりの開催で、関東近県はもちろん尾張小牧など遠くから参加したオーナーも少なくない。開場となる朝7時少し前に旧山手通りには一時的ながら、反対車線の一般車ですらぎょっとしたであろう、毒気はあるがなぜか可愛らしいサソリたちの入場待ち列ができた。

黎明期のアバルトは無論、レーシング・チューナーだったが、コンプリートカーだけでなくフィアット『850』や『ヌォーヴァ500』といった大衆車向けのチューニング・キットをも手がけたため、アバルトといえばファニーな外観は当初からお約束だった。一方で50~60年代随一のカロッツェリアだったザガートの手による、最新の空力を採り入れた軽量アルミボディのスモールGTも世に送り出した。『750GTザガート』や『850レコルト・モンツァ』、『ビアルベーロ』や『アバルト・シムカ1300』といったヒストリックカーから、『695』や「SS(エッセエッセ)」から様々な『595コンペティツィオーネ』や695トリブートが一同に会する様は、圧巻だった。

11月6日、代官山T-SITEで開催された「アバルト・デイ2022」11月6日、代官山T-SITEで開催された「アバルト・デイ2022」

そんな新旧のアバルトが普段はパーキングの見慣れたスペースを占めたのだから、T-SITEには一大事といえる光景ができあがった。『750TC』がエキゾーストを響かせながら停めるシーンでは、誰もが固唾をのんでカメラにその姿を収めようとした。また全員の記念撮影の際には、ラリードライバーの石川紗織選手がサソリのポーズを披露し、よろけながらもポーズを取るオーナーたちが続出するなど、一体感も格別だった。

モータージャーナリストの嶋田智之氏が、会場をマイクを携えて歩き回りながら即興でオーナーを掴まえて車両解説に興じるなど、トークや写真撮影も盛り上がっていた。また75台のオーナーの中からさらに抽選で選ばれた3名は、前述の2氏とステランティス・ジャパンのアバルト担当者らを交えた「スコーピオンブランチ」なる座談会にも参加。サソリの毒を心ゆくまで楽しめるプログラムとなった。

最新のアバルト『695トリブート131ラリー』を発表

アバルト『695トリブート131ラリー』と、オマージュ元となったフィアット131ラリーアバルト『695トリブート131ラリー』と、オマージュ元となったフィアット131ラリー

この日は、参加者たちが申し込めば、最新のアバルトである「F595」と「595コンペティツィオーネ」それぞれに乗り込んで近辺の一般道でテストドライブする試乗会も行われていた一方で、もう一台、最新世代のサソリが発表展示された。それが日本では200台限定となる、『695トリブート131ラリー』だ。外観は、鮮やかなブルーにグロスブラックのエアロ武装が、きわめて印象的だ。

会場で見ることができた、グレー&パステル&アースカラー系や、レッドやイエロー、グリーンといったヴィヴィッド系がこれまで多かった、トリブート&コンペティツィオーネとはかなり異なる系統といえる。

日本市場では2023年より右/左ハンドルそれぞれ100台づつ計200台の導入が予定されている。直4の1.4リットルターボで180ps・240Nm、5速MTという仕様は従来の695トリブートに準ずるが、特別な装備としてはグロスブラック仕上げのリップスポイラーとフロントバンパー周りが挙げられる。

2023年に導入予定の限定車、アバルト『695トリブート131ラリー』2023年に導入予定の限定車、アバルト『695トリブート131ラリー』

インタークーラー冷却用のワイドなエアインテーク、スポイラー同様にグロスブラックのオーバーフェンダーそしてサイドスカートは、かなり目を引く。ホイールは10本スポークの17インチアルミホイールで、ブレーキキャリパーもブラックだ。往年の131ラリーよろしく、ドアサイドを彩るブラックストライプには、さりげなく131ラリーのシルエットが入れられている。

リアエンドで際立つ特徴といえば、0~60度の範囲でアジャスト可能かつ立てるほどにABARTHのロゴが見えてくるリアスポイラー。さらに片側2本出し計4本出しのマフラーエンドが、ピッコロでも毒気アリというアバルトの系譜と定石を守っている。一見、フツーの車に見えて中身は超過激というのは無論、ノーマルのベースモデルは当時のおじさんっぽいサルーンだった、131ラリーにもあてはまる。

内装では、スポーティな濃いグレーに青いストライプが入ったサベルト製のスポーツシートが特徴。またダッシュボードもアルカンタラ仕上げとなっており、こちらもエンボスで131ラリーのシルエットが浮かび上がる。

サソリの毒は、一度回ってしまうと手に負えない

フィアット131ラリーフィアット131ラリー

オマージュ元となったフィアット131ラリーは、アバルトが手がけ、1970年代末から80年代初頭にかけてWRCで3度のコンストラクターズ・タイトルをもたらした名車だが、隣に展示されていたその姿はご覧の通り、スクエアなシルエットといい、今日の500ベースのアバルトとは似ても似つかない。でも逆に、アバルトのファミリーの中で忘れてはならない一台であることを、こうしたミーティングの場だからこそ、体感として納得できた。

それこそオンラインの画像観察ではなく、リアルのミーティングの機会を通じて感じられるバイブレーションのようなものが、感じられる一台という訳だ。だからサソリの毒は、一度回ってしまうと手に負えない。

11月6日、代官山T-SITEで開催された「アバルト・デイ2022」11月6日、代官山T-SITEで開催された「アバルト・デイ2022」

《南陽一浩》

南陽一浩

南陽一浩|モータージャーナリスト 1971年生まれ、静岡県出身。大学卒業後、出版社勤務を経て、フリーランスのライターに。2001年より渡仏し、パリを拠点に自動車・時計・服飾等の分野で日仏の男性誌や専門誌へ寄稿。現在は活動の場を日本に移し、一般誌から自動車専門誌、ウェブサイトなどで活躍している。

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