“何にも似てない”北欧生まれの電動バイクが日本上陸、課題は「タイヤと価格」?

“何にも似てない”北欧生まれの電動バイクが日本上陸、課題は「タイヤと価格」?
“何にも似てない”北欧生まれの電動バイクが日本上陸、課題は「タイヤと価格」?全 19 枚

◆北欧生まれの電動バイク、日本上陸

CAKE社の電動バイクCAKE社の電動バイク

スウェーデン生まれの電動バイクメーカー『CAKE 0 エミッション AB』(以下、ケイク)の製品が続々と上陸。スポーツアパレルを中心に展開する「ゴールドウイン」との間に独占的パートナー契約が結ばれ、日本における本格的な展開が始まろうとしている。

ケイクは、ゼロエミッション社会の実現を目指し、2016年に設立された。スポーツやレジャー、日々の移動に欠かせないモビリティを通して、革新的かつ持続可能な技術を構築し、それと同時に環境への責任を果たすことを目標に掲げている。

同社の製品は、すでに数多くの国に導入されているが、たとえばアフリカもそのひとつだ。電動バイクの静粛性を活かし、密猟者を取り締まるためのレンジャーが使用するなど、日常域を大きく超えた場面でも活躍している。

静かで、環境への負荷が少なく、スポーツにも成り得るケイクの製品と、あらゆるアウトドア製品を手掛けるゴールドウインが共鳴し合ったのは自然なことであり、2023年1月からの3年間で、5000台の国内販売を計画している。

そんなケイクの電動バイクは、大きく4つのカテゴリーに分けられる。都市部の移動を目的にした『Makka(マッカ)』、様々なパーツやコンポーネントを組み合わせることによって高い拡張性を持つ『Osa(オッサ)』、オフロード性能に特化した『Kalk(カルク)』、そして子ども向けの『Go(ゴー)』だ。今回、マッカの中核モデルである『マッカ・フレックス』に試乗することができたため、その印象をお届けしよう。

◆ミニマルなデザイン性にもかかわらず、唯一無二の存在感

CAKE マッカ・フレックス(Makka flex)CAKE マッカ・フレックス(Makka flex)

このマッカ・フレックスに限らず、ケイクの製品は他のなににも似ていない。極めてミニマルなデザインが与えられ、自転車感覚がまたがることができる。車重は70kgに過ぎず、メインフレームやバッテリーといった重量物が低位置に収まっているため、取り回しは楽々。「電動バイク=重い」という印象はまったく当てはまらず、押して歩くことも容易。シートの上げ下げも、レバーひとつで簡単に調整することができる。

とはいえ、定格出力は1.55kWあり、車両は軽2輪に、免許区分では普通自動2輪に相当する。信号待ちからのスタートダッシュは必要充分以上の加速を披露し、交通の流れに乗ることはもちろん、リードするような走りにもストレスなく応えてくれる。

最高速度は45km/hだ。加速感からいえばまだまだ余力はある印象ながら、バッテリー容量と実用的な航続距離をバランスさせるため、あえてリミッターが効くように設定されている。スペック上の航続距離は54kmゆえ、近距離の買い物や通勤の足として利用し、夜の間に充電しておく、という使い方が一般的だろう。

リミッターの作動速度の都合上、高速道路には乗り入れることができないので注意する必要がある。なぜなら、そういった場所では最低速度が50km/hに設定され、マッカ・フレックスはそれに達しないからだ。車体の構造上、おそらくバッテリー容量を増すことは難しくないと思われるが、ある程度割り切っているからこそこの手軽さを実現している。用途を逸脱しなければ、ネガティブな要素にはならないはずだ。

◆タイヤと価格に課題?

CAKE マッカ・フレックス(Makka flex)CAKE マッカ・フレックス(Makka flex)

機能面でひとつリクエストするなら、標準装着されているタイヤだ。前後14インチの小径ホイールが採用され、クルクルと抜群の旋回力を発揮してくれる一方、ブロックパターンはかなりオフロード寄りのため、アスファルト上ではグリップ力や制動力に乏しい。特にリアタイヤはロックしやすく、一般的なロードタイヤに変更するだけで、安心感は格段に向上するに違いない。

またコストパフォーマンス面では、やはり価格は気になるところ。電動バイク市場がまだまだ整っていないことを踏まえると、93万5000円の設定はかなりのハードルと言わざるを得ない。スタイリッシュさにおいて他とは一線を画しているだけに、もう少し敷居が下がることを期待したい。

