熊本空港アクセス鉄道、肥後大津ルートで決着…豊肥本線との一体運行を視野に

熊本空港こと、阿蘇くまもと空港。年間利用者数は2011年度以来増加傾向で、2018年度には過去最高の346万人を記録したが、コロナ禍の2020年度はその4分の1程度にまで減少している。
熊本空港こと、阿蘇くまもと空港。年間利用者数は2011年度以来増加傾向で、2018年度には過去最高の346万人を記録したが、コロナ禍の2020年度はその4分の1程度にまで減少している。全 4 枚

蒲島郁夫熊本県知事は12月2日に開かれた熊本県議会定例会で、阿蘇くまもと空港(熊本空港)へのアクセス鉄道について、豊肥本線肥後大津駅(熊本県大津町)を経由するルートとする方針を表明した。

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熊本空港アクセス鉄道の起点となる予定の豊肥本線肥後大津駅。特急も停車する同駅は豊肥本線の電化・非電化の分界駅でもある。熊本空港アクセス鉄道の起点となる予定の豊肥本線肥後大津駅。特急も停車する同駅は豊肥本線の電化・非電化の分界駅でもある。

現在、熊本空港への主要なアクセスは熊本市内からのリムジンバス、または肥後大津駅を発着する連絡バス「空港ライナー」が担っているが、さらに安定した輸送手段として2004年頃から普通鉄道、モノレール、路面電車の敷設を検討。建設コストや安定性の面で普通鉄道が有力視されたものの、空港利用者が採算ラインに見合わないことを理由に2007年度に一旦、構想が凍結された。

しかし、2018年12月にはインバウンド需要に後押しされる形で利用者が伸びてきたことを理由に、蒲島知事が検討再開を表明。2019年度には豊肥本線三里木(さんりぎ)駅(熊本県菊陽町)から分岐し、県民総合運動公園を経由する3ルート4案(三里木ルート)が検討されるようになったが、2021年11月には、台湾の世界的な半導体メーカーである「台湾積体電路製造(TSMC)」が菊陽町のセミコンテクノパーク隣接地に進出することを受けて、これに近い同じ菊陽町内の原水駅から分岐するルート(原水ルート)と豊肥本線電化区間の終点・肥後大津駅から分岐するルート(肥後大津ルート)も視野に再検討する方針が示された。

最終的に検討された3ルート。肥後大津ルートは当初、熊本県が三里木ルートを支持していたため不利な立場に立たされていたが、TSMCの進出や、JR九州の協力に後押しされる形で形勢逆転した。最終的に検討された3ルート。肥後大津ルートは当初、熊本県が三里木ルートを支持していたため不利な立場に立たされていたが、TSMCの進出や、JR九州の協力に後押しされる形で形勢逆転した。最終的に検討された3ルートの比較。三里木ルートは県民総合運動公園への需要が見込まれていたことから需要予測が最も高いが、原水ルートと同様、豊肥本線との直通を見込めず、乗換えが必要になる点がネックだった。最終的に検討された3ルートの比較。三里木ルートは県民総合運動公園への需要が見込まれていたことから需要予測が最も高いが、原水ルートと同様、豊肥本線との直通を見込めず、乗換えが必要になる点がネックだった。

その後、蒲島知事は2022年9月の県議会で、三里木ルートと比べて需要量は少ないものの、事業費が3ルートで最も低く、JR九州からの運行協力を得られやすい肥後大津ルートが「将来への発展性を感じる」と述べ、11月9日に開かれた検討委員会での合意の下に、11月29日にはJR九州と豊肥本線からの直通運行を基本とすること、上下分離方式によりJR九州が運行を受託すること、JR九州が3分の1を上限に整備費用を負担することなどを検討する確認書が取り交わされ、肥後大津ルートが事実上決定した。

熊本県にとっては、サッカー・Jリーグの試合などが行なわれる県民総合運動公園へのアクセス向上は大きな課題だっただけに、肥後大津ルートはそこから外れる形となってしまうが、蒲島知事は県議会でそのアクセスについて早急な対応策を考えると述べている。

《佐藤正樹(キハユニ工房)》

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