「DSP」が愛好家の間で“本命”となったワケ[カーオーディオユニット AtoZ]

「単体DSP」を搭載したオーディオカーの一例(製作ショップ:クァンタム<茨城県>)。
「単体DSP」を搭載したオーディオカーの一例(製作ショップ:クァンタム<茨城県>)。全 4 枚

カーオーディオシステムのアップグレードに興味を抱くドライバー諸氏に向けて、それを実践するのに役立つ製品情報を多角的に発信している当コーナー。前回からは新章に突入し、「DSP」について解説している。

【画像全4枚】

さて、「DSP」とは「デジタル・シグナル・プロセッサー」の略称で、サウンドチューニングを行う機能が搭載されたユニットのことを指す。まずは「DSP」の中でも「単体DSP」が、愛好家の間に浸透してきたその流れを振り返っている。

最初に前回説明した内容を簡単におさらいしておこう。カーオーディオの世界では、1990年代の後半あたりから特にマニアの間で、「デジタル・サウンド・チューニング」が行われるようになっていく。ただし当時から2000年代中盤あたりまでは、現在あるような「単体DSP」はまだ登場しておらず、サウンドチューニングを行うための機能はハイエンドメインユニットに内蔵されているか、または別体化されていても特定のメインユニットと組み合わせて使うようになっていた。

しかし2000年代の終盤になり「単体DSP」が登場する。メインユニットが交換しずらい車種が増えてきて、またセンタークラスターパネルにナビを入れていてハイエンドメインユニットを装着しにくい。そういったケースに向けて、サウンドチューニング機能を後付けできるユニットとして「単体DSP」が登場したのだ。

しかしマニアの間では、「単体DSP」はあまり普及しなかった。純正メインユニットや通常のナビと「単体DSP」とを組み合わせても、ソースユニットの性能がイマイチだと高音質化の限界値が下がってしまう。なので高音質を追求しようとする層は、ハイエンドメインユニットを使い続けた。

ところが2010年代の半ばころから徐々に流れが変わり始める。なぜならば、「ハイレゾ音源」が登場したからだ。高音質を追求するマニアは、車内でもこれを楽しみたいと考えた。

だが「ハイレゾ音源」を再生可能な車載機は少なく、結果「DAP」が使われることが多くなる。そして「DAP」の高性能化も一気に進む。

で、「DAP」をソースユニットとして活用する場合には、「単体DSP」が役に立つ。この他にはソースユニットは必要ないわけなのでハイエンドメインユニットを使う必要がなくなる。あとは高性能なコントロール機能を持ったユニットを組み合わせればシステムの中枢が出来上がる。こうして高性能な「DAP」と高性能な「DSP」との組み合わせが、高音質を追求するマニアの間でのいわば、“黄金の組み合わせ”となったのだ。

なお、その流れは今も変わっていない。現在は「ハイレゾ音源」を再生可能なメインユニットがかなり増えたが、「DAP」と「単体DSP」もそれぞれ一層の進化を見せていて、この組み合わせが“本命”であり続けている。

ところでその一方で、手軽に高音質を楽しみたいと考える層からは「パワーアンプ内蔵DSP」が選ばれることが増えていく。次回は、そうなった背景について解説する。お楽しみに。

《太田祥三》

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