正式な発売は、2023年5月頃を予定。詳細は、今後WEBやSNS等を介して行われる。

●マッカ・フレックス
価格:93万5000円
最高速度:45km/h
航続距離:54km
公道走行:可
免許の種類:普通自動2輪
車重:70kg
最大瞬間出力/定格出力:2.8kW/1.55kW

●マッカ・フレックス : ワーク
価格:118万8000円
最高速度:45km/h
航続距離:100km
公道走行:可
免許の種類:普通自動2輪
車重:82kg
最大瞬間出力/定格出力:3.3kW/1.55kW

●マッカ・レンジ
価格:86万9000円
最高速度:25km/h
航続距離:66km
公道走行:可
免許の種類:原付
車重:70kg
最大瞬間出力/定格出力:1.0kW/650W

●オッサ・フレックス
価格:174万9000円
最高速度:45km/h
航続距離:92km
公道走行:可
免許の種類:普通自動2輪
車重:87kg
最大瞬間出力/定格出力:5.0kW/4.0kW

●オッサ・プラス
価格:225万5000円
最高速度:90km/h
航続距離:111km
公道走行:可
免許の種類:普通自動2輪
車重:97.5kg
最大瞬間出力/定格出力:9.0kW/6.0kW

●オッサ・プラス : ワーク
価格:235万4000円
最高速度:90km/h
航続距離:111km
公道走行:可
免許の種類:普通自動2輪
車重:97.5kg
最大瞬間出力/定格出力:10kW/NA

●カルク・オア・レース
価格:281万6000円
最高速度:90km/h+
航続時間:最大3時間
公道走行:不可
免許の種類:不要
車重:75kg
最大瞬間出力/定格出力:11kW/5.8kW

●カルク・アンド
価格:291万5000円
最高速度:90km/h+
航続距離:86km
公道走行:可
免許の種類:普通自動2輪
車重:79kg
最大瞬間出力/定格出力:10.0kW/5.8kW

●カルク・インク・アンド
価格:247万5000円
最高速度:90km/h+
航続距離:86km
公道走行:可
免許の種類:普通自動2輪
車重:83kg
最大瞬間出力/定格出力:10.0kW/5.8kW

●ゴー
価格:72万6000円
最高速度:40km/h
航続時間:約1時間
公道走行:不可
免許の種類:不要
車重:32kg
最大瞬間出力/定格出力:1.5kW/NA

■5つ星評価(CAKE マッカ・フレックス)
パワーソース:★★★
フットワーク:★★★
コンフォート:★★★
足着き:★★★★★
オススメ度:★★★

伊丹孝裕|モーターサイクルジャーナリスト
1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

《伊丹孝裕》

モーターサイクルジャーナリスト 伊丹孝裕

モーターサイクルジャーナリスト 1971年京都生まれ。1998年にネコ・パブリッシングへ入社。2005年、同社発刊の2輪専門誌『クラブマン』の編集長に就任し、2007年に退社。以後、フリーランスのライターとして、2輪と4輪媒体を中心に執筆を行っている。レーシングライダーとしても活動し、これまでマン島TTやパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム、鈴鹿8時間耐久ロードレースといった国内外のレースに参戦。サーキット走行会や試乗会ではインストラクターも務めている。

+ 続きを読む

【注目の記事】[PR]

ピックアップ

アクセスランキング

  1. トヨタ カムリ 新型、全車ハイブリッドに…今春米国発売
  2. 40アルファードの静粛性が一変!調音施工で快適性が飛躍的に向上
  3. 【ホンダ N-BOX 新型試乗】アイデアの詰まった使い勝手はまさに「ニッポンの国民車」だ…中村孝仁
  4. シトロエンの新デザイン採用、『C3エアクロス』新型を欧州発表
  5. レゴ ブロック初心者再び! セナが愛用した「マクラーレン MP4/4」を組み立ててみたら感激した
  6. トヨタ堤工場、2週間生産停止の真相、『プリウス』後席ドア不具合で13万台超リコール[新聞ウォッチ]
  7. [15秒でわかる]トヨタ『4ランナー』新型…オフロード仕様のTRDプロを設定
  8. マツダ、新型3列シートSUV『CX-80』をついに世界初公開 日本導入時期は
  9. トヨタ『ランドクルーザー250』発売、520万円から…特別仕様車も
  10. ジムニー愛好者必見! ベルサスVV25MXが切り拓く新たなカスタムトレンドPR
ランキングをもっと見る