現代モービス、2つのコンセプトカーを初公開し新たな“MOBISビジョン”を発表…CES 2023

現代モービス(Hyundai Mobis)のプレスカンファレンス。左にあるのが自動運転のコンセプトカー『M.ビジョンTO』
現代モービス(Hyundai Mobis)のプレスカンファレンス。左にあるのが自動運転のコンセプトカー『M.ビジョンTO』全 8 枚

現代グループ傘下の自動車部品メーカー、現代モービス(Hyundai Mobis)は、CES 2023においてソフトウェアを中心とした統合プラットフォーム「NEW MOBISビジョン」を発表。合わせて自動運転のコンセプトカー『M.ビジョンTO』と『M.ビジョンHI』の、2つのコンセプトカーを初公開した。

◆23年上半期にレベル3の統合自動運転コントローラーを開発

統合プラットフォーム「NEW MOBISビジョン」は、ユーザーエクスペリエンスの革新と顧客のニーズに合わせて最適化された統合ソリューションを提供することを目的に策定された。これは同社の将来へ向けた成長戦略の要となるものだ。その具体的なユースケースとして紹介されたのがCES 2023で初公開したM.ビジョンTOとM.ビジョンHIの2つのコンセプトカーである。

また、同社は米クアルコム(Qualcomm Technologies)のSnapdragon Ride Platforms を利用することで、自動運転レベル3までスケールアップできる統合自動運転コントローラーを開発することも発表した。これは同社にとってレベル3以上の自動運転を含むすべてのレベルを実装するための重要なコンポーネントになり、2023年上半期には開発完了を見込んでいるという。

◆無限の可能性を持つ次世代のモビリティ『M.ビジョンTO』

現代モービスの自動運転コンセプトビークル『M.ビジョンTO』(CES 2023)現代モービスの自動運転コンセプトビークル『M.ビジョンTO』(CES 2023)

そうした中で開発された自動運転コンセプトビークル、M.ビジョンTOは、次世代の 「PBV(パーパス・ビルド・ビークル)」を提案するコンセプトカーとしている。ポイントは、自動運転機能を備えつつも高度なカスタマイズ機能によって、クルマを単なる移動手段ではなく、無限の可能性を持つ次世代のモビリティとしたこと。車名にある“TO”は未来に「向かう」ことを意味して名付けられ、様々な目的に合わせて拡張できるモビリティソリューションとして提供されるとした。

車体にはカメラ、レーダーやLiDARなどのセンサーをはじめ、eコーナーモジュール、MRディスプレイを車両に4つのピラーにインストール。室内には、折りたたんだり回転させたりできるシートが装備されている。特に注目すべきが、昨年のCES 2022での発表に続き、真横へ移動できるカニ歩きの運転や90度回転ホイールによるゼロターンなどを実現していること。都市部など限られたスペースでの動きの自由度を広げられ、市街地の狭い路地での走行から荷物の運搬まで、ユーザー固有の用途に幅広く対応することができるという。

◆レジャー、リラクゼーション向けの『M.ビジョンHI』

『M.ビジョンHI』は試聴した方向に自動的にシートが向きを設定する『M.ビジョンHI』は試聴した方向に自動的にシートが向きを設定する

もう一つの自動運転のコンセプトカー、M.ビジョンHIは、レジャー、リラクゼーション、アウトドアアクティビティ向けに設計されたPBVとしている。車両のガラス面を大型ディスプレイとすることで、シートを見やすい角度に自動的に変更してくれたりする。その上で移動中にその画面上で映画を見たり、あるいはネットショッピングを楽しんだりもできるのだ。

また、乗員の目をコントローラーとして利用する視線アシストリモートコントロール技術を採用しているのも大きな特徴で、リモコンやタッチ操作といった煩わしい操作もなく、見たいコンテンツが自由に鑑賞できるようになっているという。もちろん、自動運転を実現するために自動運転センサー、独立した運転とステアリングを実現するeコーナーモジュール、MR(複合現実)ディスプレイなどの高度なシステムを、車両のフレームに組み込んでいるのは言うまでもない。

現代モービスは、以前より次世代コックピットやADASユニットのショーケースモデルをバス型の自動運転カーとして発表してきたが、今年のCES 2023ではサプライヤー自身が自動運転を実装するユースケースにしようとする動きが目立った。現代モービスもそうした流れの中で新たな領域へと踏み出そうとしているのかもしれない。

《会田肇》

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