宮城スバル、ff-1レストアプロジェクト成就!…レオーネなど旧車2台がスバルAWDの生地を訪問

宮城スバル
宮城スバル全 53 枚

2022年はスバルAWD車の誕生50周年であった。その開発の原点となったのが宮城スバル。同社で進められていた「SUBARU ff-1 レストアプロジェクト」が成就したことに合わせ、根っからのスバリストが駆る『ff-1バン』と『レオーネエステートバン4WD』が”表敬訪問”した。

◆52年経ってボロボロ

同プロジェクトは、スバルAWDシステムの原点となった宮城スバルの歴史を振り返るために1年がかりでff-1をレストアするという取り組み。コロナ渦や地震などで完成は予定より延びたものの2022年10月にようやく成就。その成り行きを同社のブログなどで見守っていた東京在住のff-1バンとレオーネエステートバン4WDのオーナーが「ぜひ表敬訪問させてほしい」と本社のある仙台を訪ねた。

レストアのベース車となったのは、1970年式のff-1 1100バン。ぱっと見はなかなかきれいな車に見えたが、52年の歳月で内部はボロボロだったという。新車に近い状態に戻すためボディ、内装、下回り、ブレーキ、エンジンなど徹底的バラし、磨き、組付け、調整した。無いパーツは自ら加工したり流用したり。細かな配線図も引き直している。

◆送電線の保守作業用に四輪駆動に改造

このff-1が、スバルAWDの元祖だ。1968年、東北電力から送電線保守作業用に『1000バン』の四輪駆動化ができないかとの改造依頼が宮城スバルに持ち込まれたのが発端で、トランスミッション後部から後輪を駆動するプロペラシャフトを車内床上に通してプロトタイプを作り上げた。見てくれは悪かったが、性能は上々。これを契機に、スバル技術本部で「4WDプロジェクトチーム」が発足し、1971年には『ff-1 1300Gバン』ベースの試作車が製作され、同年の東京モーターショーに出品。翌年、『レオーネ4WDバン』となって発売された。

2022年はスバルAWD車の誕生50周年にあたった。「1972年9月、国産初の乗用タイプ全輪駆動車『スバル レオーネ 4WD エステートバン』の発売以来、SUBARUのAWD車累計生産台数はおよそ2100万台に上ります」とスバル公式が伝えた。少しオーバーかもしれないが、宮城スバルの取り組み無くしては今の「SUBARU」はあり得なかったのだ。

そんな先人の気概に思いをはせながら、レストアプロジェクトに携わったのは約30名。メカニックが中心だが宮城スバルの職種の垣根を超えたメンバーが集まり、普段の担当業務をこなしつつ時間を削って作業に加わった。中には女性セールスもツナギを着て参加し、メカニックの指導の下に不慣れな手つきながらも真剣に作業に加わった。1年4か月後に完成、全社員大会でのお披露目では、感動と喜びに包まれたという。

「完成した時は涙が出そうでした」というのは、プロジェクトリーダーで営業支援統括部の藤枝義寛さん。「コロナになったり地震が来たりいろんなことが起きて不安しかありませんでしたが、形になって安心しました。部署が違う、メカが分からない。そんないろんな社員が集まって協力してコミュニケーションが取れたのは大きな財産となりました」と感慨深げだった。

◆本社にff-1バンとレオーネエステートバン4WDが来訪

さて、この日はこのプロジェクトに参加したうちの6名が本社工場に集まってくれた。また、東京から片道360kmの道のりをやって来たff-1バンとレオーネエステートバン4WDの2台も。ff-1バンは1969年式で1300ccのツインキャブエンジンに換装、オーネは1975年式で、こちらも1600ccに換装している。いずれも機関絶好調で、この日を楽しみにしていたという。この2台が到着するとすぐに人の輪に。「すごい」「初めて見た」「ツインキャブ磨きたい」「シフトレバーが2本生えてる」「インボードブレーキでディスクもあったのか」などと盛り上がり、レオーネはついでにとホイールバランス作業なども行ってくれた。オーナーたちからの質問も多く、活発な意見交換が行われた。

ff-1オーナーの曽我部充輝さんは「スバル4WD発祥の地方ディーラーの技術力の高さと、何より関わったスタッフ皆さんの目が輝いてて、年齢性別関係なく、社風も素晴らしい」と感激した様子。また、レオーネのオーナー村岡道修さんも「会社組織でレストアを考える事自体が凄い。女性社員も作業に加わり、熱意をもって向きあっている姿に感心しました。また各リーダーも素晴らしい。という事は社長さんも素晴らしい方なのでしょう」と感心しきり。「誰もやらない、やろうともしなかった乗用型4WDの希望に応えたのも、きっと同じ姿勢で向き合われたのではないでしょうか。スバル車ブラボーですね」と笑顔だった。

このレストアされたff-1は、2023年1月7日以降に旗艦店の「BEST SHOP栗生」(仙台市青葉区)に搬送された後にショールームで展示される予定。

《嶽宮 三郎》

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

教えて!はじめてEV

アクセスランキング

  1. 【スズキ ソリオ 新型試乗】乗り心地と静粛性はクラストップ、だが「損をしている」と思うのは…中村孝仁
  2. ついにハイブリッド化! 新型トヨタ『ランドクルーザー300』の発表にSNSでは「バク売れの予感」など話題に
  3. 15歳から運転できる「小さいオペル」に興味アリ!「通勤用にこういうのでいいんだよ」など注目集まる
  4. 伝説のACコブラが復活、「GTロードスター」量産開始
  5. 日産 リーフ 新型をライバルと比較…アリア、テスラ、bZ4Xと何が違う?
ランキングをもっと見る

ブックマークランキング

  1. 低速の自動運転遠隔サポートシステム、日本主導で国際規格が世界初制定
  2. BYD、認定中古車にも「10年30万km」バッテリーSoH保証適用
  3. 茨城県内4エリアでBYDの大型EVバス「K8 2.0」が運行開始
  4. 「やっと日本仕様が見れるのか」新世代ワーゲンバス『ID. Buzz』ついに上陸! 気になるのはサイズ?価格?
  5. 三菱が次世代SUVを初公開、『DSTコンセプト』市販版は年内デビューへ
ランキングをもっと見る