高齢化が進むニュータウン、スマートシティ化で課題解決をめざす【MaaSがもたらす都市変革】

高蔵寺ニュータウンを走る自動運転小型バス
高蔵寺ニュータウンを走る自動運転小型バス全 6 枚

オールドニュータウンという言葉がある。高度経済成長時代に開発されたニュータウンについて、開発当初に若年層が大量に入居したが、その入居者たちが揃って高齢化してきたことで、さまざまな課題が浮かび上がっていることを揶揄した言葉だ。

ニュータウンの課題として多く挙げられるものにモビリティがある。当時の都市計画のトレンドを反映しているので、自動車交通が主役のまちづくりがなされたが、高齢化が進み、一部の住民が運転免許証を返納しつつある。すると丘陵地域に造成された地域が多いこともあり、日々の移動に苦労を伴うことに気づきつつあるというものだ。

◆愛知県春日井市の高蔵寺ニュータウン

そんな中、新しいモビリティサービスの導入により、この課題を解決しようとしているのが、愛知県春日井市にある高蔵寺ニュータウンだ。

高蔵寺ニュータウンの面積は約400haで、計画人口は約8.1万人となっていた。複数の自治体にまたがっていないことや、商業施設を敷地内に点在させず、大きなショッピングエリアを中央に1か所設けたワンセンター方式などが特徴になっている。最寄り駅はJR東海(東海旅客鉄道)中央本線および愛知環状鉄道が乗り入れる高蔵寺駅となる。ただし駅から中心部までは約2kmあり、上り坂が続く。つまりアクセスはバスがメインになる。

かつては同じ愛知県の小牧市にある名古屋鉄道(名鉄)小牧線小牧駅と桃花台ニュータウンを結ぶ新交通システムのピーチライナーが高蔵寺ニュータウンを経由する計画があったようだが、2006年にピーチライナーそのものが利用者数低迷で廃止された。高蔵寺駅北口からニュータウン各方面に向かうバスは、すべて名鉄バスが運行している。 ニュータウン内には商業施設「サンマルシェ」などの運営・管理を行う高蔵寺ニュータウンセンター開発の手で「サンマルシェ循環バス」が走っている。高蔵寺ニュータウンの人口は、2020年10月1日現在4万1000人で、ピーク時の5万2000人に比べると減少したが、近年は微減という状況にある。しかし高齢化率は、2005年は15.3%だったのに対し、2020年は36.2%にも達している。

こうした状況を受け、春日井市は名古屋大学COI(センター・オブ・イノベーション)の森川高行教授とともに、ニュータウンの交通改革に取り組んでいる。春日井市では2016年、「高蔵寺リ・ニュータウン計画」を策定した。高蔵寺ニュータウンが持続可能なまちであり続けるために、有識者・市民・関係団体代表者などで構成された検討委員会、住民参加のワークショップや意見交換会を踏まえてまとめたものだ。そこでは課題に応じた主要な施策として5点を挙げており、身近な買い物環境の整備と多様な移動手段の確保と、交通に関する項目もある。しかし市役所には交通の専門家がいなかったことから、名古屋大学COIが担当することになったという。

◆「モビリティブレンド」という考え方とは?

森川教授が導入したのは「モビリティブレンド」という考え方だった。既存の交通手段を使いやすくしたうえで、ライドシェアやAIオンデマンド交通など新しいモビリティサービスをブレンドし、切れ目がなくきめ細かい交通サービスを提供することで、高齢者がマイカーに依存せず、歩いてお出かけをすることで、元気になってもらうというものだ。


《森口将之》

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