三菱重工が『スペースジェット』開発を中止、正式発表

三菱スペースジェット飛行試験機(10号機)の初飛行(2020年3月)
三菱スペースジェット飛行試験機(10号機)の初飛行(2020年3月)全 25 枚

三菱重工は2月7日、連結子会社の三菱航空機が取り組んでいた『スペースジェット』の開発活動を中止すると発表した。2020年に“立ち止まり”を発表していた「スペースジェットM90」の開発を、正式に中止する。

三菱重工は、反省点として、高度化した民間航空機の型式認証プロセスへの理解不足、そして長期にわたる開発を継続して実施するリソースの不足を挙げている。

なお開発中止にともなう三菱重工の業績への影響は連結、個別とも軽微だという。三菱重工では、今後は開発で得られた知見を活かし、完成機を見据えた日本の航空機産業の発展と技術力向上に取り組んでいく、とする。

三菱重工は2008年に国産リージョナルジェット機の事業化を決定、三菱航空機を設立した。その時点では、70~90席クラスの機体を2013年に就航させる計画だった。その後、2014年にロールアウト、2015年に初飛行を実施していた。当初の名称は「MRJ」(三菱リージョナルジェット)だったが、2019年にスペースジェットと改称した。

三菱重工は中止する理由を、(1)まず開発の長期化により技術的な見直しが必要になったこと、脱炭素対応も必要になったこと、(2)海外パートナーからの協力の確保が困難、(3)北米で制限の緩和が進まず、M90では市場に適合しない、パイロット不足の影響もあり市場規模が不透明、(4)型式証明の取得にさらに巨額の資金を要し、上記市場環境では事業性が見通せない、とし、これらの観点から開発再開に足る事業性を見出せない、とした。

いっぽう開発により達成できたこととして、型式証明を取得できる機体を設計・製作・認証する体制の整備、3900時間超の試験飛行を安全トラブルなく遂行したことなどを挙げる。また技術的な成果として、航空機開発への本格的なV&V(検証と承認)適用、CFD(コンピューターによる流体解析)を用いた空力最適化などを挙げている。

《高木啓》

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